アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和5年12月6日
2023年10月の経済情勢
<概要>
(1)12日、亜中銀は、政策金利を15ポイント引き上げて名目年率133%とした。 (2)18日、訪中したフェルナンデス大統領は、習近平国家主席と会談し、中国人民銀行との間で通貨スワップ協定を470億元(65億ドル相当)分拡充することで合意した。 (3)23日、非公式レートが1ドル=1,100ペソを記録した。公定レートとの乖離は、2022年7月にグスマン経済大臣が辞任した直後に記録した160%を大幅に上回る214%となった。 (4)31日、亜政府は、IMFに対して26億ドル相当の債務を返済した。 |
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1)2日、世界銀行は、2024年のアルゼンチンの実質GDP成長率の見通しを0.5ポイント引き下げて▲2.5%とした。
(2)3日、亜政府は、これまで大豆輸出に適用してきた実質的な優遇レートを、石油の輸出にも適用することを決定した。11日には適用範囲を野菜、乳製品、皮革製品等の幅広い品目に拡大した。
(3)4日、亜政府は、乳製品の輸出に係る輸出税を年末まで免除することを決定した。
(4)10日、証券取引委員会(CNV)は、マネーロンダリング対策や脱税防止のため、外国人投資家による債券売買を通じたドル取引について、一日あたりの上限額や事前申告等の規制を設けた。
(5)12日、亜中銀は、政策金利を15ポイント引き上げて名目年率133%とした。
(6)18日、訪中したフェルナンデス大統領は、習近平国家主席と会談し、中国人民銀行との間で通貨スワップ協定を470億元(65億ドル相当)分拡充することで合意した。
(7)20日、亜政府は、IDB・世界銀行・アンデス開発公社(CAF)の各機関と総額8億5,000万ドルの融資を締結した。食料安全保障、農村開発、保健、安全な水の確保等の事業に資金を供給する。
(8)23日、非公式レートが1ドル=1,100ペソを記録した。公定レートとの乖離は、2022年7月にグスマン経済大臣が辞任した直後に記録した160%を大幅に上回る214%となった。
(9)23日、亜政府は11月17日までの間、輸出促進措置の適用範囲を全ての輸出品目に広げるとともに、実質的に従来よりも有利なレートの適用を認めることを決定した。
(10)24日、国家通信機構(ENACOM)は、5G周波帯の入札を実施した。Claro、Telecom、Telefónicaの3社が合計8億7,500万ドルで落札した。
(11)26日、亜政府は、価格抑制プログラム(precios justos)に応じる企業への優遇措置を年末まで延長することを決定した。
(12)31日、亜政府は、IMFに対して26億ドル相当の債務を返済した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
8月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比1.3%増、前年同月比0.3%増となった。
(2)消費:自動車販売 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 2023年計 | |
台数 | 38,087 | 33,795 | 38,604 | 44,138 | 30,928 | 30,294 | 43,282 | 40,788 | 352,153 |
前年比 | 12.6% | 9.5% | 14.5% | 18.5% | 5.1% | 3.8% | 25.1% | 23.3% | 14.5% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 2023年計 | |
台数 | 32,420 | 30,736 | 30,279 | 23,291 | 28,663 | 28,862 | 35,555 | 28,563 | 273,687 |
前年比 | 31.7% | 12.0% | 13.1% | ▲27.0% | 25.0% | ▲11.1% | 0.5% | ▲23.8% | 2.0% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 2023年計 | |
台数 | 61,104 | 54,399 | 53,282 | 53,522 | 49,254 | 63,455 | 56,750 | 51,937 | 517,173 |
前年比 | 25.4% | 24.1% | 14.8% | 10.6% | 11.9% | 17.4% | 8.7% | ▲0.9% | 15.9% |
(イ)工業生産
9月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比3.6%減となった。
(ウ)建設活動
9月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.5%減となった。
(4)物価
10月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比8.3%、前年同月比142.7%の上昇となった。
9月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比9.2%、前年同月比141.7%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、10月末には前月末比34ポイント増の2,577ポイントとなった。
(イ)為替レートは、10月末には前月末とほぼ変わらず1ドル=350.01ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、10月末には前月末比43.7億ドル減の225.6億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
9月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比98.0%増、一次歳出が同125.3%増となった結果、基礎的財政収支は3,805億ペソの赤字となった。また、総合収支は、5,115億ペソの赤字となった。
(イ)税収
9月の税収(経済省発表)は、前年同月比102.3%増の4兆3,033億ペソとなった。
(7)貿易
9月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比23.5%減の5,751百万ドル、輸入が同8.3%減の6,544百万ドルとなった結果、貿易収支は793百万ドルの赤字となった。
(了)