アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和4年12月29日

2022年11月の経済情勢

 
<概要>
(1) 15日、フェルナンデス大統領は、習近平中国国家主席と会談を行い、通貨スワップ協定の拡充及びサンタ・クルス州水力発電所建設計画への融資再開について合意した。
(2) 16日、2023年予算法案が上院で可決され、成立した。
(3) 25日、マサ経済大臣は、「大豆ドル」を再導入し、大豆・大豆関連製品の輸出代金をペソに両替する際の為替レートとして1ドル=230ペソを適用することを発表した。
 


1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1) 2日、カフィエロ外務大臣は、モッシ中米経済統合銀行(BCIE)総裁と南米地域において初となるBCIE支店の亜への開設に向けた協定を締結した。
(2) 2日、マサ経済大臣は、外貨準備高の増強のため外貨を正規市場に誘導する観点から、外国人観光客が国外発行カードで国内消費を行った際の参照レートに、対ドル並行為替レートの一つであるMEPレートを用いることを発表した。
(3) 4日、中国チベット・サミット・リソーセス社は、サルタ州における総額22億ドルのリチウム開発計画二件を発表した。
(4) 11日、マサ経済大臣は、新たな価格統制策「Precios Justos」を通じ、生活必需品約1800品目の価格を120日間凍結することを正式に発表した。
(5) 11日、フェルナンデス大統領は、20日に投票執行されるIDB総裁選挙の候補者として、亜からトデスカ外務副大臣(国際経済関係担当)を擁立することを決定した。
(6) 15日、フェルナンデス大統領は、G20サミットに出席するため訪問中のインドネシアにおいて、習近平中国国家主席と会談を行い、通貨スワップ協定の50億ドル相当の拡充及びサンタ・クルス州水力発電所建設計画への融資再開について合意した。
(7) 16日、フェルナンデス大統領及びマサ経済大臣は、ゲオルギエバIMF専務理事と会談を行った。
(8) 16日、2023年予算法案が上院で可決され、成立した。
(9) 20日、伯出身のゴールドファインIMF西半球局長がIDB総裁に選出された。亜は投票直前にトデスカ外務副大臣(国際経済関係担当)の候補指名を取り下げた。
(10)    22日、政府は、国家雇用・生産性・最低賃金評議会が最低賃金の20%引上げで合意したことを発表した。
(11)    23日、シンガポールFusion Enertech International社は、カタマルカ州、フフイ州及びサルタ州における12億ドル規模のリチウム開発計画を発表した。
(12)    25日、マサ経済大臣は、大豆輸出に対し優遇為替レートを適用する制度(通称「大豆ドル」)を再導入し、28日から12月30日までの間、大豆・大豆関連製品の輸出代金をペソに両替する際の為替レートとして1ドル=230ペソを適用することを発表した。
(13)    30日、IDBは、亜に対する気候変動対策のための5億ドルの融資計画を承認した。
 

2 経済指標の動向
 
(1)経済活動全般

 10月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.3%減、前年同月比4.5%増となった。

 
(2)消費:自動車販売 
  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 2022年計
台数 30,861 33,730 37,236 29,432 29,171 34,605 33,087 35,212 342,740
前年比 3.3% 20.4% 32.1% 20.8% 11.9% 34.6% 30.8% 26.6% 13.6%

(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表) 
  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 2022年計
台数 27,431 26,781 31,892 22,937 32,479 35,391 37,326 31,365 299,681
前年比 73.1% 34.4% 40.3% ▲1.0% 30.2% 40.3% 43.9% ▲3.5% 25.0%

(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産 
  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 2022年計
台数 43,826 46,422 48,392 44,033 54,057 52,193 52,415 53,378 499,774
前年比 49.5% 32.8% 20.9% 37.9% 40.9% 19.9% 27.8% 14.8% 26.6%

 (イ)工業生産

10月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比3.5%増となった。

 
(ウ)建設活動

10月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比0.9%減となった。

 
(4)物価

11月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比4.9%、前年同月比92.4%の上昇となった。

11月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比6.3%、前年同月比87.7%の上昇となった。

 
(5)金融 

(ア)EMBI+指数は、11月末には前月末比377ポイント減の2248ポイントとなった。

(イ)為替レートは、11月末には前月末比6.6%ペソ安の1ドル=167.3ペソとなった。

(ウ)外貨準備高は、11月末には前月末比7億ドル減の380.0億ドルとなった。

 
(6)財政 

(ア)財政収支

11月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比72.1%増、一次歳出が同71.8%増となった結果、基礎的財政収支は2,278億ペソの赤字となった。また、総合収支は、5,313億ペソの赤字となった。 

(イ)税収

11月の税収(経済省発表)は、前年同月比88.8%増の19,539億ペソとなった。

 
(7)貿易

11月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比14.5%増の7,089百万ドル、輸入が同0.3%減の5,750百万ドルとなった結果、貿易収支は1,339百万ドルの黒字となった。

 

 

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