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概要
(1)米国連邦控訴裁判所は、亜政府に対し、ハゲタカファンドへの支払いを命じたグリセイ連邦地方裁判所判事の判決について、少なくとも来年2月まで一時停止する判決を下した。
(2)為替レートは、緩やかにペソ安となり、前年同月末比12.92%ペソ安の1ドル=4.8338ペソとなった。外貨準備高は、前月末比0.4億ドル減の452.4億ドルとなった。。
(3)11月の消費者物価上昇率は、民間コンサルタント8社の推計では25.04%となっている。
(4) 2012年第3四半期の失業率は、前年同期比0.4ポイント増、前期比0.4ポイント増の7.6%となった。
(5)第3四半期の資本流出は、2009 年第4四半期以来の入超(600万ドル)となった。
2 経済の主な動き
(1)経済全般
28日、YPF社は、英資本のブリティッシュガスから、Gas Argentino S.A.(GASA:メトロガス(首都圏220万世帯にガスを供給)の70%株主)株すべてを買収し、GASAの100%株主となる旨発表した。
29日、ブエノスアイレス州議会において、住宅機会均等法が成立した。同法は、高級住宅地やゴルフ場等大型不動産プロジェクトのデベロッパーまたは土地所有者に対し、事業用地の10〜33%に相当する土地または金額の納付を義務付けるもの。ブ州内の貧困地区の調査を行い、納付金によって、低所得者層の住居改善を行う。
(2)貿易・通商
本年6月より一時停止となっている亜・墨間自動車貿易合意(経済補完合意55号付属書T)について、両国は自動車業界団体ベースでの協議を行い、自動車の輸出入を一定の割り当ての範囲内で無税とすることで合意した。
(3)金融・財政
8日、ブエノスアイレス市立銀行は、ペソ建て固定金利20年の不動産融資を中止する旨発表した。
8日、中銀は、ICBC(中国工商銀行)によるスタンダード銀行の亜現地法人の80%株式取得を承認した。買収額は6億ドルで、中国によるラ米地域での銀行部門への投資として最大のものとなる。
12日、ドル建てフォルモサ州債の支払いについて、債権者集会において、ペソ建ての支払いが決定した。
中銀が、本年7月、銀行に対し、民間預金の5%を産業分野への融資に振り向けることを義務付けた制度について、10月時点で48%の貸出を達成したと発表した。
16日、ニューヨーク連邦準備銀行は、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のグリセイ判事に対し、亜政府がハゲタカファンド等債務交換に応じなかった債権者へ支払わないまま、債務交換に応じた債権者へ支払う場合、その仲介機関の協力を禁じた判決について、決済制度の正常かつ効率的な運営に影響を与える可能性があり得るため、狭義の法解釈を行うことを求める旨の書簡を提出した。
21日、グリセイ米国連邦地裁判事は、10月26日の連邦第2巡回区控訴裁判所判決において、具体的な支払い方法等曖昧と指摘され、差し戻された点について、判断を下した。また、また、グリセイ判事は、控訴裁に対し、亜政府は12月15日までにハゲタカファンドの主張する被害額全額(13.3億ドル)を保管口座に支払うべきである旨意見した。
27日、格付会社フィッチは、亜の長期外貨建て国債の格付けをBからCCに3段階引き下げた。その理由として、10月26日の控訴裁の判決(これまで亜政府が支払いを行ってこなかったハゲタカファンド等債務交換に応じていない債権者に対し、債務交換に応じた債権者と同時または事前に支払わなければならないとしたもの)を踏まえ、亜政府は新債券の支払いを期日までに行えない可能性が高まったとしている。しかしながら、亜政府は外貨建て新規国債を発行していないため、亜政府の国債発行計画に直接的な影響はないと見られる。
28日、米国連邦控訴裁は、グリセイ連邦地裁判事の判決について、少なくとも来年2月まで一時停止する判決を下した。
29日、株式公開法改正法案(証券取引にかかる権限・監督機能について、証券取引委員会の権限を強化する等)が成立した。
(4)物価・賃金
6日、官報において、家事使用人の最低賃金を25%(19.74ペソ)引き上げた。
23日、デビード公共事業相等は、今月より、電気料金を10〜20%、ガス料金を最大27%引き上げる旨発表した。 。
(5)対外関係
7日、マジョラル鉱業長官は、訪日し、亜鉱業投資セミナーを開催した。
3 経済指標の動向
(1)経済活動全般
9月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比1.6%増、前月比0.3%増と、前年比の増加幅が増大した。
なお、中銀発表のREM(民間エコノミストの予測の中銀による集計値)は、12年10月より発表を一時停止している。
(2)消費
(ア)小売
10月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比18.6%増、前月比13.%増となり、前月比が再び増加となった。スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比22.6%増、前月比3.4%増となった。
(イ)自動車販売
11月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比7.5%減、前月比4.1%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
10月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比1.8%増、前月比4.7%増と、前年同月比が増加に転じた。分野別では、基礎金属において大幅な減少が見られた傍らで、自動車や石油化学等が好調だった。
10月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比3.6%減、前月比0.6%増の76.4%となった。分野別では、石油精製等において上昇が見られた一方で、金属機械等において下落が見られた。
(イ)建設活動
10月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.4%減、前月比0.3%減となり、前年同月比は7ヶ月連続の減少となった。
(ウ)自動車生産
11月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比3.2%増、前月比1.8%減と、前年同月比が2ヶ月連続の増加となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
11月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前年同月比10.6%、前月比0.9%の上昇と、引き続き高い水準となった。住居費において、前月比4.7%増と、高い伸びが見られた。他方、公式統計は引き続き実態をかなり下回っているものと見られており、一部の野党議員らは、民間コンサルタント会社8社による推計の集計値として、11月の消費者物価は、前年同月比25.04%、前月比1.81%の上昇となったと発表した。
11月の卸売物価指数は、前年同月比13.0%、前月比0.9%の上昇となり、引き続き高い水準となった。
(イ)雇用・賃金等
10月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比24.92%増、前月比1.35%増と、引き続き高い水準となった。民間正規部門及び民間非正規部門においても同様の上昇が見られた。
2012年第3四半期の失業率(INDEC発表)は、前年同期比0.4ポイント増、前期比0.4ポイント増の7.6%となり、また、準失業率(非自発的に週35時間未満の労働にしか従事できない者)は、前年同期比1.0ポイント増、前期比0.5ポイント減の8.9%となった。
(5)金融
(ア)株価指数であるMerval指数は、月末に上昇し、30日(金)には、前月末比98ポイント増の2,419ポイントとなった。
また、カントリーリスク指数であるEMBI+は、月中頃に上昇し、30日には前月末比113ポイント増の1,137ポイントとなった。
(イ)為替レートは、ドルへの両替規制、中銀による介入等により、引き続き安定して推移しつつ、緩やかにペソ安となり、30日には前月末比1.43%、前年同月比12.92%ペソ安の1ドル=4.8338ペソとなった。他方、非公式為替市場においても、ペソ安傾向が継続している。
コールレートは、安定的に推移し、30日には前月末より0.35%増の10.40%となった。民間金融機関預金残高は、30日において、前年同月末比28.7%増、前月末比2.1%増の4,005億ペソとなった。対民間貸出残高は、30日、前年同月末比28.4%増と、引き続き高い伸び率となった。
外貨準備高は、30日には前月末比0.4億ドル減の452.4億ドルとなった。
第3四半期の資本流出(民間部門の対外資産形成)は、2009 年第4四半期以来の入超(600万ドル)となった。
(6)財政
(ア)財政収支
10月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比26.3%増、一次歳出が同26.1%増となった結果、一次財政収支黒字は同48.1%増の6.6億ペソの黒字となった。また、総合収支は、40.5億ペソの赤字となった。
(イ)税収
11月の税収(経済省発表)は、前年同月比28.3%増の606.6億ペソとなった。付加価値税収が同18.1%増の17,577百万ペソ(うち、国内分については同28.8%増、税関分については8.0%増)、法人及び個人に係る所得税収が同49.8%増の13,778百万ペソ、輸出税収が同15.2%増の4,279百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同36.0%増の8,773百万ペソとなった。
(7)貿易
10月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比8.4%減の6,897百万ドル、輸入が同0.1%増の6,312百万ドルとなった結果、貿易黒字は同52.1%減の585百万ドルとなった。輸出は、主に原油や鉱石等が増加した一方、乳製品や油脂、化学品等が減少した。輸入は、主に非耐久消費財が増加した一方、耐久消費財等が減少した。
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