アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
平成29年11月1日
2017年8月の経済情勢
<概要>
(1)13日の議会中間選挙の予備選挙に向けてペソ安が進み、直前の11日(金)には1ドル=17.71ペソ、カントリーリスク指標(EMBI+)も444ポイントとなっていたところ、選挙の暫定結果を市場は好感を示し、翌14日には、一転してペソ高へ推移し1ドル=17.15ペソ、EMBI+も418まで下落した。 (2)8月末の為替レートは、前月末比1.73%ペソ高、前年同月比16.54%ペソ安の1ドル=17.3650ペソであった。 |
1 経済の主な動き
(1)2日、ハモンド英財務大臣が来亜し、マクリ大統領、フォリー外務大臣、ドゥホブネ財務大臣、カプート金融大臣、ディエトリッチ運輸大臣とそれぞれ会談した。フォリー外務大臣に対しては、亜政府が改革を継続し、持続的且つ包括的な経済成長を達成するのであれば、両国の経済・通商関係は今後も強化を続けるだろうと述べ、ドゥホブネ財務大臣とは、亜の対英輸出の拡大の可能性や来年のG20について、カプート金融大臣とは、インフラ分野の投資について話し合った。
(2)13日に実施された当国連邦議会中間選挙の予備選挙において、大多数の州で与党が支持を獲得した。注目選挙区のブエノスアイレス州の上院議員選挙では野党ペロン党系のフェルナンデス前大統領が僅差で得票率1位となったが、政府与党側は「実質引き分け」と発表し、10月の本選挙に向けて与党候補のブルリッチ前教育大臣が選挙戦を有利に進めると見られている。
(3)13日の予備選挙を前にしてドル需要が高まっていたところ、亜中央銀行は、ペソ安の亢進を抑制(1ドル=18ペソ未満に抑える)するため、先月28日から今月11日までの間に、合計18億ドル超の売り介入を実施した。
(4)15日、来亜したペンス米副大統領はマクリ大統領と会談を行い、来年のG20及び今年末のWTO閣僚会議についても話し合った。その後の共同記者会見において、マクリ大統領は、米が亜のOECD加盟を「非常に明確且つ力強く」支持していることに対する感謝の意を表明した。
(5)15日、ディアス在亜米国商工会議所会長は、政権交代後これまで米国企業は合計25億ドルの対亜投資を行ったとし、2018年及び2019年は合計125億ドルに上る見込みだと述べた。
(6)13日の選挙に向けてペソ安が進み、直前の11日(金)には1ドル=17.71ペソ、カントリーリスク指標(EMBI+)も444ポイントとなっていたところ、選挙の暫定結果を市場は好感を示し、翌14日には、一転してペソ高へ推移し1ドル=17.15ペソ、EMBI+も418まで下落した。
(7)8月末の為替レートは、前月末比1.73%ペソ高、前年同月比16.54%ペソ安の1ドル=17.3650ペソであった。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
6月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.0%増、前月比0.3%増となった。
(2)消費:自動車販売
8月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比19.9%増、前月比5.5%増となった。 (
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産 7月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比5.9%増となった。 7月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.0ポイント減の65.1%となった。
(イ)建設活動 7月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比20.3%増となった。
(ウ)自動車生産 8月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比3.9%増、前月比18.6%増となった。
(4)物価
8月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比1.4%の上昇、昨年12月比で15.4%の上昇となった。 8月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比25.9%の上昇、前月比1.6%の増加となった。また、8月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比24.1%の上昇、前月比1.5%の上昇となった。
8月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.9%の上昇となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、8月末には、前月末2006.58ポイント増の23,588.98ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、8月末には前月末比46ポイント減の392ポイントとなった。
(イ)8月末の為替レートは、前月末比1.73%ペソ高、前年同月比16.54%ペソ安の1ドル=17.3650ペソであった。
コールレートは、8月末には26.50%となった。対民間貸出残高は8月末には13,665億ペソとなった。
外貨準備高は、8月末には前月末比18.62億ドル増の488.76億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
7月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比28.2%増、一次歳出が同23.0%増となった結果、基礎的財政収支は220.90億ペソの赤字となった。また、総合収支は、327.21億ペソの赤字となった。
(イ)税収
8月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比33.5%増の2212.75億ペソ、付加価値税収が同37.5%増の699.34億ペソ(うち、国内分については同37.5%増、税関分については46.3%増)、法人及び個人に係る所得税収が同36.7%増の474.14億ペソ、輸出税収が同47.8%増の65.84億ペソ、社会保障雇用主負担金が同27.4%増の329.71億ペソとなった。
(7)貿易
7月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比5.7%増の5,241百万ドル、輸入が同28.8%増の6,039百万ドルとなった結果、貿易赤字は798百万ドルとなった。
(了)
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