アルゼンチン経済情勢（月1回更新）

＜概要＞ （1） 22日の選挙の結果（与党勝利）、市場は結果を好感し、カントリーリスク指標（EMBI＋）は過去10年で最低の342ポイントにまで下がった。 （2） 30日、マクリ大統領はCCKで、政界、経済界、司法界及び労組の代表ならびに各州知事を前に、今後の施政方針に関する演説を行い、年金、労働規制及び税制に関する大規模な変革を提案すると述べたが、具体的な内容には触れなかった。市場は好感し、S＆Pは亜の外貨建長期債の格付けをBからB＋に引き上げた。

 







1 経済の主な動き

（1） 3日、ロシアのTransmashholding（TMH）社が亜国内に鉄道部品工場を建設する予定であることが報道された。投資額は1．7億ユーロ。
（2） 10日、IMFは、最新の経済見通しをを発表し、亜の2018年の経済成長率を2．5％、インフレ率を16．7％としている。また、亜がさらなる財政規律と通貨引き締めを実施することが必要だとしている。
（3） 13日の報道によると、GMは新車種生産のため3億ドルを投資する。
（4） 17日、政府は、電気料金の値上げを12月まで延期することを決めた。
（5） 22日の選挙の結果（与党勝利）、市場は結果を好感し、カントリーリスク指標（EMBI＋）は過去10年で最低の342ポイントにまで下がった。
（6） 24日、中銀は、ガソリン値上げによるインフレを理由に、金利を27．75％に引き上げた。（150bp引き上げ。）
（7） 30日、マクリ大統領はCCKで、政界、経済界、司法界及び労組の代表ならびに各州知事を前に、今後の施政方針に関する演説を行い、年金、労働規制及び税制に関する大規模な変革を提案すると述べたが、具体的な内容には触れなかった。市場は好感し、S＆Pは亜の外貨建長期債の格付けをBからB＋に引き上げた。

2 経済指標の動向

（1）経済活動全般 　
　8月の経済活動指数（INDEC発表）は、前年同月比4.3％増、前月比0.3％増となった。

（2）消費：自動車販売
　10月の自動車販売台数（自動車生産者協会（ADEFA）発表）は、前年同月比32.0％増、前月比2.3％減となった。

（3）工業生産・建設活動
（ア）工業生産
　9月の工業生産指数（INDEC発表）は、前年同月2.3％増となった。
　9月の稼働率（INDEC発表）は、前月比2.2ポイント増の66.3％となった。
（イ）建設活動 
　9月の建設活動指数（INDEC発表）は、前年同月比13.4％増となった。
（ウ）自動車生産
　10月の自動車生産台数（ADEFA発表）は、前年同月比15.9％増、前月比6.6％減となった。

（4）物価
　10月のCPI統計（INDEC発表インフレ率）は、前月比1.5％の上昇、昨年12月比で19.4％の上昇となった。 10月のブエノスアイレス市発表インフレ率（Ipcba）は、前年同月比24.5％の上昇、前月比1.5％の増加となった。また、10月の議会インフレ率（一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく）は、前年同月比23.4％の上昇、前月比1.5％の上昇となった。
　10月の卸売物価指数（INDEC発表）は、前月比1.5％の上昇となった。

（5）金融
（ア）Merval指数（株価指数）は、10月末には、前月末1856.99ポイント増の27935.28ポイントとなった。
　また、EMBI＋指数は、10月末には前月末比5ポイント減の361ポイントとなった。
（イ）10月末の為替レートは、前月末比2.04％ペソ安、前年同月比16.45％ペソ安の1ドル＝17.6713ペソであった。
　 コールレートは、10月末には26.25％となった。対民間貸出残高は10月末には14,847億ペソとなった。
　外貨準備高は、10月末には前月末比15.73億ドル増の518.10億ドルとなった。

（6）財政
（ア）財政収支
　9月の財政収支（財務省発表）は、歳入が前年同月比26.7％増、一次歳出が同18.6％増となった結果、基礎的財政収支は313.63億ペソの赤字となった。また、総合収支は、511.77億ペソの赤字となった。
（イ）税収
　10月の税収（以下、財務省発表）は、前年同月比31.4％増の2197.13億ペソ、付加価値税収が同41.0％増の694.62億ペソ（うち、国内分については同36.6％増、税関分については58.3％増）、法人及び個人に係る所得税収が同36.7％増の487.88億ペソ、輸出税収が同18.0％減の38.44億ペソ、社会保障雇用主負担金が同31.2％増の345.27億ペソとなった。

（7）貿易
　9月の貿易（INDEC発表）は、輸出が前年同月比3.1％増の5,198百万ドル、輸入が同27.4％増の5,963百万ドルとなった結果、貿易赤字は765百万ドルとなった。