アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和3年8月30日

2021年2月の経済情勢

 

概要
(1)11日、下院は、政府による外国法準拠外貨建て債券発行に際して議会承認を義務付ける「公的債務の持続性強化」法案を承認した。
(2)26日、グスマン経済大臣は、オンラインで開催されたG20財務大臣中央銀行総裁会議に出席し、IMFの上乗せ金利ポリシーの見直しを求めた。


 


1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 1日、政府は、価格統制策の最大価格プログラムを3月31日まで再び延長することを決定した。
(2) 2日、フェルナンデス大統領は、プーチン露大統領とオンライン会談を行い、スプートニクVワクチンの供給加速やIMFとの債務再編交渉に対する支援を求めた。
(3) 5日、フェルナンデス大統領は、マクロン仏大統領とオンライン会談を行い、IMFとの債務再編交渉に対する支援を求めた。
(4) 5日、マサ下院議長は、所得税課税対象の下限を引き上げる所得税改正法案を提出した。
(5) 8日、政府は、農業セクターと2022年まで食用油の価格の安定を保証するための信託を設立することで合意した。
(6) 10日、フェルナンデス大統領は、農牧団体と会談を行い、輸出税の引上げの検討を否定した。
(7) 10日、政府は、労働組合幹部及び企業幹部との会合をそれぞれ開催し、価格・賃金交渉に関する意見交換を行った。
(8) 11日、下院は、政府による外国法準拠外貨建て債券発行に際して議会承認を義務付ける「公的債務の持続性強化」法案を承認した。
(9) 19日、フェルナンデス大統領は、政労使間の対話の枠組みとなる経済社会評議会の設立記念式典に出席した。
(10) 22日、フェルナンデス大統領は、メキシコを訪問し、ロペス・オブラドール墨大統領と亜産牛肉の対墨輸出の再開で合意した。
(11) 23日、与党会派の上院議員らは、IMFが2018年にマクリ前政権に付与したSBA融資の問題について調査することをIMF独立評価機関(IEO)に正式要請した。
(12) 25日、フェルナンデス大統領は、北部の公共事業計画を推進することを発表した。
(13) 26日、世界銀行は、亜水道局(AySA)の水道衛生事業及び大ブエノスアイレス首都圏の住宅事業に計4億ドルを融資することを発表した。
(14) 26日、グスマン経済大臣は、オンラインで開催されたG20財務大臣中央銀行総裁会議に出席し、IMFの上乗せ金利ポリシーの見直しを求めた。

2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
1月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比1.9%増、前年同月比2.0%減となった。

(2)消費:自動車販売  
  7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 2021年計
台数 22,475 28,346 35,065 33,320 31,431 38,994 27,303 26,676 53,979
前年比 ▲42.7% ▲25.4% 30.5% 22.5% 37.3% 25.2% 6.1% ▲1.9% 2.0%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 2021年計
台数 9,612 13,606 17,903 14,845 11,503 17,200 11,924 15,055 26,979
前年比 ▲51.7% ▲27.8% ▲17.0% ▲23.2% ▲35.8% ▲9.3% 37.2% ▲16.9% 0.6%
 
(3)工業生産・建設活動
)自動車生産
  7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 2021年計
台数 21,316 25,835 32,149 28,706 32,570 30,172 24,308 21,809 46,117
前年比 ▲1.5% ▲16.2% 16.1% ▲9.8% 20.2% 107.7% 17.5% ▲16.5% ▲1.5%
 

(イ)工業生産
1月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.4%増となった。

(ウ)建設活動
1月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比23.3%増となった。

(4)物価
2月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.6%、前年同月比40.7%の上昇となった。
2月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比6.1%、前年同月比47.7%の上昇となった。

(5)金融
(ア)EMBI+指数は、2月末には前月末比66ポイント増の1511ポイントとなった。
(イ)為替レートは、2月末には前月末比2.9%ペソ安の1ドル=89.83ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、2月末には前月末比0億ドル増の395.2億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
2月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比55.0%増、一次歳出が同50.0%増となった結果、基礎的財政収支は187.6億ペソの赤字となった。また、総合収支は、643.2億ペソの赤字となった。

(イ)税収
2月の税収(経済省発表)は、前年同月比51.9%増の7,166.0億ペソとなった。

(7)貿易
2月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比10.4%増の4,775百万ドル、輸入が同16.2%増の3,713百万ドルとなった結果、貿易収支は1,062百万ドルの黒字となった。

 

(了)

 

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