アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和4年9月2日
2022年7月の経済情勢
<概要>
(1) 2日、グスマン経済大臣が辞任し、4日、バタキス経済大臣が就任した。
(1) 2日、グスマン経済大臣が辞任し、4日、バタキス経済大臣が就任した。
(2)20日、メルコスール加盟国は、対外共通関税を10%引き下げることで合意した。
(3)28日、フェルナンデス大統領は、マサ下院議長に経済省、生産開発省及び農牧漁業省等を統括する新たな経済大臣ポストを担当させることを発表した。
(3)28日、フェルナンデス大統領は、マサ下院議長に経済省、生産開発省及び農牧漁業省等を統括する新たな経済大臣ポストを担当させることを発表した。
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 2日、グスマン経済大臣がツイッターを通じて辞任を発表した。3日、フェルナンデス大統領は経済大臣の後任にバタキス内務副大臣(州担当)を充てることを決定した。これを受け、リゴ経済副大臣(財務担当)をはじめとする多数の経済省高官が辞任した。
(2) 4日、バタキス経済大臣が就任し、引き続きIMFプログラムを尊重する考えを示した。
(3) 5日、自動車産業投資促進法案が下院で可決され、上院に送付された。
(4) 6日、パリクラブにおいて予定されていた債務条件再交渉会合は当面延期された。
(5) 6日、バタキス経済大臣は、ゲオルギエバIMF専務理事とオンライン形式で会談を行った。
(6) 8日、バタキス経済大臣は、自身の大臣就任に伴う経済副大臣等の後任人事を決定した。
(7) 11日、バタキス経済大臣は、財政収支の改善に向けた当面の経済財政政策の方針を発表し、一層慎重な財政運営を行っていく旨強調した。
(8) 11日、中国GanfengLithium社は、新たに約10億ドルを投じ、サルタ州においてリチウム事業を展開するLithea社を買収することを発表した。
(9) 14日、連邦歳入庁(AFIP)は、新たな外貨取得規制として、クレジットカード払いを含む国外観光及び消費のための外貨購入に対する「所得税・個人資産税の前払い」税率を35%から45%へと引き上げることを決定した。これにより、外貨建て支払いに際してはPAIS税(30%)と合わせて計75%が課されることとなる。
(10) 15日、バタキス経済大臣は、G20財務大臣・中央銀行総裁会議にオンライン形式で出席した。
(11) 20日、メルコスール加盟国は、共同市場理事会(CMC)において対外共通関税を10%引き下げることで合意した。
(12) 21日、経済省及び中央銀行(BCRA)は、外貨の流入を非公式市場から公式市場に誘導するため、外国人観光客を対象とした優遇外貨両替レートを提供することを決定した。
(13) 21日、BCRAは、新たな資本規制として、法人による預託証券(Cedear)を、現在10万ドルまでに保有が制限されている外貨建て流動資産の対象に加えることを決定した。
(14) 21日、政府は、2023年末まで公務員の新規採用を凍結することを決定した。
(15) 22日、非公式為替レートであるブルーレートが一時1ドル=350ペソを付け、公式レートとの乖離が約160%に達した。
(16) 25日、バタキス経済大臣は訪米し、ゲオルギエバIMF専務理事、トロッツェンバーグ世界銀行専務理事及びリプトン米財務省上級顧問等とそれぞれ会談を行った。
(17) 26日、BCRAは、農業セクターの輸出決済を促進するため、大豆生産者を対象とした優遇外貨両替レートを8月末まで提供することを決定した。
(18) 28日、BCRAは、政策金利を52%から60%へと引き上げることを決定した。
(19) 28日、フェルナンデス大統領は内閣改造を発表し、マサ下院議長に経済省、生産開発省及び農牧漁業省等を統括する新たな経済大臣ポストを担当させることを決定した。これに伴い、ドミンゲス農牧漁業大臣は辞任したが、バタキス経済大臣はナシオン銀行総裁に転出し、またシオリ生産開発大臣は駐伯大使に復帰した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
6月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比1.1%増、前年同月比6.4%増となった。
(2)消費:自動車販売
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 2022年計 | |
台数 | 32,723 | 20,147 | 25,432 | 33,827 | 30,861 | 33,730 | 37,236 | 29,432 | 210,665 |
前年比 | ▲16.1% | ▲26.2% | ▲4.7% | 4.5% | 3.3% | 20.4% | 32.1% | 20.8% | 7.0% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 2022年計 | |
台数 | 19,615 | 9,298 | 20,024 | 24,623 | 27,431 | 26,781 | 31,892 | 22,937 | 162,986 |
前年比 | 14.0% | ▲22.0% | 33.0% | 10.0% | 73.1% | 34.4% | 40.3% | ▲1.0% | 24.4% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 2022年計 | |
台数 | 39,849 | 18,651 | 37,661 | 48,746 | 43,826 | 46,422 | 48,392 | 44,033 | 287,731 |
前年比 | 32.1% | ▲23.3% | 72.7% | 12.9% | 49.5% | 32.8% | 20.9% | 37.9% | 27.6% |
(イ)工業生産
6月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比6.9%増となった。
(ウ)建設活動
6月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比7.2%増となった。
(4)物価
7月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比7.4%、前年同月比71.0%の上昇となった。
7月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比7.1%、前年同月比64.8%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、7月末には前月末比30ポイント減の2398ポイントとなった。
(イ)為替レートは、7月末には前月末比4.8%ペソ安の1ドル=131.2ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、7月末には前月末比36億ドル減の392.2ルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
7月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比72.9%増、一次歳出が同57.3%増となった結果、基礎的財政収支は19.5億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,316.6億ペソの赤字となった。
(イ)税収
7月の税収(経済省発表)は、前年同月比87.0%増の1兆7,452億ペソとなった。
(7)貿易
7月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比7.2%増の7,773百万ドル、輸入が同43.7%増の8,210百万ドルとなった結果、貿易収支は437百万ドルの赤字となった。
(了)