アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和3年9月22日

2021年4月の経済情勢

 

概要
(1) 13~20日、グスマン経済大臣は、IMF及びパリクラブとの債務問題への対応のため欧州各国を歴訪し、ローマ教皇の他、独、伊、西、仏及び露の当局者とそれぞれ会談を行った。
(2) 26日、ソラー外務大臣は、メルコスール議長国として共同市場審議会(CMC)の外相会議をオンラインで開催したが、対外共通関税及び対外貿易交渉のアジェンダについて加盟国間の認識の一致には至らなかった。
 


 


1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 5日、グスマン経済大臣は、オンライン開催された24か国グループ(G24)財務大臣会議に出席し、IMFの上乗せ金利ポリシーの見直し及び特別引出権(SDR)の自主的な再配分メカニズムの確立が必要であると主張した。
(2) 6日、政府は、必要緊急大統領令(DNU)第234/2021号を発出し、「輸出のための投資強化制度」を創設することを決定した。これにより、企業は、輸出を目的とした1億ドル以上の新規投資または再投資を行うことを条件に、輸出金額の20%を上限に外貨取得枠を得て、それを対外支払いに充てることが可能となる。
(3) 7日、ネメ外務副大臣(国際経済関係)は、メルコスール議長国として第118回共同市場グループ(GMC)会合をオンラインで開催し、対外共通関税及び対外貿易交渉のアジェンダを取り上げた。
(4) 7日、グスマン経済大臣は、オンライン開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席し、IMFの上乗せ金利ポリシーの見直し及びSDRの自主的な再配分メカニズムの確立が必要であると改めて主張した。後者の点について、亜経済省と墨大蔵公債省は、中所得国へのSDRの再配分の重要性に関する共同声明を発出した。
(5) 8日、グスマン経済大臣は、オンライン開催された第43回IMF国際通貨金融委員会(IMFC)に出席し、IMFの上乗せ金利ポリシーの見直し及びSDRの中所得国への自主的な再配分メカニズムの確立が必要であると改めて主張した。
(6) 8日、上院は、個人所得税の改正法を承認した。これにより、給与総額が月額15万ペソまでの給与所得者126万人が新たに非課税となり、480億ペソ規模の減税となる。
(7) 10日、政府は、法人所得税の改正法案を下院に提出した。個人所得税の減収を法人所得税で穴埋めするため、大企業への増税を目的とする累進課税制度を取り入れる。
(8) 13日~20日、グスマン経済大臣は、IMF及びパリクラブとの債務問題への対応のため欧州各国を歴訪し、シュミット独財務次官、ローマ教皇フランシスコ、フランコ伊経済財務大臣、カルビーニョ西第3副首相兼経済問題デジタル移行大臣、ル・メール仏経済財務大臣及びシルアノフ露財務大臣等とそれぞれ会談を行った。
(9) 14日、ネメ外務副大臣(国際経済関係)は、計700億ドルの輸出を目指す2021年輸出促進計画を発表した。
(10) 19日、農牧漁業省は、穀物、肉類及び乳製品の輸出の監視を強化する新たな情報登録措置を導入することを発表した。また20日、肉類の輸出に際しては「肉類輸出の宣誓供述書(DJEC)」の提出を新たに義務付けることも発表した。
(11) 20日、生産開発省は、インフレの統制のため、法律第26992/2014号に則って価格動向調査局を設置し、不当な高価格販売を監視することを発表した。
(12) 22日、政府は、決議第266/2021号により解雇・一時解雇禁止令を5月31日まで再び延長することを決定した。
(13) 22日、政府は、テレビや携帯電話などの電子機器の販売価格を10月末まで凍結することを発表した。
(14) 22日、フェルナンデス大統領は、バイデン米大統領のイニシアティブでオンライン開催された気候サミットに出席し、亜がパリ協定を尊重することを確認した。
(15) 26日、ソラー外務大臣は、メルコスール議長国として共同市場審議会(CMC)の外相会議をオンラインで開催した。対外共通関税及び対外貿易交渉のアジェンダについて加盟国間の認識の一致には至らず、改めて5月以降に外相会議を開催することが決まった。
(16) 27日、国家雇用・生産性・最低賃金評議会は、最低賃金を月額2万1,600ペソから2022年2月までに段階的に月額2万9,160ペソまで計35%引き上げることで合意した。
(17) 28日、政府は、パラグアイ-パラナ河川水路事業について、決議第129/2021号により、30日に期限を迎える現行のコンセッション契約を90日間延長した。
(18) 29日、メルコスール4か国は、電子商取引協定への署名を行った。

2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
3月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.2%減、前年同月比11.4%増となった。

(2)消費自動車販売
  9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 2021年計
台数 35,065 33,320 31,431 38,994 27,303 26,676 32,359 29,876 116,214
前年比 30.5% 22.5% 37.3% 25.2% 6.1% ▲1.9% 71.0% 297.7% 46.5%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 2021年計
台数 17,903 14,845 11,503 17,200 11,924 15,055 22,394 15,848 65,221
前年比 ▲17.0% ▲23.2% ▲35.8% ▲9.3% 37.2% ▲16.9% 60.8% 564.2% 51.3%
 
(3)工業生産・建設活動
)自動車生産
  9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 2021年計
台数 32,149 28,706 32,570 30,172 24,308 21,809 43,160 29,315 118,592
前年比 16.1% ▲9.8% 20.2% 107.7% 17.5% ▲16.5% 125.2% 皆増 79.7%
 
(イ)工業生産
3月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比32.8%増となった。

(ウ)建設活動
3月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比97.6%増となった。

(4)物価
4月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比4.1%、前年同月比46.3%の上昇となった。
4月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比4.8%、前年同月比61.3%の上昇となった。

(5)金融
(ア)EMBI+指数は、4月末には前月末比38ポイント減の1551ポイントとなった。
(イ)為替レートは、4月末には前月末比1.7%ペソ安の1ドル=93.56ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、4月末には前月末比7億ドル増の402.6億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
4月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比43.4%増、一次歳出が同3.4%増となった結果、基礎的財政収支は114.4億ペソの赤字となった。また、総合収支は、570.3億ペソの赤字となった。

(イ)税収
4月の税収(経済省発表)は、前年同月比105.2%増の8,178.8億ペソとなった。

(7)貿易
4月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比41.9%増の6,143百万ドル、輸入が同60.1%増の4,673百万ドルとなった結果、貿易収支は1,470百万ドルの黒字となった。

 

(了)

 

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