アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成30年5月22日

2018年4月の経済情勢

<概要>
(1)25日、米長期金利上昇の影響、さらには海外投資家への課税開始に伴う売り抜けも相まって、ペソ安圧力が掛かり、中銀は約15億ドルの売り介入を行った。一日のドル売り額としては過去最大規模。26日にも、中銀は約8.5億ドルの売り介入を行った。
(2)27日、中銀は、ペソ安の歯止めを目的として、政策金利を27.25%から30.25%に引き上げた。マクリ政権発足以来最大の引き上げ。

1 経済の主な動き等

(1)
16日、ストゥルセネヘル中銀総裁は、インフレが5月までに下がらなければ、政策金利を引き上げることを示唆した。
(2)17日、マクリ大統領は、公共料金値上げの必要性を改めて表明し、公共料金値上げを取りやめる考えはないことを明らかにした。政府内部及び野党から批判が上がる中、ペロン党キルチネル派他は、公共料金を1月時点の料金に戻し、値上げを凍結する内容の法案の審議を提案したが、賛同が得られず審議は見送られた。
(3)17日、IMFは経済見通しを発表し、今年の亜のインフレ率を19.2%と予測していると、インフレターゲット(15%)の達成は難しいという見方を示した。また、経済成長率については、水不足の農牧業に対する影響を鑑み、亜の今年の経済成長率を2.5%から2%に下方修正した。
(4)18日、レイセル外務副大臣(国際経済関係担当)はインタビューの中で「2019年にはメルコスール・日本及びメルコスール・ニュージーランド(のEPA)交渉を開始できることを望んでいる(期待している)。」と発言した。
(5)23日、政府は、公共料金の「社会料金(tarifa social)(脆弱層に対する特別料金)」の財政負担の一部を、州政府に負担させたいとして、州政府との協議を行い、一部を州政府が負担することで合意した。
(6)25日、米長期金利上昇の影響、さらには海外居住者へのLEBAC課税開始に伴う海外投資家の売り抜けも相まって、ペソ安圧力が掛かり、中銀は約15億ドルの売り介入を行った。一日のドル売り額としては過去最大規模。26日にも、中銀は約8.5億ドルの売り介入を行った。
(7)27日、中銀は、ペソ安の歯止めを目的として、政策金利を27.25%から30.25%に引き上げた。マクリ政権発足以来最大の引き上げ。


2 経済指標の動向

(1)経済活動全般
 
2月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.1%増、前月比0.2%減となった。

(2)消費:自動車販売
 
4月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比6.8%増、前月比8.6%減となった。

(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産

 3月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月1.2%増となった。
 3月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.4ポイント増の66.8%となった。
(イ)建設活動
 
3月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比8.3%増となった。
(ウ)自動車生産
 
4月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比21.4%増、前月比7.8%減となった。

(4)物価
 3月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比2.3%の上昇となった。
 3月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.9%の上昇となった。

(5)金融
(ア)
Merval指数(株価指数)は、4月末には、前月末1627.11ポイント減の29487.82ポイントとなった。
 また、EMBI+指数は、4月末には前月末比7ポイント減の418ポイントとなった。
(イ)4月末の為替レートは、前月末比1.51%ペソ安、前年同月比32.54%ペソ安の1ドル=20.45ペソであった。
 コールレートは、4月末には28.00%となった。対民間貸出残高は4月末には18,327億ペソとなった。
 外貨準備高は、4月末には前月末比51.03億ドル減の566.26億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
 
3月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比20.9%増、一次歳出が同17.8%増となった結果、基礎的財政収支は147.0億ペソの赤字となった。また、総合収支は、379.0億ペソの赤字となった。
(イ)税収
 4月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比25.7%増の2362.3億ペソ、付加価値税収が同37.4%増の825.81億ペソ(うち、国内分については同30.5%増、税関分については58.0%増)、法人及び個人に係る所得税収が同40.5%増の415.9億ペソ、輸出税収が同3.0%減の87.8億ペソ、社会保障雇用主負担金が同20.3%増の398.8億ペソとなった。

(7)貿易
 3
月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比17.2%増の5,347百万ドル、輸入が同8.8%増の5,958百万ドルとなった結果、貿易赤字は611百万ドルとなった。
(了)

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