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概要
(1)亜政府は、一時停止していた亜墨間の二国間自動車協定について、輸出割当制度を設ける議定書に署名した。
(2)亜政府は、米国に対して、亜産牛肉及び生鮮レモンの輸入について、EUに対して、亜産バイオディーゼルの輸入について、WTOの紛争解決機関に提訴した。
(3)亜政府は、GDP連動クーポン35.2億ドルを予定通り支払った。
(4)2012年第3四半期の実質GDPは、前年同期比0.9%増、前期比0.7%増となった。民間消費や政府消費が引き続き高い伸び率であった一方、固定投資、輸出及び輸入の前年比は減少した。
2012年の自動車販売台数は、約83万台(前年比6%減)、自動車生産台数は、約76万台(前年比7.8%減)となった。また、2012年の税収は、前年比25.9%増の679,799百万ペソとなった。
12月の民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前年同月比25.6%、前月比2.1%の上昇となった。為替レートは、前年同月比14.27%ペソ安の1ドル=4.9173ペソとなった。外貨準備高は、GDP連動債等の支払いのため、前月末比19.49億ドル減の432.9億ドルとなった。
2 経済の主な動き
(1)経済全般
11日、CEPAL(国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会)は、亜の経済成長率について、2012年は2.2%、2013年は3.9%との見通しを発表した。
(2)貿易・通商
6月26日より、亜政府は、メルコスール・メキシコ間の自動車分野の貿易と生産に関する合意書(経済補完合意第55号)にかかる亜墨間の二国間合意(付属書T)の適用を3年間一時停止していたが、亜のジョルジ産業相は、2015年3月18日まで、両国の自動車輸出割当制度を設ける改正議定書に調印した。輸出割当は、1年目(2013年12月17日まで)が5.75億ドル、2年目が6.25億ドル、残りが1.875億ドルとされており、伯墨自動車協定と同日に失効することとなる。輸出割当の範囲内は無税だが、それ以上については35%の関税が課される。
亜政府は、米国に対して、亜産牛肉及び生鮮レモンの輸入について、EUに対して、亜産バイオディーゼルの輸入について、WTOの下での二国間協議を要請をしていたが、5日、亜政府は、米国とEUに対して、それぞれWTOの紛争解決機関に提訴した。それを受け、22日、西政府は、亜産バイオディーゼルに対する輸入制限を取り下げたと報じられた。
亜政府は、2012/13年期産小麦の輸出枠を600万トンに設定していたが、2012/13年期産小麦の収穫量が当初の見込みより減少する(1,000〜1,100万トン)という理由から、モレーノ経済省国内取引長官は、同輸出枠を450万トンに削減することを決定した。
19日、バカムエルタ・シェールガス田(世界第3位の埋蔵量)開発について、YPF社は、シェブロン社との初段階の合意に至ったと発表した。初段階の投資額は10億ドルとなる見通し。
(3)金融・財政
13日、2013年のブエノスアイレス市予算法案が成立。右予算にはABL(街灯・清掃税)の平均23%の増税等が盛り込まれている。
14日、亜政府は、GDP連動クーポン(2005年及び2010年に債務交換した債券に付与されており、GDPが3.2%を上回る場合に支払われる)35.2億ドルを予定通り支払った。
17日、IMFは、インフレ率等についてIMFの要求に対する亜政府の回答が届いたことを発表した。IMF理事会は同回答に対する議論を1月下旬に行う予定。
18日、ウルグアイ議会は、亜との二国間租税情報交換協定を批准した。
亜政府によるレプソル社保有のYPF社株式接収に関し、レプソルは、ICSID(国際投資紛争解決センター)に仲裁申立を行い、18日に受理された。
31日、米国政府は、残存債務問題に関し、連邦地裁の判決を批判するとともに、控訴裁の判決を3名ではなく、13名の全裁判官で再審するよう求めるなど亜政府を支持する内容の文書を連邦控訴裁に提出した。
20日、AFIP規則により、利益配当金送金や債務返済のための国外送金や、第三国貿易代金支払いについて、国外送金事前申告(Declaración Anticipada de Pagos al Exterior(DAPE))を義務付けた。
これまで毎年12月に発表されていた中銀「通貨プログラム」(翌年のM2目標値が記載)は中銀定款法改正により、「Programación」に代わることになり、M2目標値の設定はなされてなくなった。
(4)物価・賃金
19日、内務・運輸省は12月21日よりブエノスアイレス首都圏の鉄道及び路線バスの運賃を値上げする旨発表した。同発表によると、一部の人を除き、路線バスの運賃はICカード(SUBE)を利用する場合、初乗りが1.1ペソから1.5ペソに、SUBEを利用しない場合、同運賃が2ペソから3ペソに引き上げられることとなった。鉄道の場合は、SUBE利用時の平均の初乗り運賃が70センターボから1ペソに引き上げられる。
20日、亜政府はブエノスアイレス市にある亜農牧協会(SRA)所有の大型展覧会施設「ラ・ルラル(LA RURAL)」の再国有化を発表した。
20日、ブエノスアイレス市議会が、同市による地下鉄運営の詳細を定めた法案を可決したことに伴い、2013年1月1日以降、同市内を走る地下鉄全6線及び路面電車プレメトロの運営主体がブエノスアイレス市政府となった。今回の運営権委譲を受け、同市は地下鉄運営資金確保のため、市が管轄する高速道路料金の値上げ(2.2ペソから3.5ペソへ)、高級車に対するナンバープレート交付手数料及び民間契約に際する印紙税の引き上げ等を実施することとなった。
(5)対外関係
6日〜7日、メルコスール首脳会合において、ボリビアのメルコスール加盟について、ボリビアは、覚書に署名し、正式加盟に向けた手続きに入った。
15日、ハンブルクの国際海洋法裁判所は、ガーナ政府に対して、10月2日より同国テーマ港に拘留されている亜海軍の練習船「リベルタッド」号を直ちに無条件で解放するよう命じた。同練習船は2013年1月9日に亜へ帰還予定。
3 経済指標の動向
(1)経済活動全般
2012年第3四半期の実質GDP(INDEC発表)は、前年同期比0.9%増、前期比0.7%増と、前年同期比の伸び幅は拡大した。民間消費や政府消費が引き続き高い伸び率で成長し、成長に大きく寄与した一方、固定投資、輸出及び輸入については前年比は減少した。GDPデフレーターは同15.0%増、民間消費デフレーターは同16.2%増となり、前期より増加した。
10月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比1.5%増、前月比1.1%増と、前年比の増加幅が増大した。
なお、中銀発表のREM(民間エコノミストの予測の中銀による集計値)は、12年10月より発表を一時停止している。
(2)消費
(ア)小売
11月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比13.8%増、前月比12.8%減となり、前月比が再び減少となった。スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比25.4%増、前月比1.4%増となった。
(イ)自動車販売
12月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比6.6%増、前月比25.5%増となった。その結果、2012年の自動車販売台数は、約83万台となり、前年比6%減となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
11月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比1.5%減、前月比2.0%減と、前年同月比が再び減少に転じた。分野別では、基礎金属において大幅な減少が見られた傍らで、石油精製や化学等が好調だった。
11月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比5.6%減、前月比2.1%増の78.5%となった。分野別では、石油精製や化学等において上昇が見られた一方で、金属機械等において下落が見られた。
(イ)建設活動
11月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.9%減、前月比0.3%減となり、前年同月比は8ヶ月連続の減少となった。
(ウ)自動車生産
12月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比16.4%増、前月比21.7%減と、前年同月比が3ヶ月連続の増加となった。その結果、2012年の自動車生産台数は、約76万台となり、前年比7.8%減となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
12月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前年同月比10.8%、前月比1.0%の上昇となった。交通通信費において、前月比3.8%増と、高い伸びが見られた。他方、公式統計は引き続き実態をかなり下回っていると見られており、12月のインフレ率(一部の野党議員が集計する民間コンサルタント会社8社推計値)は、前年同月比25.6%、前月比2.1%の上昇となったと発表した。
12月の卸売物価指数は、前年同月比13.0%、前月比0.9%の上昇となり、引き続き高い水準となった。
(イ)雇用・賃金等
11月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比25.7%増、前月比2.32%増と、引き続き高い水準となった。民間正規部門及び民間非正規部門においても同様の上昇が見られた。
(5)金融
(ア)株価指数であるMerval指数は、徐々にに上昇し、31日(月)には、前月末比434ポイント増の2,854ポイントとなった。
また、カントリーリスク指数であるEMBI+は、徐々に下落し、31日には前月末比156ポイント減の981ポイントとなった。
(イ)為替レートは、ドルへの両替規制、中銀による介入等により、引き続き安定して推移しつつ、緩やかにペソ安となり、31日には前月末比1.73%、前年同月比14.27%ペソ安の1ドル=4.9173ペソとなった。他方、非公式為替市場においても、ペソ安傾向が継続している。
コールレートは、安定的に推移し、31日には前月末より0.15%減の10.25%となった。民間金融機関預金残高は、31日において、前年同月末比30.3%増、前月末比6.1%増の4、248億ペソとなった。対民間貸出残高は、31日、前年同月末比29.1%増と、引き続き高い伸び率となった。
外貨準備高は、GDP連動債等の支払いのため、31日には前月末比19.49億ドル減の432.9億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
11月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比35.7%増、一次歳出が同38.5%増となった結果、一次財政収支黒字は同269.8%減の7.2億ペソの赤字となった。また、総合収支は、22.7億ペソの赤字となった。
(イ)税収
12月の税収(経済省発表)は、前年同月比27.2%増の622.2億ペソとなった。付加価値税収が同31.5%増の18,188百万ペソ(うち、国内分については同38.7%増、税関分については19.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同36.0%増の13,602百万ペソ、輸出税収が同19.2%減の3,237百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同33.8%増の8,837百万ペソとなった。その結果、2012年の税収は、前年比25.9%増の679,799百万ペソとなった。その主な構成比は、付加価値税収が28.0%、法人及び個人に係る所得税収が20.4%、輸出税収が9.0%、社会保障雇用主負担金が14.9%となった。
(7)貿易
11月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比6.6%減の6,463百万ドル、輸入が同6.5%減の5,829百万ドルとなった結果、貿易黒字は同7.3%減の634百万ドルとなった。輸出は、主に石油ガスや陸運部品等が増加した一方、原油や穀物等が減少した。輸入は、主に消費財が増加した一方、乗用車等が減少した。
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