経済情報
月1回更新

2013年1月アルゼンチンの経済情勢

 

2013年2月作成

在アルゼンチン大使館

1 概要


(1)亜経済省は、非自動輸入ライセンスの対象品目を定めた省令を廃止した。

 

(2)WTOの紛争解決機関(DSB)は、米国、日本及びEUによる対亜提訴について、パネルを設置した。

 

(3)2012年の貿易収支について、政府が実質的な政策目標としていたラインを超える126.9億ドルの貿易黒字(対前年比26.7%増)を達成した。2012年第3四半期の国際収支は、経常収支が2四半期連続の黒字となった。

 2012年の工業生産指数は、過去10年間で初めての減少となった。

 1月の民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前年同月比26.28%の上昇となった。為替レートは、前年同月比14.77%ペソ安の1ドル=4.9768ペソとなった。

 

 

2 経済の主な動き


(1)経済全般

 

  28日、アウグスト・コスタ経済省経済政策長官補(経済調整・競争力強化担当)が、外務副大臣(国際経済担当)に任命された。一方、マリアナ・ラウラ・ゴンザレス氏が経済政策長官補に任命された。いずれもキシロフ経済省経済政策長官に近い人物とされる。

 

(2)貿易・通商

 

 4日、三井物産は、世界最大手のスペイン自動車プレス部品メーカーであるGestamp Automociòn,S.L.の米州事業会社群に最大30%出資参加することで同社と合意し、契約を締結した。同会社群は、亜のほか、米国、メキシコ、ブラジルの4ヵ国に計15工場を保有している。

 9日、CICCRA(牛肉生産の業界団体)によると、牛肉の輸出枠は生産量の7.1%に制限されているため、牛肉の輸出額は過去50年で最低となったとのこと。  

 10日、サルミエント線及びミトレ線の車両について、フェルナンデス大統領は、中国のCSR社と車両購入契約を交わした旨発表した。購入台数は409両(サルミエント線225両、ミトレ線184両)と報じられており、高架工事等も含め、全投資額は49億ペソとなる。  

 23日、亜経済省は、非自動輸入ライセンスの対象品目を定めた省令を廃止する経済省令を施行した。一方、事前輸入宣誓供述制度(DJAI)は依然として存在しているため、手続き上の変化はあるものの、運用上の変化は少ないと見られている。

 22日、亜政府は、メルコスールの域外共通関税の例外品目として100品目を追加指定し、各関税率をWTOで認められた上限の35%まで引き上げる措置を発表した。今回の措置は、加盟各国が独自に最大200品目を関税引き上げできるとした決議に基づくものであり、2012年10月に既に伯は100品目の関税引き上げを実施していた。また、関税率の引き上げ品目対象には、二輪車、パソコン、携帯電話端末、玩具、家具等が含まれるが、大半がHSコード表の「その他」に分類されていることから、同制度変更の影響は限定的と見られている。  

 28日、WTOの紛争解決機関(DSB)は、米国、日本及びEUによる対亜提訴について、3件の提訴を一つにまとめ、パネルを設置した。一方、亜の米国に対する提訴についてもパネルを設置した。 。

 

(3)金融・財政

 

 24日、エチェガライAFIP長官は、中国海関総署の于広洲署長と両国の税関情報交換協定の締結に向けた基本合意書に署名した。

 28日、フェルナンデス大統領は、所得税課税最低限について、3月より20%引き上げる旨発表した。今回の改定は、2011年4月以来であるが、これにより、被雇用者の82.52%が課税最低限以下となる。  

 1996年〜2000年起債のサムライ債の管理会社として、三菱東京UFJ銀行、新生銀行及びみずほコーポレート銀行が、亜政府を相手取り、東京地裁に2009年に提訴していたが、28日東京地裁は、管理会社の請求を却下した。なお、同裁判は、日本で唯一の残存債務問題にかかる裁判である。  

 29日、IMF理事会は、非公式会合を行った。直近の4条協議から18ヶ月以上経過した国について、毎年開催されることになっているもの。  

 エクアドルの先住民が、1970年代及び80年代のテキサコ社(後にシェブロンに買収される)の事業により、健康被害を受けたとして、シェブロン社を相手取りエクアドル裁判所に提訴していたが、シェブロン社はエクアドルに資産を保有しないため、仮処分の執行に関する米州マルチ条約(Convención Interamericana sobre Cumplimiento de Medidas Cautelares en el Extranjero)に基づき、差押裁判を亜のほか、カナダ、ブラジル及びコロンビアに持ち込んだ。亜地裁は亜シェブロン社の資産差押を認めたところ、控訴裁も一審を支持した。

 

(4)物価・賃金

 

 16日、ブエノスアイレス市内の高速道路料金が10%値上げされた。  

 28日、年2回の改定が定められている年金について、15.18%の増額となった。

 

(5)対外関係

 

 NMLファンドの訴えを受け、ガーナのテーマ港に拘留されていた亜海軍の練習船「リベルタッド」号は、2012年12月15日の国際海洋法裁判所による拘留解除命令を受け、19日、亜に帰還した。

 29日、亜原子力発電社(NASA)と中国核工業集団(CNNC)が亜の4ヶ所目となる原子力発電所等に関する協力協定を締結した旨発表された。2009年末、法律により、4ヶ所目の原子力発電所のプロジェクトの実現がNASAに委ねられている。

 

 

3 経済指標の動向


(1)経済活動全般

 

 12月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比2.1%増、前月比0.4%増と、前年比の増加幅が増大した。

 なお、中銀発表のREM(民間エコノミストの予測の中銀による集計値)は、12年10月より発表を一時停止している。 。

 

(2)消費

 

(ア)小売

 12月のショッピングセンター売上高(INDEC発表)は、前年同月比23.4%増、前月比67.3%増となり、前月比が再び増加となった。スーパーマーケット売上高(INDEC発表)は、前年同月比26.4%増、前月比27.5%増となった。


(イ)自動車販売

 1月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比7.7%減、前月比34.3%減となった。

 

(3)工業生産・建設活動

 

(ア)工業生産

 12月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比3.8%減、前月比0.6%減と、2ヶ月連続で前年比減となった。分野別では、基礎金属において大幅な減少が見られた傍らで、自動車等が好調だった。2012年の工業生産指数は、過去10年間で初めての減少となる。

 12月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比2.7%減、前月比6.2%増の75.8%となった。分野別では、石油精製や化学等において上昇が見られた一方で、自動車等において下落が見られた。


(イ)建設活動

 12月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.0%減、前月比0.9%増となり、前年同月比は9ヶ月連続の減少となった。


(ウ)自動車生産

 1月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比4.9%増、前月比27.8%減と、前年同月比が4ヶ月連続の増加となった。

 

(4)物価・雇用

 

(ア)物価

 1月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前年同月比11.1%、前月比1.1%の上昇となった。交通通信費において、前月比6.1%増と、高い伸びが見られた。他方、公式統計は引き続き実態をかなり下回っていると見られており、1月の議会インフレ率(一部の野党議員が集計する民間コンサルタント会社8社推計値)は、前年同月比26.28%、前月比2.58%の上昇となったと発表した。

 1月の卸売物価指数は、前年同月比13.2%、前月比1.0%の上昇となり、引き続き高い水準となった。


(イ)雇用・賃金等

 12月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比24.48%増、前月比1.38%増と、引き続き高い水準となった。民間正規部門及び民間非正規部門においても同様の上昇が見られた。

 

(5)金融

 

(ア)株価指数であるMerval指数は、徐々に上昇し、31日(木)には、前月末比608ポイント増の3,462ポイントとなった。

 また、カントリーリスク指数であるEMBI+は、月後半にかけて徐々に上昇し、31日には前月末比106ポイント増の1,087ポイントとなった。

 

(イ)為替レートは、ドルへの両替規制、中銀による介入等により、引き続き安定して推移しつつ、緩やかにペソ安となり、31日には前月末比1.21%、前年同月比14.77%ペソ安の1ドル=4.9768ペソとなった。他方、非公式為替市場においても、ペソ安傾向が継続している。

 コールレートは、安定的に推移し、31日には前月末より0.4%減の9.85%となった。民間金融機関預金残高は、31日において、前年同月末比31.4%増、前月末比2.0%増の4,332億ペソとなった。対民間貸出残高は、31日、前年同月末比31.4%増と、引き続き高い伸び率となった。

 外貨準備高は、31日には前月末比7.59億ドル減の425.3億ドルとなった。

 

(6)財政

 

(ア)財政収支

 

(イ)税収

 1月の税収(経済省発表)は、前年同月比24.3%増の656.8億ペソとなった。付加価値税収が同26.4%増の19,128百万ペソ(うち、国内分については同20.1%増、税関分については33.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同31.6%増の12,507百万ペソ、輸出税収が同35.7%減の2,974百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同31.9%増の12,313百万ペソとなった。

 

(7)貿易

 

 12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比4.4%減の5,993百万ドル、輸入が同8.8%減の5,464百万ドルとなった結果、貿易黒字は同88.9%増の529百万ドルとなった。輸出は、主に鉱物品等が増加した一方、原油や化学製品等が減少した。輸入は、主に輸送品を除く資本財等が増加した一方、燃料等が減少した。その結果、2012年の輸出・輸入はともに前年比減となったものの、貿易収支については、政府が実質的な政策目標としていたラインを超える126.9億ドルの貿易黒字(対前年比26.7%増)となった。

 

(8)国際収支

 

 2012年第3四半期の国際収支(INDEC発表)は、貿易収支が前年同期比1,132百万ドル増の4,412百万ドルの黒字、所得収支が同544百万ドル増の2,152百万ドルの赤字等となった結果、経常収支は1,134百万ドルの黒字と、2四半期連続の黒字となった。また、資本収支は、同1,083百万ドル減の1,914百万ドルの赤字と、2四半期連続の赤字となった。

 

click

バックナンバー
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002

2012年12月

2012年11月

2012年10月

2012年9月

2012年8月

2012年7月

2012年6月

2012年5月

2012年4月

2012年3月

2012年2月

2012年1月

2011年12月

2011年11月

2011年10月

2011年9月

2011年8月

2011年7月

2011年6月

2011年5月

2011年4月

2011年3月

2011年2月

2011年1月

2010年12月

2010年11月

2010年10月

2010年9月

2010年8月

2010年7月

2010年6月

2010年5月

2010年4月

2010年3月

2010年2月

2010年1月

2009年12月

2009年11月

2009年10月

2009年9月

2009年8月

2009年7月

2009年6月

2009年5月

2009年4月

2009年3月

2009年2月

2009年1月

2007年12月

2007年11月

2007年10月

2007年9月

2007年8月

2007年7月

2007年6月

2007年5月

2007年4月

2007年3月

2007年2月

2007年1月

2006年12月

2006年11月

2006年10月

2006年9月

2006年8月

2006年7月

2006年6月

2006年5月

2006年4月

2006年3月

2006年2月

2006年1月

2005年12月
2005年11月
2005年10月
2005年9月
2005年8月
2005年7月
2005年6月
2005年5月
2005年4月
2005年3月
2005年2月
2005年1月
2004年12月
2004年11月
2004年10月
2004年9月
2004年8月
2004年7月
2004年6月
2004年5月
2004年4月
2004年3月
2004年2月
2004年1月
2003年12月
2003年11月
2003年10月
2003年9月
2003年8月
2003年7月
2003年6月
2003年5月
2003年4月
2003年3月
2003年2月
2003年1月
 
2002年12月
2002年11月
2002年10月
2002年9月
2002年8月
2002年7月
2002年6月
2002年5月
2002年4月
2002年3月
2002年2月
2002年1月