アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和3年2月4日
2020年12月の経済情勢
<概要>
(1)16日、亜は、ビデオ会議形式で開催された第57回メルコスール首脳会合において、2021年前半期の議長国をウルグアイから引き継いだ。
(2)30日、農牧漁業省は、2021年3月1日以前のトウモロコシの輸出申告手続きの受付を一時停止することを発表した。
(3)31日、政府は、政令1060/2020号において、一部の工業製品や農産品に係る輸出税率に変更を加え、付加価値が高い製品を中心に輸出税率を減税することを発表した。
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1)1日、政府は、同日予定していた燃料税の13.27%の税率引上げを延期した。16日に13.27%のうち5.29%の引上げが実施される。
(2)2日、クルファス生産開発相は、2021年には、緊急労働生産支援プログラム(ATP)に代わり、低金利融資プログラムと生産回復プログラム(REPRO)を実施することを発表した。
(3)2日、農牧漁業省は、穀物や牛肉等の輸出事業者らに対する外貨決済期間を15日間に制限することを決定した。当該期間内に決済を行わない場合には、アグリビジネスチェーン事業者登録(RUCA)を解除され、輸出の許可が得られなくなる。
(4)4日、フェルナンデス大統領は、21州知事との間で2021年財政協定の署名を行った。ラレタ・ブ市長は参加しなかった。ラ・パンパ州及びサン・ルイス州は正式な署名は行わなかったが、支持を表明するために同席した。連邦政府は、署名を行った州に対し、経済復興計画として約700億ペソまでの資金を保証する一方で、財政協定締結から1年間、ドル建て債券の発行を禁じるとともに、連邦政府に対する提訴を禁じる。
(5)7日、経済省高官は、米ワシントンを訪問し、チョドスIMF理事(南米諸国代表)とともにIMF技術スタッフとの交渉を11日まで行った。
(6)9日、フェルナンデス大統領は、投資総額128億8700万ペソにのぼる12州における公共事業30計画の立上げを発表した。
(7)10日、上院は、新たな年金給付額改定法案を可決した。当初の法案に修正を行い、大統領令により定められている12月の年金引上げ(+5%)を2021年3月の年金引上げ分から控除しないこと、また、半期ごとではなく四半期ごとに改定することを定めた。
(8)10日、ブ市議会は、銀行法人税の税率を7%から8%に引き上げる法案を承認した。Leliq債に対しても同様の税率が課される。
(9)10日、外務省は、国内の輸出事業者に向けて「産業市場報告」を公開し、貿易ビジネスの好機として、31%が南北アメリカ、29%がEU、21%がアジア、14%がアフリカ、6%が中東に分布しているとする見解を明らかにした。
(10)フェルナンデス大統領は、ブラジルやパラグアイとの非対称性を緩和するためにミシオネス州に特別関税エリアの設置を認めた2021年予算法第123条を廃止した。大統領は、「同条が定めるとおりに国境と接触する全都市にフリーゾーンを拡張すれば、現地州政府および連邦政府の収入が激減してしまう。」と説明した。
(11)政府は、前政権が2018年7月に契約を行った6つの高速道路の官民連携事業(PPP)全てのコンセッション契約を打ち切った。全国道を国有化し、連邦政府が従業員1.7万人を直接雇用する。
(12)15日、経済省は、市場からペソ建て8債券計411億1200万ペソを吸収し、ドル建てAL30債4億ドル、同AL35債3億5000万ドルと交換した。
(13)16日、亜は、ビデオ会議形式で開催された第57回メルコスール首脳会合において、2021年前半期の議長国をウルグアイから引き継いだ。フェルナンデス大統領は、ボリビアのメルコスール正式加盟を提唱したほか、「軽率で原理主義的な開放を行ってはいけないが、同時に、時代遅れの方法による世界に対する閉鎖を行うこともできない。我々の経済を保護しながら国際市場に門戸を開くことが鍵となる。各貿易協定の真の価値を分析し、海外市場への開放を実際に達成できるような場合には前進する必要がある。」と述べた。
(14)17日、政府は、政令1020/2020号において、電気・ガスの公共料金の引上げの凍結をさらに3カ月間延長することを発表した。
(15)18日、政府は、2021年1月1日からの携帯・固定電話、インターネット、ケーブルテレビ料金の引上げを認可した。
(16)18日、パンデミックの影響の緩和を目的に課される一度限りの臨時課税として、「富裕税」法(法令27.605号)が施行された。同法は、2億ペソ以上の財産を申告した個人に対し2~3.5%の課税を実施するものであり、約1万2000人が対象となる。
(17)21日、政府は、政令1034/2020号において、知識経済法の対象となる知識サービスに対する輸出税(5%)を廃止した。
(18)22日、ソラー外務大臣、アロージョ社会開発大臣、メオニ運輸大臣は、中東諸国と戦略的提携を形成するための貿易強化に向けた省庁間枠組み協定に署名した。
(19)29日、下院は、新たな年金給付額改定法を承認した。
(20)30日、農牧漁業省は、トウモロコシの供給量が減少する傾向にある夏期の国内需要を保障し、国内価格の急騰を避けるため、2021年3月1日以前のトウモロコシの輸出申告手続きの受付を一時停止することを発表した。
(21)31日、政府は、健康保険料の+7%の引上げを許可したが、同日中にその決定を撤回した。
(22)31日、政府は、政令1060/2020号において、一部の工業製品や農産品に係る輸出税率に変更を加え、付加価値が高い製品を中心に輸出税率を減税することを発表した。基本的な考え方として、原材料の輸出税率を4.5%に、中間財を3%に、製品(最終財)と農産品を0%に各々変更する。自動車については、これまで輸出申告額1ドル当たり3.36ペソの固定額が課税されていたものが4.5%の固定税率に変更され、実質的な増税となる。
(23)31日、政府は、社会連帯・生産性回復法により規定されていた統計税の2.5%から3%までの時限的な引上げをさらに1年間延長することを発表した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
11月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.7%減、前月比1.4%増となった。
(2)消費:自動車販売
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
(イ)工業生産
11月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.6%増となった。
(ウ)建設活動
11月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比6.2%増となった。
(4)物価
12月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比4.0%、前年同月比36.1%の上昇となった。
12月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比4.4%、前年同月比35.4%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、12月末には前月末比42ポイント減の1368ポイントとなった。
(イ)12月末の為替レートは、前月末比3.5%ペソ安の1ドル=84.15ペソであった。
(ウ)外貨準備高は、12月末には前月末比8億ドル増の394.1億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
12月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比33.4%増、一次歳出が同53.1%増となった結果、基礎的財政収支は3,076.3億ペソの赤字となった。また、総合収支は、3,189.1億ペソの赤字となった。
(イ)税収
12月の税収(財務省発表)は、前年同月比38.0%増の6,796.4億ペソとなった。
(7)貿易
12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比34.1%減の3,544 百万ドル、輸入が同24.7%増の3,908百万ドルとなった結果、貿易収支は364百万ドルの赤字となった
(1)1日、政府は、同日予定していた燃料税の13.27%の税率引上げを延期した。16日に13.27%のうち5.29%の引上げが実施される。
(2)2日、クルファス生産開発相は、2021年には、緊急労働生産支援プログラム(ATP)に代わり、低金利融資プログラムと生産回復プログラム(REPRO)を実施することを発表した。
(3)2日、農牧漁業省は、穀物や牛肉等の輸出事業者らに対する外貨決済期間を15日間に制限することを決定した。当該期間内に決済を行わない場合には、アグリビジネスチェーン事業者登録(RUCA)を解除され、輸出の許可が得られなくなる。
(4)4日、フェルナンデス大統領は、21州知事との間で2021年財政協定の署名を行った。ラレタ・ブ市長は参加しなかった。ラ・パンパ州及びサン・ルイス州は正式な署名は行わなかったが、支持を表明するために同席した。連邦政府は、署名を行った州に対し、経済復興計画として約700億ペソまでの資金を保証する一方で、財政協定締結から1年間、ドル建て債券の発行を禁じるとともに、連邦政府に対する提訴を禁じる。
(5)7日、経済省高官は、米ワシントンを訪問し、チョドスIMF理事(南米諸国代表)とともにIMF技術スタッフとの交渉を11日まで行った。
(6)9日、フェルナンデス大統領は、投資総額128億8700万ペソにのぼる12州における公共事業30計画の立上げを発表した。
(7)10日、上院は、新たな年金給付額改定法案を可決した。当初の法案に修正を行い、大統領令により定められている12月の年金引上げ(+5%)を2021年3月の年金引上げ分から控除しないこと、また、半期ごとではなく四半期ごとに改定することを定めた。
(8)10日、ブ市議会は、銀行法人税の税率を7%から8%に引き上げる法案を承認した。Leliq債に対しても同様の税率が課される。
(9)10日、外務省は、国内の輸出事業者に向けて「産業市場報告」を公開し、貿易ビジネスの好機として、31%が南北アメリカ、29%がEU、21%がアジア、14%がアフリカ、6%が中東に分布しているとする見解を明らかにした。
(10)フェルナンデス大統領は、ブラジルやパラグアイとの非対称性を緩和するためにミシオネス州に特別関税エリアの設置を認めた2021年予算法第123条を廃止した。大統領は、「同条が定めるとおりに国境と接触する全都市にフリーゾーンを拡張すれば、現地州政府および連邦政府の収入が激減してしまう。」と説明した。
(11)政府は、前政権が2018年7月に契約を行った6つの高速道路の官民連携事業(PPP)全てのコンセッション契約を打ち切った。全国道を国有化し、連邦政府が従業員1.7万人を直接雇用する。
(12)15日、経済省は、市場からペソ建て8債券計411億1200万ペソを吸収し、ドル建てAL30債4億ドル、同AL35債3億5000万ドルと交換した。
(13)16日、亜は、ビデオ会議形式で開催された第57回メルコスール首脳会合において、2021年前半期の議長国をウルグアイから引き継いだ。フェルナンデス大統領は、ボリビアのメルコスール正式加盟を提唱したほか、「軽率で原理主義的な開放を行ってはいけないが、同時に、時代遅れの方法による世界に対する閉鎖を行うこともできない。我々の経済を保護しながら国際市場に門戸を開くことが鍵となる。各貿易協定の真の価値を分析し、海外市場への開放を実際に達成できるような場合には前進する必要がある。」と述べた。
(14)17日、政府は、政令1020/2020号において、電気・ガスの公共料金の引上げの凍結をさらに3カ月間延長することを発表した。
(15)18日、政府は、2021年1月1日からの携帯・固定電話、インターネット、ケーブルテレビ料金の引上げを認可した。
(16)18日、パンデミックの影響の緩和を目的に課される一度限りの臨時課税として、「富裕税」法(法令27.605号)が施行された。同法は、2億ペソ以上の財産を申告した個人に対し2~3.5%の課税を実施するものであり、約1万2000人が対象となる。
(17)21日、政府は、政令1034/2020号において、知識経済法の対象となる知識サービスに対する輸出税(5%)を廃止した。
(18)22日、ソラー外務大臣、アロージョ社会開発大臣、メオニ運輸大臣は、中東諸国と戦略的提携を形成するための貿易強化に向けた省庁間枠組み協定に署名した。
(19)29日、下院は、新たな年金給付額改定法を承認した。
(20)30日、農牧漁業省は、トウモロコシの供給量が減少する傾向にある夏期の国内需要を保障し、国内価格の急騰を避けるため、2021年3月1日以前のトウモロコシの輸出申告手続きの受付を一時停止することを発表した。
(21)31日、政府は、健康保険料の+7%の引上げを許可したが、同日中にその決定を撤回した。
(22)31日、政府は、政令1060/2020号において、一部の工業製品や農産品に係る輸出税率に変更を加え、付加価値が高い製品を中心に輸出税率を減税することを発表した。基本的な考え方として、原材料の輸出税率を4.5%に、中間財を3%に、製品(最終財)と農産品を0%に各々変更する。自動車については、これまで輸出申告額1ドル当たり3.36ペソの固定額が課税されていたものが4.5%の固定税率に変更され、実質的な増税となる。
(23)31日、政府は、社会連帯・生産性回復法により規定されていた統計税の2.5%から3%までの時限的な引上げをさらに1年間延長することを発表した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
11月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.7%減、前月比1.4%増となった。
(2)消費:自動車販売
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2020年計 | |
台数 | 20,033 | 23,773 | 22,475 | 28,346 | 35,065 | 33,320 | 31,431 | 38,994 | 312,789 |
前年比 | ▲28.3% | ▲34.9% | ▲42.7% | ▲25.4% | 30.5% | 22.5% | 37.3% | 25.2% | ▲16.0% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2020年計 | |
台数 | 3,227 | 6,875 | 9,612 | 13,606 | 17,903 | 14,845 | 11,503 | 17,200 | 137,891 |
前年比 | ▲85.2% | ▲60.5% | ▲51.7% | ▲27.8% | ▲17.0% | ▲23.2% | ▲35.8% | ▲9.3% | ▲38.5% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2020年計 | |
台数 | 4,802 | 15,657 | 21,316 | 25,835 | 32,149 | 28,706 | 32,570 | 30,172 | 257,187 |
前年比 | ▲84.1% | ▲34.5% | ▲1.5% | ▲16.2% | 16.1% | ▲9.8% | 20.2% | 107.7% | ▲18.3% |
(イ)工業生産
11月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.6%増となった。
(ウ)建設活動
11月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比6.2%増となった。
(4)物価
12月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比4.0%、前年同月比36.1%の上昇となった。
12月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比4.4%、前年同月比35.4%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、12月末には前月末比42ポイント減の1368ポイントとなった。
(イ)12月末の為替レートは、前月末比3.5%ペソ安の1ドル=84.15ペソであった。
(ウ)外貨準備高は、12月末には前月末比8億ドル増の394.1億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
12月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比33.4%増、一次歳出が同53.1%増となった結果、基礎的財政収支は3,076.3億ペソの赤字となった。また、総合収支は、3,189.1億ペソの赤字となった。
(イ)税収
12月の税収(財務省発表)は、前年同月比38.0%増の6,796.4億ペソとなった。
(7)貿易
12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比34.1%減の3,544 百万ドル、輸入が同24.7%増の3,908百万ドルとなった結果、貿易収支は364百万ドルの赤字となった