アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成29年10月30日

2017年9月の経済情勢

概要
(1)10月の中間選挙に向けて、8月の予備選挙以降、市場は既に与党マクリ政権の勝利及びその後の更なる市場開放的な改革を見込み、月末には、カントリーリスク指標(EMBI+)が366ポイント(予備選挙から78<17.6%>の減)まで減少、Merval指数も26078.29ポイント(同4384.74<20.2%>の増)まで上昇した。
(2)9月末の為替レートは、前月末比0.27%ペソ高、前年同月比13.46%ペソ安の1ドル=17.3183ペソであった。
 
 





1 経済の主な動き

(1)14日、政府は財政責任法案を議会に提出した。同法案は、中央政府(ドゥホブネ財務大臣)と州政府による協議の結果、作成されたものであり、ラ・パンパ州とサン・ルイス州を除く21州1市が合意。
(2)15日、政府は2018年予算法案を下院に提出した。来年の財政赤字目標(GDP比3.2%)達成に向け、補助金や一般行政経費の削減を想定している。
(3)15日、政府は今年末で失効予定の金融取引税(通称「小切手税」)を、2019年末まで延長する法案を議会に提出した。
(4)21日、カプート金融大臣は、今年8月現在の公的債務残高(ドルベース)は3027億ドルで、そのうち75%がドル建てであり、来年の借入の60%は国内市場で調達し、ドル建て債務の比重を軽減したい、と下院予算委員会で発表した。
(5)9月末の為替レートは、前月末比0.27%ペソ高、前年同月比13.46%ペソ安の1ドル=17.3183ペソであった。  

2 経済指標の動向

(1)経済活動全般  
 7月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.9%増、前月比0.7%増となった。  

(2)消費自動車販売
 9月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比12.4%増、前月比0.7%減となった。  

(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
 8月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月5.1%増となった。
 8月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.2ポイント増の67.3%となった。  
(イ)建設活動 
 8月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比13.0%増となった。  
(ウ)自動車生産
 9月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比10.2%増、前月比3.8%増となった。  

(4)物価
 9月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比1.9%の上昇、昨年12月比で17.6%の上昇となった。 9月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比26.2%の上昇、前月比1.6%の増加となった。また、9月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比25.1%の上昇、前月比1.6%の上昇となった。
 9月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.0%の上昇となった。  

(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、9月末には、前月末2489.31ポイント増の26078.29ポイントとなった。
 また、EMBI+指数は、9月末には前月末比26ポイント減の366ポイントとなった。
(イ)9月末の為替レートは、前月末比0.27%ペソ高、前年同月比13.46%ペソ安の1ドル=17.3183ペソであった。
 コールレートは、9月末には24.75%となった。対民間貸出残高は9月末には14,187億ペソとなった。
 外貨準備高は、9月末には前月末比13.61億ドル増の502.37億ドルとなった。    

(6)財政
(ア)財政収支
 8月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比30.8%増、一次歳出が同19.4%増となった結果、基礎的財政収支は246.51億ペソの赤字となった。また、総合収支は、315.45億ペソの赤字となった。  
(イ)税収
 9月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比33.1%増の2240.65億ペソ、付加価値税収が同27.1%増の684.71億ペソ(うち、国内分については同25.4%増、税関分については40.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同50.6%増の518.50億ペソ、輸出税収が同3.7%減の49.80億ペソ、社会保障雇用主負担金が同25.2%増の332.19億ペソとなった。  

(7)貿易
 8月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比9.1%減の5,228百万ドル、輸入が同25.0%増の6,311百万ドルとなった結果、貿易赤字は1,083百万ドルとなった。
(了)
   

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