アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和8年10月19日

2026年9月の経済情勢

<概要>
  • 15日、政府は、2027年度予算法案を下院に提出した。2027年の実質GDP成長率4.0%、年末インフレ率18.0%、年末為替レート1ドル=1,847.6ペソを見込み、財政黒字の維持を掲げた。
  • 24日、上院は、中銀基本法改正法案を賛成46票、反対22票で修正付き可決した。中銀幹部の任免手続等を修正し、法案は下院に差し戻されることとなった。
  • 9月末のカントリーリスク指数(EMBI+)は607ポイントとなり、8月末の512ポイントから95ポイント上昇した。
  • 30日、日・アルゼンチン両政府は、口蹄疫ワクチン接種清浄地域であるアルゼンチン北部からの牛肉・牛肉製品の対日輸出に必要な衛生条件に合意。
  • 2026年第2四半期の実質GDP(INDEC発表)は、前年同期比2.0%増、前期比(季節調整済み)0.6%減となった。

1 経済の主な動き(報道ぶり等)
  1. 2日、カプート経済大臣は、リベルタ・イ・プログレソ財団主催の国際会議で講演し、国道約1万2,000キロメートルの追加入札を行う方針を示した。最初の約6,000キロメートルについて、国・州・市の税負担をゼロとする案を提起し、民間投資による道路整備を推進する考えを表明した。
  2. 4日、中銀は、社会保障機関ANSESの持続可能性保証基金(FGS)の資金を活用する住宅融資支援策の規則を定めた。総額2兆ペソのUVA連動定期預金を金融機関に配分し、初めての住宅の取得・建設・改修等の融資に充てる。融資期間は15年以上、金利はUVA連動に年7.5%を加えた水準を上限とする。
  3. 9日、バウシリ中銀総裁及びウェルニング副総裁らは、上院の国家経済・投資委員会と予算・財政委員会の合同会合に出席した。中銀基本法改正について、物価安定の確保、国庫への資金供給の制限及び中銀の法的・制度的枠組みの見直しの必要性を説明した。
  4. 15日、政府は、2027年度予算法案を下院に提出した。2027年の実質GDP成長率4.0%、年末インフレ率18.0%、年末為替レート1ドル=1,847.6ペソを想定する。カプート経済大臣は、デフォルト状態にない中で4年連続の財政黒字を実現する方針を強調した。
  5. 15日、経済省は、上下水道事業会社AySAの民営化に向け、技術提案書を開封し、2つの企業連合が応札した旨発表した。国が保有する90%の株式を民間に売却し、残る10%は従業員保有とする。新たな運営主体には、2027~2031年の5年間で2.89兆ペソ(2025年12月価格、付加価値税を除く)の投資を義務付ける。
  6. 17日、上院は、中銀基本法改正法案の審議を延期した。中銀幹部の任免手続等について与党と協力勢力の間で調整が続く中、同日の議事日程から外されることとなった。
  7. 24日、上院は、中銀基本法改正法案を賛成46票、反対22票で修正付き可決した。幹部の任免に係る特別多数要件等を見直し、法案は下院に差し戻された。通貨価値の維持を中銀の主要目的とし、国庫への直接・間接の資金供給を禁止する柱は維持された。
  8. 30日、カプート経済大臣は、トヨタによるサラテでの電動車生産計画について、RIGI評価委員会が承認した旨発表した。投資予定額は13.41億ドルと報道されている。
  9. 30日、日・アルゼンチン両政府は、口蹄疫ワクチン接種清浄地域であるアルゼンチン北部からの牛肉・牛肉製品の対日輸出に必要な衛生条件に合意。既に輸出可能な南部に加え、北部も対象となった。実際の輸出開始には、日本側の監査や輸出施設の認定などが必要。
  10. 30日、政府は電動車などを対象とする輸入関税ゼロ制度を改正する政令を公布。従来のFOB価格上限を引き上げ、対象車種の選択肢を拡大する措置で、10月1日に施行。
 2 経済指標の動向

(1)経済活動全般

(ア)経済活動指数
7月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比2.9%減、前年同月比1.4%減となった。

(イ)小売販売
7月のスーパーマーケット販売指数(INDEC発表)は、前月比0.7%減、前年同月比2.1%減となった。

(ウ)貿易
8月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比12.4%増の88.8億ドル、輸入が同3.6%増の67.0億ドルとなった結果、貿易収支は21.9億ドルの黒字となった。

(2)製造業・鉱業
(ア)8月の製造業活動指数(INDEC発表)は、前月比1.9%増、前年同月比3.2%減となった。
(イ)8月の鉱業生産指数(INDEC発表)は、前月比1.9%増、前年同月比8.4%増となった。

(3)物価・賃金
(ア)物価
8月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前月比1.7%、前年同月比33.5%の上昇となった。
8月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比2.1%、前年同月比29.8%の上昇となった。
8月の貧困ラインは前月比2.6%増の519,578ペソ、極貧ラインは同2.6%増の235,103ペソとなった(ともにINDEC発表)。

(イ)賃金
6月の賃金指数(INDEC発表)は、前月比2.9%、前年同月比35.7%の上昇となった。
7月の賃金指数(INDEC発表)は、前月比2.8%、前年同月比36.2%の上昇となった。

(4)金融
(ア)9月末のコールレートは、前月比3.65%増の24.49%となった。
(イ)9月末のマネタリーベースは、前月比1.1%減の46兆9,094億ペソとなった。
(ウ)9月末のペソ建て融資は、前月比1.5%増、前年比32.2%増の108兆1,413億ペソとなった。

(5)為替・外貨
(ア)9月末の外貨準備高は、前月比21.7億ドル減の460.9億ドルとなった。
(イ)9月末の為替レートは、前月比0.5%ペソ安の1ドル=1,517.5ペソとなった。
(ウ)9月末のカントリーリスク指数(EMBI+)は、前月比95ポイント増の607ポイントとなった。
(エ)9月末のドル建て預金は、前月比2.8%増の446.9億ドル、ドル建て融資は前月比2.8%増の261.9億ドルとなった。

(6)財政
8月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比32.2%増、一次歳出が同32.9%増となった結果、基礎的財政収支は1兆9,903.2億ペソの黒字、財政収支は6,355.3億ペソの黒字となった。年初からの累計では財政収支はGDP比約0.2%の黒字となった。
債務残高(中央政府の総債務)は前月比0.04%増の4,849.2億ドルとなった。

(7)GDP
2026年第2四半期の実質GDP(INDEC発表)は、前年同期比2.0%増、前期比(季節調整済み)0.6%減となった。輸出が前年同期比13.7%増となる一方、民間消費は同0.4%増にとどまり、政府消費は同4.1%減、総固定資本形成は同11.1%減となった。また、輸入は同8.6%減となった。

(8)失業・貧困
(ア)失業率
 2026年第2四半期の失業率(INDEC発表)は、前期比0.1ポイント上昇、前年同期比0.3ポイント上昇の7.9%となった。
(イ)貧困率
 2026年上半期の貧困率(INDEC発表)は、前期比4.1ポイント上昇の32.3%、極貧率は、同1.2ポイント上昇の7.5%となった。

(9)国際収支
 2026年第2四半期の国際収支(INDEC発表)は、財収支が92.9億ドルの黒字、サービス収支が21.0億ドルの赤字、第一次所得収支が60.3億ドルの赤字、第二次所得収支が10.6億ドルの黒字となった結果、経常収支は22.1億ドルの黒字となり、前年同期の24.5億ドルの赤字から黒字に転じた。
(了)
 
   

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