アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和6年7月30日
2024年5月の経済情勢
<概要>
(1) 2日、中銀は政策金利を10%ポイント引き下げ、名目利子率で年率50%とした。14日にも再び引き下げを行い、名目利子率で年率40%とした。(実効利子率では年率49.15%となった)
(3) 30日、モンディーノ外相とヴィエイラ伯外相の電話会談を経て、ブラジルの石油会社Petrobras社に対する輸入代金の支払いを巡る問題が解決し、同社は中断していたタンカーからの荷揚げ作業を再開した。想定より早い寒波の到来に端を発したガスの供給不足の問題は正常化に向かった。(2) 13日、経済省とIMFは、アルゼンチン向け拡大信用供与措置の8次レビューにつき、スタッフレベル合意に達したと発表した。 |
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 2日、中銀は政策金利を10%ポイント引き下げ、名目利子率で年率50%とした。14日にも再び引き下げを行い、名目利子率で年率40%とした。(実効利子率では49.15%となった)
(2) 3日、政府は、冷蔵庫、洗濯機、タイヤ等の品目の輸入関税を引き下げる旨発表した。
(3) 3日、政府とパタゴニア地方の各州知事は、同地域におけるガスパイプライン拡充計画に関する協定に署名した。
(4) 6日、政府は、PAIS税の適用範囲を、配当金及び内部留保の送金並びにこれらの目的のためのBOPREAL債の購入に拡大する政令を公布した。
(5) 9日、アルゼンチン労働総同盟(CGT)は、政府の経済政策や、自由推進法案及び税制パッケージ法案に反対するためのゼネストを実施した。
(6) 11日、国営エネルギー会社Enarsaと中国のGexhouba社は、サンタクルス州水力発電所建設計画を冬季終了後に再開することで合意した。
(7) 13日、経済省とIMFは、アルゼンチン向け拡大信用供与措置の8次レビューにつき、スタッフレベル合意に達したと発表した。
(8) 23日、カプート経済大臣は、卸売電力市場運営会社(CAMMESA)のエネルギー供給企業に対する債務について、償還期限が2038年のドル建て国債に置き換えることで合意したと発表した。
(9) 27日、政府は必要緊急大統領令を公布し、中銀の負債を国庫に引き継ぐことを目的として、35兆ペソ相当の短期国債の発行を承認した。
(10) 28日、政府は、電気及びガス料金の補助金スキームの見直しを発表した。
(11) 29日、人的資本省は、食糧補助プログラムと児童手当の給付額引き上げを発表した。
(12) 30日、モンディーノ外相とヴィエイラ伯外相の電話会談を経て、ブラジルの石油会社Petrobras社に対する輸入代金の支払いを巡る問題が解決し、同社は中断していたタンカーからの荷揚げ作業を再開した。想定より早い寒波の到来に端を発したガスの供給不足の問題は正常化に向かった。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
3月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比1.4%減、前年同月比8.4%減となった。
(2)消費
(ア)自動車販売(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 2024年計 | |
台数 | 40,788 | 29,715 | 25,072 | 15,942 | 33,234 | 30,176 | 22,450 | 27,851 | 129,653 |
前年比 | 23.3% | ▲27.1% | ▲25.2% | ▲27.9% | 10.3% | ▲20.8% | ▲33.6% | ▲27.9% | ▲20.3% |
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 2024年計 | |
台数 | 28,563 | 30,397 | 22,605 | 15,302 | 23,584 | 23,484 | 20,611 | 22,974 | 105,955 |
前年比 | ▲23.8% | 6.4% | ▲3.5% | 34.7% | ▲1.6% | ▲27.6% | ▲32.9% | ▲24.1% | ▲17.7% |
(イ)小売
4月のスーパーマーケット販売指数(INDEC発表)は、前月比3.3%減、前年同月比17.6%減となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 2024年計 | |
台数 | 51,937 | 56,569 | 36,973 | 22,643 | 37,491 | 43,159 | 42,974 | 38,440 | 184,707 |
前年比 | ▲0.9% | 8.9% | ▲0.4% | ▲16.7% | ▲19.0% | ▲29.4% | ▲21.0% | ▲27.9% | ▲23.8% |
(イ)製造業
4月の製造業活動指数(INDEC発表)は、前月比1.8%増、前年同月比16.6%減となった。
(ウ)建設
4月の建設活動指数(INDEC発表)は、前月比1.7%増、前年同月比37.2%減となった。
(エ)鉱業
4月の鉱業生産指数(INDEC発表)は、前月比0.7%増、前年同月比10.4%増となった。
(4)物価
5月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前月比4.2%、前年同月比276.4%の上昇となった。
5月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比3.5%、前年同月比302.5%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、5月末には前月末比96ポイント増の1,312ポイントとなった。
(イ)為替レートは、5月末には前月末2.1%ペソ安の1ドル=895.25ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、5月末には前月末比10.9億ドル増の286.6億ドルとなった。
(6)財政
5月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比298.2%増、一次歳出が同168.5%増となった結果、基礎的財政収支は2兆3,322億ペソの黒字となった。また、総合収支は1兆1,836億ペソの黒字となった。
(7)貿易
5月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比21.7%増の7,622百万ドル、輸入が同32.8%減の4,966百万ドルとなった結果、貿易収支は2,656百万ドルの黒字となった。
(了)