2016年5月アルゼンチンの経済情勢
2016年6月作成
在アルゼンチン大使館
概要
(1)11日から13日にかけて、ガブリエラ・ミケティ副大統領が訪日し、11日には安倍総理大臣を表敬した。その中で安倍総理から日亜関係を更に発展させていきたい旨発言があった。
(2)5月末の為替レートは、前年同月比55.88%ペソ安の1ドル=14.0127ペソとなった。
経済の主な動き
(1)5日、2005年及び2010年の債券交換に参加した債券保有者(新債券保有者)に対する支払金が、債券保有者の口座に振り込まれた。これに伴い、4日、外貨準備高が約27億ドル減少した。
(2)7日、新債券保有者に対する支払いを再開したことから、S&Pは、亜の外貨建長期国債の格付けをSD(選択的債務不履行)からB-へ引き上げた。
(3)11日から13日にかけて、ガブリエラ・ミケティ副大統領が訪日し、11日には安倍総理大臣を表敬した。その中で安倍総理から日亜関係を更に発展させていきたい旨発言があり、それを受けてミケティ副大統領からは日本から質の高い投資を受け入れたい旨発言があった。なお、12日には日亜貿易投資合同委員会が設置されることが確認され、日亜官民経済フォーラムが開催された。
(4)11日、GM社は、新車モデル製造開始に向け、7億4000万ドルの投資を発表した。
(5)12日、プラット・ガイ財務・金融大臣は、2016年下半期より、未申告外貨の正規化(Blanqueo)制度の導入を発表した。未申告外貨の正規化制度に参加する際には、申告額の約10%が課税される予定。
(6)19日、IDBは2016年の対亜融資を3億ドル増額する旨発表した。これにより、2016年のIDBの対亜融資は合計11.5億ドル超となる。
(7)20日、マルコーラ外相が次期国連事務総長選挙に出馬する旨発表された。
(8)31日、JPモルガンはアルゼンチンのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の取り扱いを再開したと発表した。2014年のテクニカル・デフォルト以降、CDS取引は行われていなかった。
経済指標の動向
(1)経済活動全般
1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、経済活動指数(INDEC発表)の発表は、10月分以降、一時停止されている。
(2)消費:自動車販売
5月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比19.8%増、前月比0.3%減となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産 (イ)建設活動
4月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比6.7%減となった。
なお、1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、稼働率、及び、建設活動指数の発表は、11月分以降、一時停止されている。
(ウ)自動車生産
5月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比9.6%減、前月比10.5%減となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価 (イ)雇用・賃金等
5月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比4.2%の上昇となった。(前年同月比の発表はなし。)5月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比44.4%、前月比5.0%の上昇となった。また、5月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比43.6%、前月比3.5%の上昇となった。
なお、1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、卸売物価指数、及び、給与指数の発表は、11月分以降、一時停止されている。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、5月末には、前月末比1042ポイント減の12,681ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、5月末には前月末比22ポイント減の522ポイントとなった。
(イ)為替レートは、5月末には前月末比1.72%ペソ高、前年同月比55.88%ペソ安の1ドル=14.0127ペソとなった。
コールレートは、5月末には32.25%となった。対民間貸出残高は5月末には8,593億ペソとなった。
外貨準備高は、5月末には前月末比27.35億ドル減の316.45億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
4月の財政収支(財務・金融省発表)は、歳入が前年同月比25.0%増、一次歳出が同18.3%増となった結果、基礎的財政収支は127.58億ペソの赤字となった。また、総合収支は、170.75億ペソの赤字となった。
(イ)税収
5月の税収(以下、財務・金融省発表)は、前年同月比23.3%増の1703.44億ペソ、付加価値税収が同41.1%増の457.87億ペソ(うち、国内分については同31.6%増、税関分については56.4%増)、法人及び個人に係る所得税収が同1.3%減の443.20億ペソ、輸出税収が同0.7%減の78.92億ペソ、社会保障雇用主負担金が同42.5%増の246.50億ペソとなった。
(7)貿易
4月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比8%減の4,756百万ドル、輸入が同11%減の4,424百万ドルとなった結果、貿易黒字は332百万ドルとなった。
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