アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和8年10月19日

2026年7月の経済情勢

<概要>
  • 1日、政府は、工業製品に対する輸出税の撤廃・段階的引下げを発表した。その他の対象製品についても2027年6月までに段階的に撤廃することとした。
  • 6日、カプート経済大臣は、2026~2027年の資金調達計画を発表した。既存債務の元本を借り換え、利払いは財政黒字によって賄う方針を示した。
  • 21日、ムーディーズ社は、アルゼンチンの長期格付けをCaa1からB3に引き上げた。5月のフィッチ社、6月のS&P社に続く格付けの引き上げとなった。

1 経済の主な動き(報道ぶり等)
  1.  1日、政府は、工業製品に対する輸出税の撤廃・段階的引下げを発表した。化学製品、鉄鋼、アルミニウム等及び自動車関連製品の一部について税率をゼロとし、その他の対象製品についても2027年6月までに段階的に撤廃することとした。
  2.  2日、経済省は、公共工事の請負企業に対する未払債務を整理する制度を発表した。対象債務を国債によって決済するもので、予算上限は2,211.2億ペソ。参加企業には、対象契約に係る行政上・司法上の請求を取り下げることを求める。
  3.  6日、カプート経済大臣は、2026~2027年の資金調達計画を発表した。新規債務の発行を既存債務の元本借換えに限定し、利払いは財政黒字によって賄う方針を示した。また、2026年中に資金余力を確保し、2027年の返済負担に備えるとした。
  4.  6日、道路庁は、国道の民間運営移行計画「連邦道路コンセッション網」の第II-B段階について、価格提案の開札を実施した。対象はブエノスアイレス、コルドバ、サンタフェ等5州の国道約2,500キロメートルで、13事業者から31件の提案が提出された。
  5.  14日、中銀は、外国為替市場で5.32億ドルを買い越した。報道によれば、ミレイ政権発足以降で最大の1日当たり購入額となり、年初からの購入額は累計約122.7億ドルに達した。
  6.  20日、経済省は、RIGI適用案件として、パンパエナジー社によるネウケン州のリンコン・デ・アランダ石油開発計画を承認した。同計画は長期戦略輸出プロジェクトとして認定され、対象資産への投資総額は45.21億ドルとなる。
  7.  21日、ムーディーズ社は、アルゼンチンの長期自国通貨建て及び外貨建て格付けをCaa1からB3に引き上げ、見通しを「安定的」から「ポジティブ」に変更した。5月のフィッチ社、6月のS&P社に続く格付けの引き上げとなった。
  8.  24日、中銀は、米ドル建て給与口座の開設を認める措置を発表した。給与の入金に係る口座の無料利用について、期間制限を設けないこととした。
  9.  27日、カプート経済大臣及びゲオルギエバIMF専務理事は、経済省で共同記者会見を行った。ゲオルギエバ専務理事は、2023年以降のマクロ経済及び金融安定化の進展を評価し、外貨準備の積み増しについても肯定的な見解を示した。
  10.  30日、ミレイ大統領は、中銀基本法改正法案の議会提出を発表した。同法案は、通貨価値の維持を中銀の主要な使命として位置付け、政府への一時貸付による資金供給を禁止するとともに、外貨準備の移転及び利益配分を制限する内容となっている。

 2 経済指標の動向

(1)経済活動全般

(ア)経済活動指数
5月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.5%減、前年同月比0.2%増となった。

(イ)小売販売
5月のスーパーマーケット販売指数(INDEC発表)は、前月比0.9%増、前年同月比0.7%減となった。

(ウ)貿易
6月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比24.5%増の90.6億ドル、輸入が同7.3%増の68.6億ドルとなった結果、貿易収支は21.9億ドルの黒字となった。

(2)製造業・鉱業
(ア)6月の製造業活動指数(INDEC発表)は、前月比0.9%増、前年同月比2.0%増となった。
(イ)6月の鉱業生産指数(INDEC発表)は、前月比1.7%増、前年同月比11.4%増となった。

(3)物価・賃金
(ア)物価
6月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前月比1.9%、前年同月比33.5%の上昇となった。
6月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.1%、前年同月比33.7%の上昇となった。
6月の貧困ラインは前月比2.2%増の495,622ペソ、極貧ラインは同1.3%増の223,253ペソとなった(ともにINDEC発表)。

(イ)賃金
5月の賃金指数(INDEC発表)は、前月比2.2%、前年同月比35.9%の上昇となった。

(4)金融
(ア)7月末のコールレートは、前月比2.66%増の24.18%となった。
(イ)7月末のマネタリーベースは、前月比1.1%増、前年比15.2%増の46兆1,936億ペソとなった。
(ウ)7月末のペソ建て融資は、前月比0.5%増、前年比32.3%増の103兆6,394億ペソとなった。

(5)為替・外貨
(ア)7月末の外貨準備高は、前月比27.3億ドル増の476.0億ドルとなった。
(イ)7月末の為替レートは、前月比0.4%ペソ安の1ドル=1,488.5ペソとなった。
(ウ)7月末のカントリーリスク指数(EMBI+)は、前月比4ポイント増の430ポイントとなった。
(エ)7月末のドル建て預金は、前月比2.4%増の432.1億ドル、ドル建て融資は前月比4.7%増の248.3億ドルとなった。

(6)財政
6月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比22.3%増、一次歳出が同37.7%増となった結果、基礎的財政収支は6,968.4億ペソの赤字、財政収支は1兆248.9億ペソの赤字となった。一方で、年初からの累計では財政収支は黒字を維持した。債務残高(中央政府の総債務)は前月比1.0%減の4,741.9億ドルとなった。
(了)

 
 
                                                   
 

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