1 概要
(1)21日、キシロフ経済相は、パリクラブ議長に対し、返済計画を提出した。同経済相は、パリクラブ側の反応について楽観視していると述べたほか、IMF等のコンディショナリティーは受け入れられないと述べた。
(2)23日、カピタニッチ官房長官が、前日に中銀は為替介入を行わなかった旨発言したことを受け、ペソが急落した。
(3)1月の民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前年同月比30.78%の上昇となった。1月末の為替レートは、前年同月比62.11%ペソ安の1ドル=8.0182ペソとなった。
2 経済の主な動き
(1)経済全般
14日、世銀の世界経済見通しにおいて、亜の経済見通しは、2013年5.0%(前回3.1%)、2014年2.8%(前回3.0%)となった。
21日、亜連邦歳入庁(AFIP)は、AFIP規則第3579/2014号において、個人がインターネットを通じて外国の事業者から商品を購入し、郵便またはクーリエで商品を受け取る個人輸入の場合、商品受け取り前にAFIPサイトを通じて輸入を申告しなければならないとした。さらに、22日、AFIP規則3582/201号において、免税(一人あたり年25ドルまで)での個人輸入を年2回に制限する規則を発表した(免税を超過する分については、関税50%が賦課される)。
(2)貿易・通商
4日、ニデラ社の小麦の輸出にかかる虚偽報告に対し、AFIPは、同社のCUIT番号を無効にした上で、密輸及び文書偽造の疑いで告訴した。その後、ニデラ社は、AFIPの処分について、8日、ロサリオ市裁判所に提訴した。
13日、農牧漁業省は、2013/2014年期の小麦生産量を、920万トンに上方修正した。それを受け、経済省は、2013/2014年期の小麦輸出枠150万トン分を段階的に解禁する旨発表し、まずは、50万トン分を解禁した。
(3)金融・財政
7日、中銀は2014年の通貨プログラムを発表した。2014年の民間マネーサプライの伸びを、23.5%〜27.9%とした。
8日、昨年12月に成立した内国税(奢侈税)の一部を改正する法案について、政令第2/2014号において、二輪車及び船舶について、以下の通り一部修正を行った。
二輪車(税抜き価格):5万ペソ超(修正前2.2万ペソ超):50%、2.8万ペソ〜5万ペソ以下:30%、2.8万ペソ以下:0%。
船舶・船外機(税抜き価格):22万ペソ超(修正前17万ペソ超):50%、12.5万ペソ〜22万ペソ以下(修正前10万ペソ〜17万ペソ以下):30%、12.5万ペソ以下:0%。
10日、ロレンシーノ経済省債務再編室長は、正式にEU大使に任命(兼任)された。
21日、キシロフ経済相は、パリクラブ議長に対し、返済計画を提出した。同経済相は、同返済計画はポジティブなものであり、パリクラブ側の反応について楽観視していると述べたほか、IMF等のコンディショナリティーは受け入れられないと述べた。
22日、政令84号において、新たな給付金制度(ProgresAR)を設立した。受給資格は、18〜24歳で、就学している者または就学予定の者で、本人または家族に一定以上の収入がない者となっており、月額600ペソを支給する。
23日、カピタニッチ官房長官は、前日の22日には中銀が為替介入を行わなかった旨発言した。その発言を受け、ペソは急落し、23日の終値は、前日比8.9%減の1ドル=7.5272ペソ(中銀参照レート)となった(ドル売りレートでは12.4%減の1ドル=8.0100ペソ)。この急落は、米国の量的緩和縮小の影響を受けたものであり、他の新興国の通貨下落に影響した旨報じられたが、必ずしもそうとは言い切れない面もあるとの指摘がある。また、同官房長官発言は、国内事情から、意図的に行ったものとの指摘もあり、そうでもないとの指摘もある。
27日、2011年11月頃から禁止されていた預金目的の外貨購入制限が、AFIP3583号により、一部緩和された。購入制限緩和の対象者は、正規雇用労働者またはAFIPに登録済みの自営業者でありかつ月収7,200ペソ以上の者で、月収の20%または月2,000ドルまで購入できる。同外貨購入には20%の課金がなされるが、1年以上預金した場合は、同課金が免除される。
(4)物価・賃金
3日、亜政府は、当地大手小売業者との間で新たな価格合意を発表した。同合意は、首都圏のスーパーマーケットのみに適用され、対象商品は食品を中心に100品目であり、期間は1年間(四半期毎に価格見直し)となっている。その後、上記(3)のペソ急落によるインフレ圧力のため、同合意の再考を求める声も上っている。
3 経済指標の動向
(1)経済活動全般
11月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比3.2%増、前月比0.3%増となった。
(2)消費
(ア)小売
12月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比28.8%増、前月比62.7%増となり、スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比49.3%増、前月比42.3%増となった。
(イ)自動車販売
1月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比19.4%減、前月比47.4%減となった。なお、2013年の中古車販売台数は、前年比5.1%増の184.5万台となり、過去最高を記録した。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
12月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.9%減、前月比3.4%減となった。分野別では、自動車等において減少が見られた一方で、基礎金属等が好調だった。
12月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比3.7%減、前月比3.2%減の72.1%となった。分野別では、石油化学や基礎金属等において上昇が見られた一方で、自動車等において下落が見られた。
(イ)建設活動
12月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.4%増、前月比1.9%減となり、前年同月比が11ヶ月連続の増加となった。
(ウ)自動車生産
1月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比17.9%減、前月比19.5%減となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
今までの消費者物価指数(CPI)の対象は首都圏のみとされていたところ、新たにINDECは、全国規模のCPI統計の公表(IPCNu)を1月分より始めた。それによると、1月のインフレ率は前月比3.7%の上昇とされた。医療費において、前月比5.9%増と、高い伸びが見られた。
1月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比30.78%、前月比4.6%の上昇と発表された。12月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前月比2.26%となった。
1月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比19.2%、前月比2.5%の上昇となった。
(イ)雇用・賃金等
12月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比25.88%増、前月比1.19%増となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、1月末には、前月末比627ポイント増の6,018ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、1月末には前月末比280ポイント増の1088ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2001年以降ドル建て新規国債を発行していない。)
(イ)為替レートは、ペソ安となり、1月末には前月末比23.02%、前年同月比62.11%ペソ安の1ドル=8.0182ペソとなった。
コールレートは、1月末には前月末比21.00%減の11.00%となった。民間金融機関預金残高は、1月末において、前年同月末比29.1%増の5,590億ペソとなった。対民間貸出残高は、1月末には前年同月末比33.1%増となった。
外貨準備高は、1月末には前月末比28.56億ドル減の277.48億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
12月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比25.9%増、一次歳出が同33.2%増となった結果、基礎的財政収支は198.98億ペソの赤字となった。また、総合収支は、256.21億ペソの赤字となった。
(イ)税収
1月の税収(経済省発表)は、前年同月比37.5%増の903.07億ペソとなった。付加価値税収が同42.3%増の27,222百万ペソ(うち、国内分については同43.7%増、税関分については43.3%増)、法人及び個人に係る所得税収が同46.9%増の18,372百万ペソ、輸出税収が同34.7%増の4,005百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同33.8%増の16,469百万ペソとなった。
(7)貿易
12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比9.1%減の5,447百万ドル、輸入が同5.3%減の5,175百万ドルとなった結果、貿易黒字は同48.6%減の272百万ドルとなった。輸出では、主に乳製品や化学品等が増加した一方、穀物等が減少した。輸入では、主に中間財が減少した一方、主に自動車等が増加した。
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