経済情報
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2012年1月アルゼンチンの経済情勢

 

2012年2月作成

在アルゼンチン大使館

1 概要


(1)亜連邦歳入庁(AFIP)は、2月1日より、すべての輸入に対して、事前にAFIPの求める情報を提供しなければならないとする事前輸入宣誓供述制度を創設した。AFIPは、書類提出後、72時間以内に回答するとし、国内取引庁は、審査期間を最大15日間とした。


(2)政府発表では、1月の消費者物価の伸びは前年同月比9.7%の上昇と、引き続き高い水準とされた。他方、民間においては、公式統計は引き続き実態を下回っているものと見られており、民間コンサルタント8社の推計集計値ではさらに高い22.66%となっている。


(3)12月の消費及び生産は、引き続き好調であった。市場見通しでは12年の成長率は4.6%と予測されている。
 12月の貿易は、輸出が前年同月比14%増、輸入が同11%増となった結果、貿易黒字は同137%増となった。 
 12月の財政収支の黒字は、前年同月比268.3%減となり、また、総合収支は、223.5億ペソの赤字と、4ヶ月連続で赤字となった。


(4)為替レートは、緩やかにペソ安となり、前月末比0.8%ペソ安の1ドル=4.3362ペソとなった。また、M2は、前年同月比28.4%増と、2004年以来の高い伸び率を続けている。株価指数であるMerval指数は、31日には前月末比325ポイント増となった。カントリーリスク指数であるEMBI+は、31日には前月末比105ポイント減となった。

 

2 経済の主な動き


(1)経済全般


 3日、亜動植物衛生事業団(SENASA)は、2日にパラグアイで再発した口蹄疫について、亜国内における非常事態宣言を維持すると発表。
 4日、国際通商長官補ポストに、パウラ・エスパニオール氏(生産研究センター(CEP)所長)を任命。
 5日、農牧漁業省は、小麦輸出について、国内消費分700万トンを除いた分の輸出を自由化する新スキームを発表。
 10日、亜連邦歳入庁(AFIP)は、2月1日より、すべての輸入に対して、事前にAFIPの求める情報を提供しなければならないとする事前輸入宣誓供述制度を創設。
 13日、国内取引庁は、AFIPが創設した事前輸入宣誓供述制度への参加を決定。
 16日、ブドゥー副大統領、デビード公共事業相等は、YPF社、シェル社、ペトロブラス社、エッソ社及びオイル社の国内石油会社5社がガソリン販売において価格カルテルを行っていると批判。
 17日、経済省経済政策庁について、名称の変更(経済政策・開発企画庁)、経済企画副庁の新設、金融庁国家参加企業局からの移管等を発表。
 23日、AFIPは、事前輸入宣誓供述制度について、72時間以内に回答することとした。また、国内取引庁は、審査期間を最大15日間とした。
 25日、フェルナンデス大統領は、国内の石油会社の生産量が不十分であるために、燃料輸入が貿易収支を圧迫していること、また、それらの会社が政府から補助金を受けていながら再投資を十分に行っていないこと等を批判。
 27日、ジョルジ産業相は、特殊鋼メーカー、鍛造業者、国内に生産拠点を持つ自動車メーカー幹部と会合を行い、「自動車産業で使われる部材のうち、国内で生産可能なものについて、すべて輸入を止める。」、「自動車メーカー、自動車部品メーカー、材料メーカーは輸入代替に取り組まなければならない」と説明。

 

(2)物価・賃金


 1日、ブエノスアイレス市及び周辺部の高級住宅地等の約28万世帯(100万人)について、電気、水道、ガスの補助金を削減。
 4日、ブエノスアイレス市地下鉄運営機関(SBASE)は、6日以降、地下鉄料金を1.1ペソから2.50ペソ(+127%)に引き上げると発表。
 24日、植物油製造業界は、24%の賃上げで経営側と合意。
 25日、石油労組は、23%の賃上げで経営側と合意。

 

(3)金融・財政


 1日、バイオディーゼルについて、液体燃料・天然ガス税及び軽油税の免除措置が昨年末で期限を迎えたため、1月1日より課税されることになった。
 3日、地下鉄運営権が中央政府からブエノスアイレス市政府に委譲された。今後1年間は、中央政府からの補助金が減額され、2013年には中央政府からの補助金は全廃される。
 6日、自動車及び二輪車にかかる内国税の課税最低限が引き下げられた。改正前は店頭価格約6万ドル以上の自動車が課税対象となっていたが、改正後は約4.5万ドル以上が対象となる。
 26日、中銀理事会は、バーゼルUに基づき、新しい自己資本比率規制を発表。オペレーショナル・リスクのカバーのための新たな基準を導入したほか、利益分配前の最低資本額の追加的バッファーを30%から75%に引き上げている。
 30日、長距離バス会社の高速道路料金に対する補助金が廃止された。

 

3 経済指標の動向


(1)経済活動全般


 11月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比7.7%増、前月比0.7%増と、前月比の増加幅が拡大した。
 1月のREM(民間エコノミストの予測の中銀による集計値)の平均では、12年の実質GDP成長率は前月の予測と同じ4.6%と予測されている。

 

(2)消費


(ア)小売


 12月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比24.4%増、前月比56.1%増となり、前月比が再び増加に転じた。スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比24.9%増、前月比26.8%増となり、24ヶ月連続で前年同月比の伸びが2桁台となった。


(イ)自動車販売


 1月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比8.6%増、前月比24.0%減となった。

 

(3)工業生産・建設活動


(ア)工業生産


 12月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比0.1%増、前月比0.8%増と、前年同月比の増加幅は大きく減少した。分野別では、自動車において大幅な減少が見られたほか、金属機械、石油精製、飲食料品等が好調だった。
 12月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比1.0%減、前月比2.2%%減の81.9%となった。分野別では、化学、飲食料品等において上昇が見られた一方で、自動車等においては下落が見られた。
 REMの平均では、12年の工業生産指数の上昇率は前月の予測より0.1%減の前年比4.5%増と予測されている。


(イ)建設活動


 12月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比2.7%増、前月比1.2%増となり、前月比が再び増加に転じた。


(ウ)自動車生産


 1月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比10.5%減、前月比19.8%減と、2ヶ月連続の減少となった。

 

(4)物価・雇用


(ア)物価


 1月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前年同月比9.7%、前月比0.9%の上昇と、引き続き高い水準となった。娯楽において、前月比1.9%増と、高い伸びが見られた。他方、民間においては、公式統計は引き続き実態をかなり下回っているものと見られており、一部の野党議員らは、民間コンサルタント会社8社による推計の集計値として、1月の消費者物価は、前年同月比22.66%、前月比1.9%の上昇となったと発表した。
 1月の卸売物価指数は、前年同月比12.5%、前月比0.9%の上昇となり、引き続き高い水準となった。
 REMの平均では、12年の消費者物価指数の上昇率は前年比13.8%と予測されている。


(イ) 雇用・賃金等


 12月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比29.45%増、前月比2.37%増と、引き続き高い水準となった。民間正規部門及び民間非正規部門においても同様の上昇が見られた。
REMの平均では、12年の給与指数の上昇率は前月の予測より0.16%減の前年比22.89%増、12年の失業率は前月の予測より0.1%減の7.1%と予測されている。

 

(5)金融


(ア)株価指数であるMerval指数は、25日まで徐々に上昇した後、やや下落し、31日には、前月末比325ポイント増の2,787ポイントとなった。
また、カントリーリスク指数であるEMBI+は、23日まで徐々に減少した後、やや上昇し、31日には前月末比105ポイント減の822ポイントとなった。


(イ)為替レートは、ドルへの両替規制、中銀による介入等により、引き続き安定して推移しつつ、緩やかにペソ安となり、31日には前月末比3.3センターボ(0.8%)ペソ安の1ドル=4.3362ペソとなった。他方、非正規為替市場においても、ペソ安傾向が継続しており、31日には1ドル=4.79ペソ程度となった。
 コールレートは、安定的に推移し、31日には前月末より0.12%増の9.5%となった。民間金融機関預金残高は、31日において、前年同月末比26.9%増、前月末比1.1%増の3,297億ペソとなり、3ヶ月連続で前年同月比が30%を下回った。対民間貸出残高は、31日、前年同月末比44.5%増と、引き続き高い伸び率となり、13ヶ月連続で40%を超えた。M2は、前年同月比28.4%増と、2004年以来の高い伸び率を続けている。
 外貨準備高は、持ち直す傾向にあり、31日には前月末比2.2億ドル増の465.9億ドルとなった。
 REMの平均では、12年の為替レートは1ドル=4.9526ペソ、12年の外貨準備高は473億ドルと予測されている。

 

(6)財政


(ア)財政収支


 12月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比8.5%増、一次歳出が同19.9%増となった結果、一次財政収支は同268.3%減の81.1億ペソの赤字となった。また、総合収支は、223.6億ペソの赤字と、4ヶ月連続で赤字となった。
 REMの平均では、12年の一次財政黒字は前月の予測より1億ペソ減の94億ペソと予測されている。


(イ)税収


 1月の税収(経済省発表)は、前年同月比29.6%増の528.4億ペソとなり、引き続き大幅に増加した。付加価値税収が同27.8%増の15,133百万ペソ(うち、国内分については同36.0%増、税関分については5.0%増)、法人及び個人に係る所得税収が同33.6%増の9,502百万ペソ、輸出税収が同28.2%増の4,622百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同33.9%増の9,334百万ペソとなった。
 REMの平均では、12年の税収は6,651億ペソと予測されている。

 

(7)貿易


 12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比14%増の6,269百万ドル、輸入が同11%増の5,989百万ドルとなった結果、貿易黒字は同137%増の280百万ドルとなった。輸出については、ほとんどの分野において増加が見られた。大豆関連品・トウモロコシ等の穀物や原油等が主に増加した一方、銅鉱石等が減少した。輸入についても、全分野において増加が見られ、特に液化天然ガスや輸送部品は大幅増となった。
REMの平均では、12年の輸出は前月の予測より2億ドル増の874億ドル、輸入は同4億ドル減の796億ドルと予測されている。

 

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