アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成30年5月7日

2018年3月の経済情勢

<概要>
(1)5日以降、中央銀行は不介入の方針を転換し、年末年始以降の過度なペソ安を抑えるために断続的にドル売り介入を行った。結果として為替は安定感を取り戻し、3月末時点で1ドル=20.14ペソ。
(2)12日、水不足による大豆等の不作予想を受け、一部の民間調査機関は今年の経済成長率を2.5%未満に下方修正した(政府の当初の見込みは3.5%)。

1 経済の主な動き等

(1)1日、通常議会開会式における大統領一般教書演説が行われ、経済に関する内容としては、(i)経済政策について「段階主義(gradualismo)」を継続、(ii)インフレは治まりつつあり、インフレターゲット(前年比15%)は達成可能、一方、(iii)亜経済は底を打ち成長基調に入りつつある等と言及した。
(2)4日、アバド歳入庁(AFIP)長官が退任を決めた。4月より、クチオリ金融副大臣(金融サービス担当)が後任を務める予定。
(3)5日以降、中央銀行は不介入の方針を転換し、年末年始以降の過度なペソ安を抑えるために断続的にドル売り介入を行った。結果として為替は安定感を取り戻し、3月末時点で1ドル=20.14ペソ。
(4)12日、水不足による大豆等の不作予想を受け、一部の民間調査機関は今年の経済成長率を2.5%未満に下方修正した(政府の当初の見込みは3.5%)。
(5)19-20日、ブエノスアイレス市でG20財務大臣・中央銀行総裁会合が行われた。また、カプート金融大臣主催でベネズエラに関する会合が開催され、米、リマ・グループ諸国等が参加したが、経済制裁等の合意には至らなかった。


2 経済指標の動向

(1)経済活動全般
 1月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.1%増、前月比0.6%増となった。

(2)消費:自動車販売
 3月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月15.7%増、前月比7.9%増となった。

(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
 2月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月5.3%増となった。
 2月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.8ポイント増の64.4%となった。
(イ)建設活動
 2月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比16.6%増となった。
(ウ)自動車生産
 3月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比23.8%増、前月比27.0%増となった。

(4)物価
 3月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比2.3%の上昇となった。
 3月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.9%の上昇となった。

(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、3月末には、前月末1895.97ポイント減の31114.93ポイントとなった。
 また、EMBI+指数は、3月末には前月末比20ポイント増の425ポイントとなった。
(イ)3月末の為替レートは、前月末比0.14%ペソ安、前年同月比30.95%ペソ安の1ドル=20.14ペソであった。
 コールレートは、3月末には26.00%となった。対民間貸出残高は3月末には17,632億ペソとなった。
 外貨準備高は、3月末には前月末比2.17億ドル増の617.26億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
 2月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比16.9%増、一次歳出が同11.8%増となった結果、基礎的財政収支は202.2億ペソの赤字となった。また、総合収支は、277.4億ペソの赤字となった。

(イ)税収
 3月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比12.5%増の2388.4億ペソ、付加価値税収が同49.7%増の799.65億ペソ(うち、国内分については同57.3%増、税関分については28.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同47.9%増の485.6億ペソ、輸出税収が同50.1%減の30.6億ペソ、社会保障雇用主負担金が同27.6%増の390.8億ペソとなった。

(7)貿易
 2月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比10.4%増の4,294百万ドル、輸入が同29.6%増の5,196百万ドルとなった結果、貿易赤字は903百万ドルとなった。
(了)

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