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概要
(1)米国エネルギー省(EIA)は、亜の可採埋蔵量は、シェールオイルで世界4位、シェールガスで世界2位であると発表した。
(2)13日、サルミエント線にて、死者3名、負傷者315名となる列車衝突事故が発生した。
(3)6月の民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前年同月比23.78%の上昇となった。為替レートは、前年同月比19.00%ペソ安の1ドル=5.3852ペソとなった。
2 経済の主な動き
(1)経済全般
4日、政府は、伯のAmérican Latina Logística社が運営するサン・マルティン貨物鉄道及びウルキサ貨物鉄道、亜資本のSociedad Comercial del Plata社が運営する沿岸鉄道(Tren de la Costa)及び沿岸遊園地(Parque de la Costa)の運営を国営化する旨発表した。
10日、米国エネルギー省(EIA)は、世界各国のシェールオイル及びシェールガスの可採埋蔵量について、亜はシェールオイルで世界4位(270億バレル)、シェールガスで世界2位(802兆立方フィート)となると発表した。
11日、主要農牧4団体は、15日から5日間、穀物、家畜及び非生鮮農牧品の出荷を停止すると発表した。1年半にわたり、4団体揃ってのフェルナンデス大統領等との面談を求めてきたが、実現されていないことを理由としている。その後、同措置は5日間で終了した。
13日、サルミエント線カステラ-ル駅手前にて、死者3名、負傷者315名となる列車同士の衝突事故が発生した。事故原因については、14日に設置された事故調査委員会にて今後調査がなされるが、追突した電車は、停止信号を過ぎても減速していなかった。
22日、サンタクルス州に建設予定の「ネストル・キルチネル」水力発電所及び「ホルヘ・セペルニク」水力発電所の入札について、Electroingeniería(亜)、GezhoubaGroup(中)、Hidrocuyo(亜)の企業連合が落札した(入札額180億ペソ)。
(2)貿易・通商
6日、マイサール(トウモロコシ協会)専務理事は、亜・中間の遺伝子組み換え穀物の輸出に関する合意(2012年2月)に基づき、トウモロコシ60万トンを中国へ輸出したと発言した。なお、亜産トウモロコシの主な輸出先は、コロンビア、アルジェリア、ペルー、インドネシア、マレーシア等となっている。
26日付 西レプソル社プレスリリースによると、YPF国有化に伴う賠償問題について、亜政府は、レプソル社に対し、以下の提案を行った。(1)バカ・ムエルタ全面積の6.4%の開発を目的とする新会社を創設し、その会社の株式比率をYPF 51%,レプソル47%,Pemex(墨。レプソル社の9.4%株主) 2%とする(レプソル保有分が35億ドル相当)。(2)亜政府が、レプソルに対し、15億ドル支払う。ただし,その全額を上記会社に再投資する。
30日、亜伯間の自動車協定(亜伯経済補完合意第14号に対する第38追加議定書、署名日2008年6月23日、一方の国の輸出超過に上限を設けている)は更新されなかったため、自動失効した。
(3)金融・財政
(ア)未申告外貨の還流措置(blanqueo)
12日、CEDIN(投資預金証明書)の実施細則(中銀通達)が発表された。CEDINの額面金額は、100ドルから10万ドルとなっている。
13日、経済省令第256号により、亜経済開発預金国債(BAADE債)及び経済開発預金手形は、7月17日に起債されることとなった(3年物、ドル建て、金利4%)。
(イ)その他の動き
3日、UIF(金融情報機構)は、HSBCに対し、マネーロンダリングの疑いのあるオペレーションに関する報告を怠ったとして、報告義務を怠った資金と同額の約540万ペソの罰金を課した。同オペレーションは、2007年、推定月収3,000ペソ未満で、これまで所得税申告等のなかった者が、500万ペソ以上の小切手を入金し、その1ヵ月後に同資金が引き出されたというもの。
4日、エクアドルでの環境破壊裁判に関連して、亜最高裁は、シェブロン社が亜国内に保有する資産約190億ドルに対して執られていた差押を解除する決定を行った。エクアドルで環境汚染を起こしたとされているのはテキサコ社であり、のちに同社を買収したのがChevron Corporationである一方、同差押資産の所有者は、Chevron Argentinaとなっている。
27日、モレーノ経済省国内取引長官は、「スーパーカード」に関する発表を行った。7月から、同カードの取得手続ができ、不動産銀行(Banco Hipotecario)が同カードの運営を担う。同カードは、主要スーパー及び家電量販店で利用可能である。なお、スーパーマーケット独自のカード及びその他のクレジットカードも従来通り利用可能である。加盟店手数料は0.75%となり、その他のカードはこれまで同様3%となる。
(4)物価・賃金
5日 教員労組SUTEBAとブエノスアイレス州は、24.5%の賃上げ率で合意した。
8日、サンタクルス州政府は、同州独自のインフレ率を公表した(5月前月比1.87%)。
12日、トラック労組は、経営側と26%の賃上げ率で合意した(7月に13%、11月7%、2014年6%)。
14日、食品労組は、それぞれ経営側と26.5%の賃上げ率(5月に17%、8月に7%、2014年1月に2.5%)と一時金225ペソの支給(9月と11月の2回)で合意した。また、観光・ホテル・飲食業労組は、経営者団体4団体中、3団体と28%の賃上げ率で合意した。
3 経済指標の動向
(1)経済活動全般
2013年第1四半期の実質GDP(INDEC発表)は、前年同期比3.0%増、前期比1.5%増と、前年同期比の伸び幅が拡大した。民間消費や政府消費が引き続き高い伸び率で成長し、固定投資が前年比増加に転じた一方、輸出の前年比は減少した。GDPデフレーターは同17.98%増、民間消費デフレーターは同15.64%増となった。
4月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比5.6%増、前月比0.5%増と、前年比の増加幅が増大した。
(2)消費
(ア)小売
5月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比38.7%増、前月比17.9%増となり、前年同月比の増加幅が増大した。スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比28.3%増、前月比3.9%増となった。
(イ)自動車販売
6月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比22.1%増、前月比3.4%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
5月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.4%増、前月比0.7%増となり、前年同月比の増加幅は2011年9月以来の高い伸び幅となった。分野別では、石油精製や飲食料品等において減少が見られた一方で、自動車や非鉄金属等が好調だった。
5月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比3.2%増、前月比3.0%減の73.3%となった。分野別では、非鉄金属や自動車等において上昇が見られた一方で、金属機械や飲食料品等において下落が見られた。
(イ)建設活動
5月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比7.7%増、前月比2.3%増となり、前年同月比が4ヶ月連続の増加となった。
(ウ)自動車生産
6月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比19.8%増、前月比20.3%減と、前月比が再び減少した。
(4)物価・雇用
(ア)物価
6月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前年同月比10.5%、前月比0.8%の上昇となった。医療費において、前月比2.4%増と、高い伸びが見られた。公式統計は引き続き実態をかなり下回っていると見られており、6月の議会インフレ率(一部の野党議員が集計する民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値)は、前年同月比23.78%、前月比1.93%の上昇となった。また、5月のブエノスアイレス市インフレ率(Ipcba)は、前月比1.5%となった。
6月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比13.4%、前月比1.2%の上昇となり、引き続き高い水準となった。
(イ)雇用・賃金等
5月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比25.30%増、前月比3.70%増と、引き続き高い水準となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、6月末には、前月末比513ポイント減の2,976ポイントとなった。
また、EMBI+(カントリーリスク指数)は、6月末には前月末比24ポイント増の1,186ポイントとなった。なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する評価であるが、亜政府は、近年ドル建て新規国債を発行していない点に注意が必要である。
(イ)為替レートは、引き続き安定して推移しつつ、緩やかにペソ安となり、6月末には前月末比1.92%、前年同月比19.00%ペソ安の1ドル=5.3852ペソとなった。
コールレートは、6月末には前月末比2.3%増の12.7%となった。民間金融機関預金残高は、6月末において、前年同月末比30.1%増、前月末比4.2%増の4,767億ペソとなった。対民間貸出残高は、6月末には前年同月末比32.4%増と、引き続き高い伸び率となった。
外貨準備高は、6月末には前月末比15.46億ドル減の370.05億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
4月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比33.5%増、一次歳出が同33.4%増となった結果、一次財政収支黒字は同36.2%増の14.5億ペソの黒字となった。また、総合収支は、30.7億ペソの赤字となった。
(イ)税収
6 月の税収(経済省発表)は、前年同月比27.3%増の746.96億ペソとなった。付加価値税収が同28.2%増の19,730百万ペソ(うち、国内分については同25.2%増、税関分については36.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同36.7%増の21,914百万ペソ、輸出税収が同0.9%減の4,123百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同32.8%増の10,371百万ペソとなった。
(ウ)債務残高
2012年12月末の債務残高対名目GDP比は、12年6月末比3.4%増、前年同期比3.1%増の44.9%(197,464百万ドル)となった。 。
(7)貿易
5月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比11.6%増の8,429百万ドル、輸入が同17.4%増の7,091百万ドルとなった結果、貿易黒字は同11.8%減の1,338百万ドルとなった。輸出は、主に穀物や原油等が増加した一方、燃料等が減少した。輸入は、全体的に増加しており、主に資本財や自動車等が増加した。
(8)国際収支
2013年第1四半期の国際収支(INDEC発表)は、貿易収支が前年同期比1,137百万ドル減の2,006百万ドルの黒字、所得収支が同424百万ドル増の2,736百万ドルの赤字等となった結果、経常収支は2,380百万ドルの赤字と、2四半期連続の赤字となった。また、資本収支は、同189百万ドル増の1,263百万ドルの黒字と、4四半期ぶりの黒字となった。
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