アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和3年9月22日
2021年6月の経済情勢
<概要>
(1) 22日、グスマン経済大臣は、亜がパリクラブに対し約4.3億ドルの一部返済を実施することにより、パリクラブがデフォルト宣言を留保することについて共通理解を得たと発表した。
(2) 23日、政府は、一部の牛肉部位の輸出を2021年末まで禁止し、その他の部位の輸出量を前年比50%までとする新たな輸出制限措置を発表した。
(1) 22日、グスマン経済大臣は、亜がパリクラブに対し約4.3億ドルの一部返済を実施することにより、パリクラブがデフォルト宣言を留保することについて共通理解を得たと発表した。
(2) 23日、政府は、一部の牛肉部位の輸出を2021年末まで禁止し、その他の部位の輸出量を前年比50%までとする新たな輸出制限措置を発表した。
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 2日、上院は、法人所得税の改正法を承認した。これにより、法人税において最大税率35%の累進課税制度が採用される。
(2) 3日、カフィエロ官房長官は、政府による2021年のインフレ目標を29%から33%に修正することを発表した。
(3) 4日、BCRAは、通達第A7301号により、前年比で輸出額を増加させた企業が、事前承認を得ることなく対外支払いのための外貨を取得できる制度を導入することを発表した。
(4) 5日、グスマン経済大臣は、G7財務大臣・中央銀行総裁会議においてグローバル最低法人税率の設定が合意されたことに祝意を示した上で、「最低税率15%は低すぎる」と発言した。
(5) 8日、クルファス生産開発大臣は、新たな価格統制策として、全国の小売店における生活必需品70品目の180日間の価格凍結措置「Super Cerca」プログラムを発表した。
(6) 9日、サンチェス西首相は、ブエノスアイレスにおいてフェルナンデス大統領と会談を行い、亜のIMF及びパリクラブとの債務再編交渉への全面的な支持を表明した。
(7) 12日、メルコスールは、当初8日の開催を予定し15日に延期していたメルコスール外相会議の中止を発表した。
(8) 17日、マルティネス経済副大臣(エネルギー担当)は、2021年下半期においてガス、電気及び燃料料金の引上げを行わないことを発表した。
(9) 22日、グスマン経済大臣は、亜がパリクラブに対し約4.3億ドルの一部返済を7月末及び2022年2月末に実施することにより、パリクラブがデフォルト宣言を最長2022年3月まで留保することについて共通理解を得たと発表した。
(10) 22日、銀行員労働組合は、2021年の労使交渉について年間45%の賃上げで合意した。
(11) 23日、政府は、必要緊急大統領令(DNU)第408/2021号により、一部の牛肉部位の輸出を2021年末まで禁止し、その他の部位の輸出量を前年比50%までとする新たな輸出制限措置を発表した。
(12) 24日、MSCIは、亜の市場区分を「新興国市場」から「スタンドアローン市場」に二段階格下げした。
(13) 24日、BCRAは、通達A7313号により、2020年5月の通達A7030号で定められた外貨規制を2021年12月末まで延長することを発表した。
(14) 24日、クルファス生産開発大臣は、リチウム開発の推進に向け、「YPF Litio」社を設立することを発表した。
(15) 28日、運輸省は、サルミエント、ミトレ及びロカ線の貨物鉄道のコンセッション契約を延長しないことを発表した。
(16) 28日、農牧漁業省は、地域経済活性化のため、決議第410/2021号により、ハチミツや鶏卵など農産品67品目の輸出税を0%に削減した。
(17) 29日、ゲレーラ運輸大臣は、今後1年間のパラグアイ-パラナ河川水路の運営管理について、政府の港湾総合管理公社(AGP)が担当し、その間に15年間の浚渫工事を実施するコンセッション契約の入札準備を進めることを発表した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
5月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比2.0%減、前年同月比13.6%増となった。
(2)消費:自動車販売
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 2021年計 | |
台数 | 31,431 | 38,994 | 27,303 | 26,676 | 32,359 | 29,876 | 28,025 | 28,187 | 172,426 |
前年比 | 37.3% | 25.2% | 6.1% | ▲1.9% | 71.0% | 297.7% | 39.9% | 18.6% | 40.0% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 2021年計 | |
台数 | 11,503 | 17,200 | 11,924 | 15,055 | 22,394 | 15,848 | 19,919 | 22,737 | 107,877 |
前年比 | ▲35.8% | ▲9.3% | 37.2% | ▲16.9% | 60.8% | 564.2% | 517.3% | 230.7% | 102.7% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 2021年計 | |
台数 | 32,570 | 30,172 | 24,308 | 21,809 | 43,160 | 29,315 | 34,953 | 40,035 | 193,580 |
前年比 | 20.2% | 107.7% | 17.5% | ▲16.5% | 125.2% | 皆増 | 627.9% | 155.7% | 123.9% |
(イ)工業生産
5月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比30.2%増となった。
(ウ)建設活動
5月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比70.9%増となった。
(4)物価
6月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.2%、前年同月比50.2%の上昇となった。
6月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比3.1%、前年同月比65.1%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、6月末には前月末比88ポイント増の1596ポイントとなった。
(イ)為替レートは、6月末には前月末比1.1%ペソ安の1ドル=95.73ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、6月末には前月末比6億ドル増の424.4億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
6月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比59.9%増、一次歳出が同34.7%増となった結果、基礎的財政収支は1,532.2億ペソの赤字となった。また、総合収支は、2,079.5億ペソの赤字となった。
(イ)税収
6月の税収(経済省発表)は、前年同月比69.0%増の9,228.5億ペソとなった。
(7)貿易
6月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比45.8%増の6,976百万ドル、輸入が同79.0%増の5,909百万ドルとなった結果、貿易収支は1,067百万ドルの黒字となった。
(了)