アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和4年7月13日

2022年5月の経済情勢

 

<概要>
(1) 20日、インフレ対策を担当する国内通商部局が生産開発省から経済省に移管され、これを受けて23日、フェレッティ国内通商担当副大臣が辞任した。
(2)31日、亜連邦歳入庁は、炭酸リチウムの北米及びアジアに対する輸出に係る最低価格を53ドル/kgと規定する一般決議を発出した。


1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1) 4日、クルファス生産開発大臣は、サルタ州で開催されたリチウム委員会(Mesa de Litio)に出席した。同委員会において、サルタ州、フフイ州及びカタマルカ州の各知事による署名が行われ、地域リチウム委員会(Comite Regional de Litio)が正式に発足した。
(2) 5日、亜中央銀行は通達第A7507号を通じ、医薬品や医薬品原材料の輸入代金支払いに係る資本規制を一部緩和した。
(3) 10日、IMFは、亜のプログラムに関する一次レビューをオンライン形式で開始した。
(4) 10日、政府は、電気、ガス及び水道に係る公共料金引上げに向けた公聴会を開始した。
(5) 11日、政府は、最低賃金の引上げを1か月前倒しし、6月1日から45,540ペソとすることを決定した。
(6) 12日、亜中央銀行は、同日にINDECが4月のインフレ率を発表したことを受け、政策金利を5か月連続で引き上げ、49%に設定した。
(7) 12日、農牧水産省は決議第27/2022号を通じ、ビオセレス社と国家科学技術研究会(CONICET)が共同開発した遺伝子組換え小麦「HB4小麦」の国内販売を承認した。
(8) 17日、クルファス生産開発大臣は、西バルセロナで開催されたグリーン水素に関する国際展示会に参加した。
(9) 19日、INDECは、18日に実施された国勢調査の暫定結果を発表し、亜の人口が前回調査の2010年から約721万人増(18.0%増)の約4,733万人となったことを報告した。
(10) 20日、政府は、インフレ対策を担当する国内通商部局を生産開発省から経済省に移管することを発表した。
(11) 23日、フェレッティ国内通商担当副大臣が辞任し、後任としてハング亜中央銀行理事が就任した。
(12) 23日、フェルナンデス大統領は今後半年以内に流通開始を予定する新紙幣のデザインを発表した。
(13) 27日、グスマン経済大臣は、個人所得税の課税最低限を6月以降約22.6万ペソから約28.1万ペソに引き上げることを発表した。
(14) 28日、政府は大統領令第277/2022号を通じ、炭化水素(石油及び天然ガス)の生産者を対象に、前年比での増産分に対し外貨取得枠を付与する新たな優遇制度を導入した。
(15) 30日、中国Ganfeng Lithium社は、サルタ州において年間2万トンの炭酸リチウム生産を可能にする約6億ドルの投資に基づくリチウム生産プラント建設計画を開始した。
(16) 31日、政府は大統領令第286/2022号を通じ、パリクラブに対する延滞債務の返済期限を最長2024年9月30日まで延長することを国内的に決定した。
(17) 31日、亜連邦歳入庁は一般決議第5197/2022号を通じ、純度99.5%以上の炭酸リチウムの北米及びアジアに対する輸出申告額の予防的参照価格(最低価格)を53ドル/kgと規定した。

2 経済指標の動向
 
(1)経済活動全般
 4月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.6%増、前年同月比5.1%増となった。
 
(2)消費:自動車販売
  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 2022年計
台数 25,291 27,811 32,723 20,147 25,432 33,827 30,861 33,730 143,997
前年比 ▲24.1% ▲11.5% ▲16.1% ▲26.2% ▲4.7% 4.5% 3.3% 20.4% ▲0.2%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 2022年計
台数 25,938 32,513 19,615 9,298 20,024 24,623 27,431 26,781 108,157
前年比 74.7% 182.6% 14.0% ▲22.0% 33.0% 10.0% 73.1% 34.4% 27.0%
 
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 2022年計
台数 41,002 46,490 39,849 18,651 37,661 48,746 43,826 46,422 195,306
前年比 42.8% 42.7% 32.1% ▲23.3% 72.7% 12.9% 49.5% 32.8% 27.2%
 
(イ)工業生産
 4月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.7%増となった。
 
(ウ)建設活動
 4月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比8.8%増となった。
 
(4)物価
 5月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比5.1%、前年同月比60.7%の上昇となった。
 5月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比5.2%、前年同月比54.8%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、5月末には前月末比117ポイント増の1918ポイントとなった。
(イ)為替レートは、5月末には前月末比4.2%ペソ安の1ドル=120.2ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、5月末には前月末比4億ドル減の415.6億ドルとなった。
 
(6)財政
(ア)財政収支
 5月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比73.2%増、一次歳出が同95.6%増となった結果、基礎的財政収支は1,624.1億ペソの赤字となった。また、総合収支は、2,424.3億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
 5月の税収(経済省発表)は、前年同月比79.9%増の1兆5,513億ペソとなった。
 
(7)貿易
 5月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比21.6%増の8,226百万ドル、輸入が同53.1%増の7,870百万ドルとなった結果、貿易収支は356百万ドルの黒字となった。
(了)
 

 

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