アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和4年2月11日

2021年9月の経済情勢

 

概要

(1)9日、日亜ビジネス環境整備委員会第六回会合が開催された。

(2)15日、経済省は、2022年予算法案を議会に提出した。

(3)22日、政府はIMFに対し、約19億ドルの元本債務の返済を実施した。



1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1)7日、ラカジェ・ポウ・ウルグアイ大統領は、中国との自由貿易交渉を開始する旨発表した上で、「本件については亜に対しても通知済みである。」と述べたのに対し、翌8日、クルファス生産開発大臣は、「交渉はメルコスールとして行うべきであり、一国が単独で交渉すべきではない。」とのコメントを発表した。
(2)8日、フェルナンデス大統領は、「米州気候変動ハイレベル対話」をオンライン形式で主催し、その中で発展途上国の融資について「グリーン・デット・スワップ」の適用を主張した。
(3)9日、日亜ビジネス環境整備委員会第六回会合が開催され、亜側を代表してネメ外務副大臣(国際経済関係担当)及びシャーレ生産開発副大臣(製造業・知識産業・通商担当)が、日本側を代表して本使及び永谷在亜日本商工会議所会頭(亜トヨタ副社長)が対面出席し、亜政府関係者、日本企業関係者及び大使館関係者がオンライン出席した。
(4)12日、中間選挙予備選(PASO)が行われ、与党連合が振るわない結果に終わったことに対し、株価が一時17%上昇しカントリーリスクや非公式為替レートが低下するなど、金融市場は比較的好感する動きを見せた。
(5)15日、経済省は、2022年予算法案を議会に提出した。予算の前提となる指標は、GDP実質成長率+4%、1ドル131.1ペソ、インフレ年率+33%、基礎的財政収支▲3.3%と想定されているほか、IMFへの債務償還財源は盛り込まれていない。
(6)15日、フェルナンデス大統領は、石油及び天然ガス等の開発拡大を目的とする税制優遇措置等を盛り込んだ炭化水素法案を発表した。
(7)17日、フェルナンデス大統領は、バイデン米大統領の主催した気候・エネルギー主要国経済フォーラムにオンライン形式で出席し、その中で公衆衛生、財政及び環境の三大危機が到来していると強調した。
(8)18日、政府は、DNU第622/2021号を発出し、9月22日及び12月22日に満期が到来する各約19億ドルのIMFに対する元本債務について、特別引出権を用いて返済を行う方針を明確にした。
(9)21日、最低賃金評議会は、本年3月を基準として明年3月までに最低賃金を合計+52.7%引き上げることで合意した。
(10)21日、フェルナンデス大統領は、第76回国連総会においてビデオ演説を行い、その中でIMFについて「我々は有害で無責任な債務を負わせられた。」と主張した。
(11)22日、政府は、IMFに対し、現行融資プログラムにおける初回の元本支払いとなる約19億ドルの返済を実施した。
(12)22日、トデスカ外務副大臣(国際経済関係担当)は第120回メルコスール共同市場グループ通常会合にオンライン形式で出席した。
(13)23日、政府は、所得税課税対象下限を15万ペソから17.5万ペソに引き上げる措置を発表した。
(14)28日、ゲデス伯経済大臣は、亜が困難な状況にあると理解を示した上で、「亜はメルコスールの成長を阻害しないよう2~3年間メルコスールから一時的に脱退することを検討すべきだ。」と述べたのに対し、同日、カフィエロ外務大臣は、フランサ伯外務大臣と電話会談を行った。
(15)28日、ドミンゲス農牧漁業大臣は、中国向け老牛の輸出の全面的解禁により牛肉輸出停止措置を緩和することを発表した。
(16)29日、マンスール官房長官及びラベルタANSES長官は、失業中の60歳以上の男性及び55歳以上の女性を対象とする早期退職年金制度を始動することを発表した。
 
2 経済指標の動向
 
(1)経済活動全般
 8月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比1.1%増、前年同月比12.8%増となった。
 
(2)消費:自動車販売
  2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 2021年計
台数 26,676 32,359 29,876 28,025 28,187 24,369 26,069 25,700 248,564
前年比 ▲1.9% 71.0% 297.7% 39.9% 18.6% 8.4% ▲8.0% ▲26.7% 18.9%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 2021年計
台数 15,055 22,394 15,848 19,919 22,737 23,177 24,937 25,230 181,221
前年比 ▲16.9% 60.8% 564.2% 517.3% 230.7% 141.1% 83.3% 40.9% 92.1%
 
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
  2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 2021年計
台数 21,809 43,160 29,315 34,953 40,035 31,935 38,362 43,535 307,412
前年比 ▲16.5% 125.2% 皆増 627.9% 155.7% 49.8% 48.5% 35.4% 85.5%
 
(イ)工業生産
 8月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比13.8%増となった。
 
(ウ)建設活動
 8月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比22.7%増となった。
 
(4)物価
 9月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.5%、前年同月比52.5%の上昇となった。
 9月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比2.8%、前年同月比59.1%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、9月末には前月末比94ポイント増の1607ポイントとなった。
(イ)為替レートは、9月末には前月末比1.0%ペソ安の1ドル=98.74ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、9月末には前月末比33億ドル減の429.1億ドルとなった。
 
(6)財政
(ア)財政収支
 9月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比115.5%増、一次歳出が同44.3%増となった結果、基礎的財政収支は2,914.3億ペソの黒字となった。また、総合収支は、2,372.5億ペソの黒字となった。
 
(イ)税収
 9月の税収(経済省発表)は、前年同月比61.0%増の9,763億ペソとなった。
 
(7)貿易
 9月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比60.3%増の7,553百万ドル、輸入が同42.6%増の5,886百万ドルとなった結果、貿易収支は1,667百万ドルの黒字となった。
(了)
 

 

click