経済情報
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2014年4月アルゼンチンの経済情勢

 

2014年5月作成

在アルゼンチン大使館

 

 

1 概要

 

(1)IMFは世界経済見通し(WEO)において、亜の2014年の実質GDP成長率を0.5%、2015年を1.0%とした。

 

(2)シェブロン社とYPF社は、バカムエルタ鉱区のシェールガスの開発について、170本の油井の試掘を含む16億ドル以上の共同投資を発表した。

 

(3)自動車への奢侈税導入等により、自動車販売は1月より大きく減少してきたが、4月の販売台数は前年同月比40%減に達した。

 

(4)4月の政府発表のインフレ率は前月比1.8%の上昇とされた(前年同月比は発表されていない)。民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前年同月比39%、前月比2.78%の上昇となった。4月末の為替レートは、前年同月比54.35%ペソ安の1ドル=8.0015ペソとなった。

 

 

2 経済の主な動き

 

(1)経済全般

 

 8日、IMFは世界経済見通し(WEO)において、2014年の亜の実質GDP成長率を0.5%、2015年を1.0%、2014年の経常収支対GDP比を▲0.5%、2015年▲0.5%、2014年の失業率を7.6%、2015年を7.6%と予測した。2014年1月に発表された新消費者物価指数(CPI)は、それ以前のCPIと比べ、調査地域(以前は首都圏のみで、現在は全国規模)、サンプル、手法等が異なり、以前の指数と比較できないため、今回の見通しではCPIについては言及していない。今後IMF理事会において、CPIなどの改訂についての亜政府の取り組みのレビューを行うとされている。また、IMFは、ベネズエラと同様に、亜の高インフレ及び外貨準備の低下を指摘し、今後の経済見通しが悪化すると評価した。さらに、亜経済は厳しい国際収支に直面しており、為替や当局の管理が経済活動に悪影響を与えているとした。価格や為替、貿易等の当局による管理は、さらに強まるとしている。また、預金金利を引き上げたものの、さらなる政策変更が求められるとしている。

 10日、反政府系労組団体を中心とした24時間ストライキが全国各地で行われた。

 29日、国連ラテンアメリカカリブ経済委員会(CEPAL)は、亜の2014年の経済成長率を2.6%(22013年12月時点)から1%に下方修正した。

 

(2)貿易・通商

 

 10日、シェブロン社とYPF社は、バカムエルタ鉱区のシェールガスの開発について、170本の油井の試掘を含む16億ドル以上の共同投資を発表した。なお、2014年3月までに12.4億ドルの投資が行われている。  

 22日、モトローラ社は、ニューサン社に550億ドル投資し、ティエラデルフエゴ島でのスマートフォンの生産を開始することを発表した。

 24日、YPF株接収にかかる補償(50億ドル)を承認する法案が成立した。

 27日、亜がバイオディーゼルの対EU輸出をめぐりEUをWTOに提訴した件について、WTOはパネルを設置した。

 

(3)金融・財政

 

 7日、ガスへの補助金削減の一環として、政令第226/14号により、改定された全国の地域別ガス料金が発表された。ガス生産者に対して現行料金比+943%、ガス供給者に対して現行料金比+493%までの値上げを容認した。  

 28日、中央政府と17州政府は、州債務削減連邦プログラムの新たなリスケに合意した。同プログラムは3ヶ月ごとに合意することになっている。

 

(4)物価・賃金

 

 7日、亜政府は、価格(統制)合意対象品目を108品目追加して計302品目にした上で、四半期で3.2%の値上げを許可した。  

 7日、商業労組は、賃上げ率を30%(4・9月の2段階に分割)とすることで、8日、銀行労組は同29%とすることで合意した。

 

 

3 経済指標の動向

 

(1)経済活動全般

 

 2月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比1.3%増、前月比0.0%増となった。

 

(2)消費

 

(ア)自動車販売

 4月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比40.0%減、前月比3.2%増となった。

 

(3)工業生産・建設活動

 

(ア)工業生産

 3月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比6.0%減、前月比1.8%減となった。分野別では、金属機械等において増加が見られた一方で、自動車や石油化学等において減少が見られた。

 3月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比4.8%減、前月比2.2%減の67.9%となった。分野別では、基礎金属や非鉄金属等において上昇が見られた一方で、金属機械や自動車等において下落が見られた。

 

(イ)建設活動

 3月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比6.0%減、前月比2.0%増となり、前年同月比が2ヶ月連続の減少となった。

 

(ウ)自動車生産

 4月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比21.6%減、前月比1.5%増となった。

 

(4)物価・雇用

 

(ア)物価

 4月の政府発表インフレ率は前月比1.8%の上昇とされた。衣服費において、前月比2.5%増と、高い伸びが見られた。

 4月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比39%、前月比.2.78%の上昇と発表された。3月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比36.7%、前月比3.7%となった。

 4月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比26.7%、前月比3.4%の上昇となった。

 

(イ)雇用・賃金等

 3月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比29.48%増、前月比2.90%増となった。

 

(5)金融

 

(ア)Merval指数(株価指数)は、4月末には、前月末比408ポイント増の6,782ポイントとなった。

 また、EMBI+指数は、4月末には前月末比22ポイント減の778ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2002年以降ドル建て新規国債を発行していないことに留意する必要がある。)

 

(イ)為替レートは、ペソ高となり、4月末には前月末比0.1%ペソ高、前年同月比54.35%ペソ安の1ドル=8.0015ペソとなった。

 コールレートは、4月末には前月末比4.00%増の16.00%となった。民間金融機関預金残高は、4月末において、前年同月末比25.6%増の7,791億ペソとなった。対民間貸出残高は、4月末には前年同月末比27.6%増となった。

 外貨準備高は、4月末には前月末比12.13億ドル増の282.20億ドルとなった。

 

(6)財政

 

(ア)財政収支

 4月の税収(経済省発表)は、前年同月比37.1%増の927.37億ペソとなった。付加価値税収が同47.5%増の27,294百万ペソ(うち、国内分については同51.9%増、税関分については35.4%増)、法人及び個人に係る所得税収が同43.0%増の15,793百万ペソ、輸出税収が同64.8%増の14,514百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同20.9%増の13,193百万ペソとなった。

 

(7)貿易

 

 3月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比12.0%減の5,253百万ドル、輸入が同4.5%減の5,211百万ドルとなった結果、貿易黒字は同91.8%減の42百万ドルとなった。輸出では、主に原油等が増加した一方、穀物や自動車部品等が減少した。輸入では、主に自動車等が減少した一方、主に燃料等が増加した。

 

 

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