アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和6年1月27日
2023年12月の経済情勢
<概要>
(1)12日、カプート経済大臣は、通貨切り下げ、公共支出削減、輸入システムの変更を含む、新政権で取り組む10の経済政策を発表した。また、中央銀行も、為替市場の改革や外貨準備積み増しなどに取り組む旨のプレスリリースを公表した。
(3)20日、ミレイ大統領は規制緩和など経済の立て直しに向けた大型改革を発表した。翌21日に、300項目以上の法改正を定めた必要緊急大統領令を官報で公布した。(2)13日、中央銀行は、公定レートを1ドル=366.5ペソから800ペソに約54%引き下げた。また、輸入代金の不履行債務を抱える輸入者を対象としたドル建て中銀債を発行するとした。 |
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 7日、フェルナンデス大統領(当時)は、ブラジルで開かれたメルコスール首脳会議に出席した。シンガポール・メルコスールFTAが署名され、また、ボリビアのメルコスールへの加盟が決定した。
(2) 12日、カプート経済大臣は、通貨切り下げ、公共支出削減、輸入システムの変更を含む、新政権で取り組む10の経済政策を発表した。また、中央銀行も、為替制度改革や外貨準備積み増しなどに取り組む旨のプレスリリースを公表した。
(3) 13日、中央銀行は、公定レートを1ドル=366.5ペソから800ペソに約54%引き下げた。また、輸入代金の不履行債務を抱える輸入者を対象としたドル建て中銀債を発行することを発表した。
(4) 15日、国家統計局(INDEC)は、2023年第3四半期のGDPを公表した。前年同期比で0.8%減、前期比で2.7%増となった。
(5) 18日、中央銀行は、28日物中銀短期債(LELIQ)の入札を停止し、政策金利を同債券のリバースレポ取引の利率から、オーバーナイト中銀債(PASES)のリバースレポ取引の利率に変更する旨を発表した。
(6) 20日、ミレイ大統領は、規制緩和など経済の立て直しに向けた大型改革を発表した。翌21日に、300項目以上の法改正を定めた必要緊急大統領令を官報で公布した。
(7) 21日、アンデス開発公社は、IMF債務の返済のために9億6,000万ドルのつなぎ融資をアルゼンチンに対して行うことを決定した。
(8) 21日、国家統計局(INDEC)は、2023年第3四半期の失業率を公表した。前年同期比で1.4ポイント減、前期比で0.5ポイント減の5.7%となった。
(9) 26日、アルゼンチン政府は、政府による輸入管理の排除に向けて輸入ライセンス制度とSIRAを廃止する決議を公布した。加えて、未払いの輸入代金の把握を目的に商業債務登録制度を導入した。
(10)27日、アルゼンチン政府は、国家機能改革のためのオムニバス法案を議会に提出した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
10月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.1%減、前年同月比0.6%増となった。
(2)消費:自動車販売 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2023年計 | |
台数 | 38,604 | 44,138 | 30,928 | 30,294 | 43,282 | 40,788 | 29,715 | 25,072 | 406,940 |
前年比 | 14.5% | 18.5% | 5.1% | 3.8% | 25.1% | 23.3% | ▲27.1% | ▲25.2% | 8.2% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2023年計 | |
台数 | 30,279 | 23,291 | 28,663 | 28,862 | 35,555 | 28,563 | 30,397 | 21,810 | 325,894 |
前年比 | 13.1% | ▲27.0% | 25.0% | ▲11.1% | 0.5% | ▲23.8% | 6.4% | ▲3.5% | 1.1% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2023年計 | |
台数 | 53,282 | 53,522 | 49,254 | 63,455 | 56,750 | 51,937 | 56,569 | 36,973 | 610,715 |
前年比 | 14.8% | 10.6% | 11.9% | 17.4% | 8.7% | ▲0.9% | 8.9% | ▲0.4% | 13.7% |
(イ)工業生産
11月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.9%減となった。
(ウ)建設活動
11月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比2.1%減となった。
(4)物価
12月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比25.5%、前年同月比211.4%の上昇となった。
12月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比54.0%、前年同月比276.4%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、12月末には前月末比76ポイント減の1,906ポイントとなった。
(イ)為替レートは、12月末には前月末55.4%ペソ安の1ドル=808.48ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、12月末には前月末比15.6億ドル減の230.7億ドルとなった。
(6)財政
11月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比159.4%増、一次歳出が同141.6%増となった結果、基礎的財政収支は2,105億ペソの赤字となった。また、総合収支は、7,550億ペソの赤字となった。
(7)貿易
11月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比31.6%減の4,872百万ドル、輸入が同4.8%減の5,487百万ドルとなった結果、貿易収支は615百万ドルの赤字となった。
(了)