アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成30年8月1日

2018年6月の経済情勢

<概要>
(1)
7日、亜政府はIMFと500億ドルのスタンドバイ取極についてスタッフレベルの合意に至り、インフレ目標、財政目標の修正と併せて発表した。同融資は20日にIMF理事会で承認され、同日150億ドルの初回融資が実行された。
(2)20日、MSCIは、亜を「新興国市場」インデックスへの組み入れ(「フロンティア市場」からの引き上げ)を発表。

1 経済の主な動き等
(1)1日より、電車とバスの値上げ。バスの最低運賃は10ペソ。
(2)6日、世銀は、亜の今年の経済成長率の見通しを下方修正(3%→1.7%)した。
(3)7日、亜政府はIMFとスタンドバイ取極についてスタッフレベルの合意に至ったと発表した。
  • 融資額500億ドル(3年間で分割実施)
  • 同スタンドバイ取極に伴う経済プログラムの主な内容は以下の通り。
  • インフレターゲットの修正(今年のインフレターゲットなし、2019年17%、
    2020年13%、2021年9%)
  • 財政目標の修正(2018年▲2.7%、2019年▲1.3%、2020年ゼロ、
    2021年0.5%)(2018年については現行の目標から増減なし。各年につい
    て、社会的救済に必要な場合、0.2ポイント引き上げることが可能。)
(4)14日、ストゥルセネヘル中銀総裁が辞職。カプート金融大臣に交代。また、財務省が金融省の権限を吸収。
(5)20日、IMF理事会でスタンドバイ取極が承認され、初回融資150億ドルが実行された。このうち予算支援分75億ドルについて、21日、亜財務省は、予算に充当するための一日1億ドルの売り入札プログラムを発表した。
(6)20日、MSCIは、亜を「新興国市場」インデックスへの組み入れ(「フロンティア市場」からの引き上げ)を発表。

2 経済指標の動向

(1)経済活動全般  
 
5月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.8%減、前月比1.4%減となった。

(2)消費:自動車販売  
 5月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比31.0%減、前月比26.9%減となった。

(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
 5月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月1.2%減となった。
 5月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.5ポイント減の65.1%となった。
(イ)建設活動
 5月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.8%増となった。
(ウ)自動車生産
 5月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比13.4%増、前月比15.8%増となった。

(4)物価 
 6月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.7%の上昇となった
 6月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比6.5%の上昇となった。

(5)金融 
(ア)Merval指数(株価指数)は、6月末には、前月末2521.82ポイント減の26037.01ポイントとなった。
 また、EMBI+指数は、6月末には前月末比91ポイント増の512ポイントとなった。
(イ)6月末の為替レートは、前月末比15.69%ペソ安、前年同月比73.39%ペソ安の1ドル=28.86ペソであった
 コールレートは、6月末には38.00%となった。対民間貸出残高は6月末には20,219億ペソとなった。
 外貨準備高は、6月末には前月末比117.83億ドル増の618.81億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
 6月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比27.9%増、一次歳出が同21.6%増となった結果、基礎的財政収支は566.6億ペソの赤字となった。また、総合収支は、888.7億ペソの赤字となった。
(イ)税収
 6月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比31.9%増の2988.5億ペソ、付加価値税収が同48.3%増の921.3億ペソ(うち、国内分については同46.9%増、税関分については48.3%増)、法人及び個人に係る所得税収が同45.4%増の903.5億ペソ、輸出税収が同96.2%増の107.3億ペソ、社会保障雇用主負担金が同28.1%増の398.3億ペソとなった。

(7)貿易
 6月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比1.4%減の5,076百万ドル、輸入が同7.5%減の5,458百万ドルとなった結果、貿易赤字は382百万ドルとなった。
(了)

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