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概要
(1)西政府は、亜産バイオディーゼルに対する輸入制限を解除した。
(2)期日到来したドル建てチャコ州債(内国債)について、ペソで支払いを履行した。
(3)政府発表では、10月の消費者物価の伸びは前年同月比10.2%の上昇と、引き続き高い水準とされた。他方、民間においては、公式統計は引き続き実態を大きく下回っているものと見られており、民間コンサルタント8社の推計集計値ではさらに高い24.62%となっている。
(4) 9月の消費は、引き続き好調であったが、生産・建設は、輸入制限措置等の影響を受け、前年同月比減となった。市場見通しでは12年の成長率は2.6%、13年は3.9%と予測されている。
9月の貿易は、輸出が前年同月比14.3%減、輸入が同14.3%減となった結果、貿易黒字は同14.4%減となった。
9月の財政収支は、前年同月比19.1%増となり、また、総合収支は、25.9億ペソの赤字となった。
(5)為替レートは、緩やかにペソ安となり、前月末比1.52%ペソ安の1ドル=4.7655ペソとなった(非公式Blue市場では1ドル=6.36ペソ程度)。株価指数であるMerval指数は、30日(火)には前月末比131ポイント減となった。カントリーリスク指数であるEMBI+は、30日には前月末比128ポイント増となった。
2 経済の主な動き
(1)経済全般
2日、ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、亜経済成長率について、2012 年1.5〜2.1%、2013年5%との見通しを発表した。
8日、IMFは、世界経済見通しにおいて、亜経済成長率について、2012年3.1%、 2013年2.6%との見通しを発表した。
(2)貿易・通商
りんごや梨等の対伯輸出について、本年6月、伯政府は、非自動輸入許可対象としていたが、8日、伯政府は、それらを対象外とする措置をとった。
西政府は、4月20日、政令において、バイオディーゼルの輸入をクォータ制(輸入枠)とし、6ヶ月以内にEU加盟国に輸入枠の割り当てを行うこととしていたが、9日、西政府は、同政令を取り消した。 。
(3)金融・財政
2日、官報において、自動車及びオートバイの登録税が引き上げられた。国産新車登録はこれまで新車価格の1%であったところ、1.2%となる。
10日、期日到来したドル建てチャコ州債(内国債)について、チャコ州政府は、中銀からドル購入の承認が得られなかったとして、投資家に対し、ペソで支払いを履行した。
12日、中銀はコミュニケにおいて、チャコ州債に関連して、民間企業・地方自治体発行のドル建債券のうち、根拠法が亜のものは一部の例外を除き、ドル購入を承認しないが、根拠法が外国のものは承認し、また、中央政府発行のドル建て債券の場合、根拠法の内外を問わず、ドル購入を承認する旨発表した。
26日、米国連邦第2巡回区控訴裁判所は、2月23日のニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のグリセイ判事の判決(亜政府は、債権者平等条項(パリパス条項)に違反しているため、過去の債務交換に応じた債権者と同様に、原告のNMLファンド等債務交換に応じていない債権者に対しても、支払わなければならないとしたもの)を支持した。また、集団行動条項について、ギリシャ国債等はNY州法準拠国債ではないため、同判決が欧州のソブリン再編に与える影響は少ないとした。一方、具体的な支払い方法や仲介銀行など第三者への適用について、グリエサ連邦地裁判事の判決には曖昧な点があるとして、連邦地裁へ差し戻した。
26日、政府は、株式公開法改正法案(証券取引にかかる権限・監督機能について、証券取引委員会の権限を強化するなど)を下院に提出した。
30日、格付会社S&Pは、亜の長期外貨建て国債の格付けをBからB−に引き下げた。その理由として、26日の控訴裁判決が亜政府の債務を増加させる可能性があり、ドル建て州債のペソ払いやガーナでのリベルタッド号の拘留等も今後の経済政策に悪影響を及ぼすことから、債務管理リスクが高まったことを挙げている。しかしながら、亜政府は外貨建て新規国債を発行していないため、亜政府の国債発行計画に直接的な影響はないと見られる。
31日、2013年予算法案が可決・成立した。
(4)物価・賃金
3日、世銀レポート「ラテンアメリカの変化の背後にある労働市場の歴史」において、亜のインフレ率が20%を上回ることを指摘した。
(5)対外関係
2日、ガーナ裁判所は、ガーナのテーマ港に停泊中の亜海軍の練習船「リベルタッド」号に対し、NMLファンドの訴えに基づき、拘留命令を発出した。11日、ガーナ高等商事裁判所は、同練習船は外交上の不可侵権を有するとした亜政府の拘留命令撤回請求を却下した。
9日、東京で開催されたIMF・世銀総会には、コセンティーノ経済省金融長官が出席した。
26日、モレーノ経済省国内取引長官等通商ミッションは、ベトナムを訪問した。
3 経済指標の動向
(1)経済活動全般
8月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比1.4%増、前月比0.2%増と、前年比の増加幅が減少した。
10月のREM(民間エコノミストの予測の中銀による集計値)の平均では、12年の実質GDP成長率は前月の予測と同じ2.6%、13年は前月の予測と同じ3.9%と予測されている。
(2)消費
(ア)小売
9月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比27.5%増、前月比2.8%減となり、前月比が3ヶ月連続の減少となった。スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比13.2%増、前月比0.8%増となった。
(イ)自動車販売
10月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比17.9%減、前月比3.0%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
9月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比3.4%減、前月比1.7%減と、 6ヶ月連続で前年同月比が減少した。分野別では、基礎金属や自動車において大幅な減少が見られた傍らで、飲食料品等が好調だった。
9月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比7.9%減、前月比1.8%増の75.8%となった。分野別では、石油精製等において上昇が見られた一方で、自動車・金属機械等において下落が見られた。
REMの平均では、12年の工業生産指数の上昇率は前月の予測と同じ前年比1.9%増、13年は4.0%増と予測されている。
(イ)建設活動
9月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.5%減、前月比4.8%増となり、前年同月比は6ヶ月連続の減少となった。
(ウ)自動車生産
10月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比15.6%増、前月比8.4%増と、前年同月比が再び増加に転じた。
(4)物価・雇用
(ア)物価
10月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前年同月比10.2%、前月比0.8%の上昇と、引き続き高い水準となった。衣類において、前月比2.2%増と、高い伸びが見られた。他方、公式統計は引き続き実態をかなり下回っているものと見られており、一部の野党議員らは、民間コンサルタント会社8社による推計の集計値として、10月の消費者物価は、前年同月比24.62%、前月比1.82%の上昇となったと発表した。
10月の卸売物価指数は、前年同月比15.0%、前月比1.0%の上昇となり、引き続き高い水準となった。
REMの平均では、12年の消費者物価指数の上昇率は前月の予測より0.1%減の前年比13.4%、13年は14.6%と予測されている。
(イ)雇用・賃金等
9月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比24.75%増、前月比1.35%増と、引き続き高い水準となった。民間正規部門及び民間非正規部門においても同様の上昇が見られた。
REMの平均では、12年の給与指数の上昇率は前月の予測と同じ前年比24.63%増、13年は21.85%増、12年の失業率は前月の予測と同じ7.3%、13年は7.1%と予測されている。
(5)金融
(ア) 株価指数であるMerval指数は、月中頃から徐々に下落し、30日(火)には、前月末比131ポイント減の2,320ポイントとなった。
また、カントリーリスク指数であるEMBI+は、月中頃から徐々に上昇し、30日には前月末比128ポイント増の1,024ポイントとなった。
(イ) 為替レートは、ドルへの両替規制、中銀による介入等により、引き続き安定して推移しつつ、緩やかにペソ安となり、30日には前月末比7.1センターボ(1.52%)ペソ安の1ドル=4.7655ペソとなった。他方、Blue市場(非公式為替市場)においても、ペソ安傾向が継続しており、30日には1ドル=6.36ペソ程度となった。
コールレートは、安定的に推移し、30日には前月末より0.1%増の10.05%となった。民間金融機関預金残高は、30日において、前年同月末比24.1%増、前月末比2.2%増の3,923億ペソとなった。対民間貸出残高は、30日、前年同月末比26.7%増と、引き続き高い伸び率となった。
外貨準備高は、30日には前月末比2.6億ドル増の452.7億ドルとなった。
REMの平均では、12年の為替レートは前月の予測と同じ1ドル=4.86ペソ、13年は1ドル=5.63ペソ、12年の外貨準備高は前月の予測と同じ460億ドル、13年は479億ドルと予測されている。
(6)財政
(ア)財政収支
9月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比19.8%増、一次歳出が同19.8%増となった結果、一次財政収支黒字は同19.1%増の5.4億ペソの黒字となった。また、総合収支は、25.9億ペソの赤字となった。
REMの平均では、12年の一次財政収支は前月の予測と同じ12億ペソの赤字、13年は20億ペソの赤字と予測されている。
(イ)税収
10月の税収(経済省発表)は、前年同月比26.4%増の601.3億ペソとなった。付加価値税収が同34.5%増の17,577百万ペソ(うち、国内分については同28.7%増、税関分については28.8%増)、法人及び個人に係る所得税収が同40.0%増の12,490百万ペソ、輸出税収が同22.8%減の4,497百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同32.9%増の8,806百万ペソとなった。
REMの平均では、12年の税収は前月の予測と同じ6,629億ペソ、13年は8,114億ペソと予測されている。
(7)貿易
9月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比14.3%減の6,818百万ドル、輸入が同14.3%減の5,907百万ドルとなった結果、貿易黒字は同14.4%減の911百万ドルとなった。輸出は、主に原油や鉱石等が増加した一方、種子や油脂、卑金属等が減少した。輸入は、主に運送用資本財が増加した一方、産業用資本財や耐久消費財等が減少した。
REMの平均では、12年の輸出は前月の予測と同じ853億ドル、輸入は748億ドル、13年の輸出は899億ドル、輸入は797億ドルと予測されている。
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