アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和7年8月8日

2025年3月の経済情勢

<概要>
(1)11日、政府は、新たにIMFとの合意を目指す拡大信用供与措置に基づくプログラムについて、行政府による締結を承認する必要緊急大統領令を公布した。19日には同大統領令が下院で承認された。
(2)18日、政府は、必要緊急大統領令によって交通法を改正し、運転免許証のデジタル化、自動車部品の安全認定制度や州境を越える輸送免許制度の廃止、自動運転技術への対応などを定めた。
(3)21日、経済省は大型投資奨励制度(RIGI)の第2号案件として、YPF社などが参画するバカムエルタ・スール石油開発計画を承認した。

1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1)3日、ニューヨーク連邦地裁のロレタ・プレスカ判事は、アルゼンチン政府への賠償命令に対するNGO団体からの異議申し立てを棄却した。
(2)5日、ルセロ経済副大臣(鉱業担当)は、カナダのウィルキンソン天然資源相と重要鉱物に関する協定に署名した。
(3)7日、バイアブランカ市で大規模な洪水被害が発生した。公式発表では、死者16名、行方不明者94名の他、500名以上の住民が避難し、同市の人口の7割にあたる約22万人が被災したとされる。
(4)7日、リオ・ティント社は、アルカディウム・リチウム社の買収を67億ドルで完了した。
(5)11日、政府は、新たにIMFとの合意を目指す拡大信用供与措置に基づくプログラムについて、行政府による締結を承認する必要緊急大統領令を公布した。19日には同大統領令が下院で承認された。
(6)12日、議会前で行われた年金支給額の引き上げや保険料の納付猶予を求めるデモが過激化し、治安部隊と衝突して多数の負傷者及び逮捕者を出す事態となった。
(7)18日、政府は、インターカーゴ社を完全民営化する旨を定めた政令を公布した。
(8)18日、カプート経済相は、王令浚(Wang Lingjun)中国税関総署(GACC)副署長と会談し、アルゼンチン産鶏肉の中国への輸出を再開することで合意した。
(9)18日、政府は、必要緊急大統領令によって交通法を改正し、運転免許証のデジタル化、自動車部品の安全認定制度や州境を越える輸送免許制度の廃止、自動運転技術への対応などを定めた。
(10)21日、経済省は大型投資奨励制度(RIGI)の第2号案件として、YPF社などが参画するバカムエルタ・スール石油開発計画を承認した。
(11)23日、年金債務返済計画法(法律第27,705号)によって定められた年金受給権未取得者に対する救済措置が期限満了を迎えた。
(12)26日~30日、キルノ経済副大臣(金融担当)は、チリのサンティアゴで開催された米州開発銀行(IDB)年次総会及びアンデス開発公社(CAF)理事会に参加した。

2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
1月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.6%増、前年同月比6.5%増となった。

(2)消費 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
)自動車販売 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2025年計
台数 38,682 44,488 43,627 40,118 49,462 34,089 45,617 47,915 127,621
前年比 27.7% 2.8% 7.0% 35.0% 97.3% 113.8% 37.3% 58.8% 60.8%

(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2025年計
台数 32,754 31,918 35,965 32,262 26,667 11,132 22,496 24,292 57,920
前年比 13.5% ▲10.2% 25.9% 6.1% 22.3% ▲27.3% ▲4.6% 3.4% ▲7.1%

小売販売
1月のスーパーマーケット販売指数(INDEC発表)は、前月比1.9%増、前年同月比4.2%増となった。

(3)工業生産・建設活動
)自動車生産 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2025年計
台数 51,650 49,611 52,419 53,701 38,018 30,058 42,419 41,565 114.042
前年比 ▲18.6% ▲12.6% 0.9% ▲5.1% 2.8% ▲20.9% 13.1% ▲3.7% 10.4%

製造業
2月の製造業活動指数(INDEC発表)は、前月比0.5%増、前年同月比5.6%増となった。
 
(ウ)建設活動
2月の建設活動指数(INDEC発表)は、前月比2.0%増、前年同月比3.7%増となった。
 
(エ)鉱業活動
2月の鉱業生産指数(INDEC発表)は、前月比0.6%増、前年同月比1.8%増となった。

(4)物価
2月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前月2.4%、前年同月比66.9%の上昇となった。
2月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.6%、前年同月比32.7%の上昇となった。

(5)金融
(ア)EMBI+指数は、3月末には前月末比36ポイント増の816ポイントとなった。
(イ)為替レートは、3月末には前月末0.9%ペソ安の1ドル=1073.88ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、3月末には前月末比31.3億ドル減の249.9億ドルとなった。
 
(6)財政
2月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比75.8%増、一次歳出が同98.8%増となった結果、基礎的財政収支は1兆1,769億ペソの黒字となった。また、総合収支は3,107億ペソの黒字となった。
 
(7)貿易
2月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比10.1%増の6,092百万ドル、輸入が同42.3%増の5,864百万ドルとなった結果、貿易収支は227百万ドルの黒字となった。
                                             
(了)

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