アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
平成31年1月25日
2018年12月の経済情勢
<概要>
(1)1日、G20ブエノスアイレスサミットが閉幕し、報道によると、亜政府は中国・米国等との間で総額65億ドル相当のインフラ・エネルギー開発等の分野の投資に合意したとされる。(2)5日、2か月連続でインフレ期待が大幅に下落したことを受け、中銀は金利の下限(60%)を廃止した。また。為替非介入ゾーンの下限を下回った場合のドル買い介入額の上限を1億5000万ドルから5000万ドルに縮小させると発表。さらに、同為替バンド制を2019年第一四半期も延長し、非介入ゾーンの上限と下限を月間2%のペースでペソ安方向に毎日変動させるとした。 (3)2018年の新車販売登録台数は22.9%減、自動車輸出は28.5%増で、同国内生産は1.4%減となった。 (4)2018年の貿易赤字は3,820百万ドルとなり、昨年の赤字(8,309百万ドル)から半減した。 (5)2018年の基礎的財政収支はGDP比2.4%の赤字となり、目標(同▲2.7)を達成した。 |
1 経済の主な動き等
(1)1日、G20ブエノスアイレスサミットが閉幕し、報道によると、亜政府は中国・米国等との間で総額65億ドル相当のインフラ・エネルギー開発等の分野の投資に合意したとされる。
(2)5日、2か月連続でインフレ期待が大幅に下落したことを受け、中銀は金利の下限(60%)を廃止した。また。為替非介入ゾーンの下限を下回った場合のドル買い介入額の上限を1億5000万ドルから5000万ドルに縮小させると発表。さらに、同為替バンド制を2019年第一四半期も延長し、非介入ゾーンの上限と下限を月間2%のペースでペソ安方向に毎日変動させるとした。
(3)アルゼンチン食肉・食肉加工品商工会議所(Ciccra)によると、今年の1月から10月の間の食肉輸出量か過去9年間で最多となった。今年1月から10月までの牛肉(骨付き)の輸出量は430,700トンとなり年間で75.1%増、今年1月~10月までの輸出総額は150万ドルで昨年同時期比で48.1%増となった。中国向けが最も多く、総輸出量の42%を占める。
(4)2019年、政府は給与引き上げ率を23%(予算案に明記される来年の年間予想インフレ率と同値)で交渉する方向を決定した。
(5)13日、三井物産は、フランスのトタル・エレン社(トタル社傘下)より、アルゼンチン南部で風力発電事業を推進するビエント・ロス・エルクレス社の株式の34%を取得した。今後、サンタ・クルス州において、3,6 MWの風車27本(合計発電容量 97.2 MW)を建設するとしている。
(6)亜中銀は、中国とのスワップ協定による資金提供(87億2500万ドル(600憶元))によって外貨準備高は7月同等レベルの586億1600万ドルとなったと発表した。
(7)18日、 マクリ大統領は ウルグアイのモンテビデオで開催された第53回メルコスール首脳サミットに出席し、2019年の上期の議長に就任した。
(8)19日、IMFは76億ドルの融資を承認した。IMF理事会は最新のアルゼンチン経済指標やIMFとアルゼンチン政府間で合意された取り決め内容が実行されていることを確認し実際に結果を産み出していると評価した。IMFによる第3回目、今年最後の融資支払いとなる。前回と前々回支払い分を合計するとすでに約280億ドルの融資が実行されている。
(9)2019年の大統領選を迎えるアルゼンチンへの不安が拡がっているとして、2018年の年末にかけてカントリー・リスク指標(EMBI指数)が上昇し、24日には832 ポイントに到達した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
10 月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.0%減、前月比0.9%増となった。
(2)消費:自動車販売
12月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比46.6%減となり、年間では22.9%減となった。
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2018年計 | |
台数 | 75,754 | 55,358 | 46,637 | 52,224 | 42,628 | 37,207 | 33,095 | 48,418 | 681,816 |
前年比 | ▲4.7% | ▲31.0% | ▲35.8% | ▲31.9% | ▲44.1% | ▲50.0% | ▲57.9% | ▲46.4% | ▲22.9% |
(参考)12月の自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2018年計 | |
台数 | 21,431 | 22,894 | 25,363 | 28,068 | 23,336 | 22,028 | 26,048 | 22,947 | 269,360 |
前年比 | 7.4% | 16.2% | 74.7% | 59.6% | 13.5% | 4.0% | 36.2% | 26,1% | 28.5% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
12月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比38.5%減となり、年間では1.4%減となった。
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2018年計 | |
台数 | 46,835 | 39,420 | 41,450 | 49,335 | 37,267 | 38,659 | 36,808 | 20,475 | 466,649 |
前年比 | 3.5% | ▲13.4% | 8.6% | 9.0% | ▲20.6% | ▲11.8% | ▲18.6% | ▲38,5% | ▲1.4% |
(イ)工業生産
11月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月13.3%減となった。
(ウ)建設活動
11月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比15.9%減となった。
(4)物価
11・12月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.2%、2.6%の上昇となり、2018年のインフレ率は47.6%となった。
11・12月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比0.1%、1.3%の上昇となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、12月末には、前月末比3.8%減の30292.55ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、12月末には前月末比109ポイント増の813ポイントとなった。
(イ)12月末の為替レートは、前月末比0.6%ペソ高、前年同月比101.4%ペソ安の1ドル=37.81ペソであった
コールレートは、12月末には53.00%となった。対民間貸出残高は12月末には21,513億ペソとなった。
外貨準備高は、12月末には前月末比146.1億ドル増の568.1億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
12月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比33.8%増、一次歳出が同27.9%増となった結果、基礎的財政収支は1,353.2億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,927.7億ペソの赤字となり、年間では基礎的財政収支はGDP比▲2.4%となり、政府目標の▲2.7%を達成した。
(イ)税収
12月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比36.0%増の3199.2億ペソ、付加価値税収が同37.9%増の992.1億ペソ(うち、国内分については同49.4%増、税関分については9.5%増)、法人及び個人に係る所得税収が同39.1%増の738.3億ペソ、輸出税収が同325.0%増の157.9億ペソ、社会保障雇用主負担金が同23.4%増の432.3億ペソとなった。また、年間の税収は前年比31.2%増の3兆3826.6億ペソとなった。
(7)貿易
12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比15.4%増の5,282百万ドル、輸入が同27.1%減の3,913百万ドルとなった結果、貿易黒字は1369百万ドルとなった。また、年間では3,820百万ドルの貿易赤字となった。
(了)
バックナンバー
2018年
|
|
|||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017年
|
||||||||||||
2016年
|
||||||||||||
2015年
|
||||||||||||
2014年
|
||||||||||||
2013年
|
||||||||||||
2012年
|
||||||||||||
2011年
|
||||||||||||
2010年
|
||||||||||||
2009年
|
||||||||||||
2008年
|
||||||||||||
2007年
|
||||||||||||
2006年
|
||||||||||||
2005年
|
||||||||||||
2004年
|
||||||||||||
2003年
|
||||||||||||
2002年
|