アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
平成30年12月3日
2018年10月の経済情勢
<概要>
(1)1日、中銀の新たな金融政策の枠組みの適用が開始された。中銀は為替において非介入ゾーン(対ドルレート:34ペソ~44ペソ)を導入する。また、中銀は市場から710億6000万ペソを吸収するためにLELIQ(期間7日間の短期中銀債)の金利を72%まで上げた。 ドルは同枠組み適用前の1ドル41.89ペソ(9月28日)から40.73ペソまで下落し、主要紙は新たな金融政策は円滑にスタートを切ったと報じた。(2)同枠組み導入後、為替レートは基本的に緩やかにペソ高方向に推移し、月末には1ドル36ペソ台まで下落。為替レートが非介入ゾーンを外れることはなく、10月は中銀による為替介入は行われなかった。 |
1 経済の主な動き等
(1)1日、中銀の新たな金融政策の枠組みの適用が開始された。中銀は為替において非介入ゾーン(対ドルレート:34ペソ~44ペソ)を導入する。また、中銀は市場から710億6000万ペソを吸収するためにLELIQ(期間7日間の短期中銀債)の金利を72%まで上げた。 ドルは同枠組み適用前の1ドル41.89ペソ(9月28日)から40.73ペソまで下落し、主要紙は新たな金融政策は円滑にスタートを切ったと報じた。
(2)4日、日産は、バリローチェで開かれた専門誌向け公式発表会において、国内代理店でアルゼンチン製「フロンティア」(中型ピックアップ車)の販売をすでに開始したと発表した。
(3)11日、アルゼンチン輸出計画が発表された。ダンテ・シカ生産労働大臣は中小企業が海外市場へ参入しやすくするためのアクションプランのリストを発表し、融資のさらなる向上、手続きの簡素化、ペソ安を利用した国際競争力の強化、輸出先の多様化を目指す。また目標として、2017年の輸出額720憶ドルから2023年までに1000憶ドルへ、2030年までに2000憶ドルへと三倍増を目指し、現在9500社ある輸出企業を12年間で4万社へと増加させる。
(4)25日、2019年度予算案は下院で可決した(賛成票138、反対票103、棄権8、欠席7)。当日議会内外で乱闘が起こり一時議会は中断しかけたことで、為替市場では不信感から取引終了間際にドルの0.3ペソ分の上昇を記録したが、一方で株価は4.2%上昇した。
(5)26日、IMFはワシントンにて、先月発表したアルゼンチン向け融資信用枠の563億ドルまでの拡大を承認。
(6)カワサキは1400万ドルの投資で、アルゼンチンで来年より年間2000台を生産し、2、3年後には年間生産量4500台を目指すと発表した。当面は500ccバイクの生産を行う予定。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
8月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比1.6%減、前月比2.4%増となった。
(2)消費:自動車販売
10月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比50.0%減となった。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 2018年計 | |
台数 | 79,562 | 72,748 | 75,754 | 55,358 | 46,637 | 52,224 | 42,628 | 37,207 | 600,303 |
前年比 | 15.4% | 6.8% | ▲4.7% | ▲31.0% | ▲35.8% | ▲31.9% | ▲44.1% | ▲50.0% | ▲16.0% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
10月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比20.6%減となった。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 2018年計 | |
台数 | 49,655 | 45,802 | 46,835 | 39,420 | 41,450 | 49,335 | 37,267 | 38,659 | 409,366 |
前年比 | 25.2% | 21.4% | 3.5% | ▲13.4% | 8.6% | 9.0% | ▲20.6% | ▲11.8% | 3.7% |
(イ)工業生産
8・9月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月5.6%減、11.6%減となった。
8・9月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.9ポイント増の63.0%、1.9ポイント減の61.1%となった。
(ウ)建設活動
8・9月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比0.0%増、4.2%減となった。
(4)物価
9月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比6.5%の上昇となった。
9月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比16.0%の上昇となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、10月末には、前月末比3970.66ポイント減の29491.11ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、10月末には前月末比30ポイント増の651ポイントとなった。
(イ)10月末の為替レートは、前月末比11.5%ペソ高、前年同月比104.8%ペソ安の1ドル=36.19ペソであった
コールレートは、10月末には68.00%となった。対民間貸出残高は10月末には21,425億ペソとなった。
外貨準備高は、10月末には前月末比49.5億ドル増の539.55億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
9月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比33.5%増、一次歳出が同26.2%増となった結果、基礎的財政収支は228.5億ペソの赤字となった。また、総合収支は、558.5億ペソの赤字となった。
(イ)税収
10月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比42.2%増の3125.1億ペソ、付加価値税収が同59.5%増の1007.6億ペソ(うち、国内分については同56.3%増、税関分については63.4%増)、法人及び個人に係る所得税収が同30.7%増の637.4億ペソ、輸出税収が同265.5%増の140.5億ペソ、社会保障雇用主負担金が同24.5%増の429.9億ペソとなった。
(7)貿易
9月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比4.8%減の5,013百万ドル、輸入が同21.2%減の4,699百万ドルとなった結果、貿易黒字は314百万ドルとなった。
(了)
バックナンバー
2018年
|
|
|
|
|||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017年
|
||||||||||||
2016年
|
||||||||||||
2015年
|
||||||||||||
2014年
|
||||||||||||
2013年
|
||||||||||||
2012年
|
||||||||||||
2011年
|
||||||||||||
2010年
|
||||||||||||
2009年
|
||||||||||||
2008年
|
||||||||||||
2007年
|
||||||||||||
2006年
|
||||||||||||
2005年
|
||||||||||||
2004年
|
||||||||||||
2003年
|
||||||||||||
2002年
|