アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和4年12月29日

2022年10月の経済情勢

 
<概要>
(1)7日、IMF理事会は、亜のEFFプログラムに係る二次レビュー結果を承認し、即日30億SDR(約40億ドル)のディスバースメントが実行された。
(2)28日、マサ経済大臣は、パリクラブとの間で延滞債務のリスケに関する枠組み合意に至ったことを発表した。


1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1)3日、マサ経済大臣は、2023年の知識経済関連の輸出額100億ドルを目標とする輸出促進計画を発表した。
(2)4日、経済省は決議第26/2022号を通じ、メルコスール対外共通関税分類番号(NCM)8桁ベースで約2,800品目を新たに非自動輸入ライセンスの対象品目に指定した。
(3)5日、ゲレーラ運輸大臣は、公共交通機関の利用料金を12月以降平均40%引き上げることを発表した。
(4)7日、IMF理事会は、亜のEFFプログラムに係る二次レビュー結果を承認し、即日30億SDR(約40億ドル)のディスバースメントが実行された。
(5)11日、連邦歳入庁は、月額300ドルを超える国外観光のための外貨購入(カード払い)について、「個人資産税の前払い」として更に25%を上乗せすることを決定した。これにより計100%の税率が公式為替レートに乗ることになる(通称「カタールドル」)。
(6)11日、韓国POSCO社は、リチウム需要を踏まえ炭酸リチウムプラント建設に係る7.4億ドルの投資を前倒しすることを発表した。
(7)12日、IDBは、亜に対する財政支援のための7億ドルの融資計画を承認した。
(8)13日、マサ経済大臣は、IMF・世界銀行年次総会及びG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席するため訪問中の米ワシントンにおいて、ムーラン仏経済財務省国庫総局長(パリクラブ議長)との会談を行った。
(9)16日、マサ経済大臣は、新たな価格統制策として「Precios Justos」を開始することを発表した。
(10)17日、政府は、輸出入取引の監視強化を目的として、従前の輸入総合モニタリングシステム(SIMI)に代わり、アルゼンチン共和国輸入システム(SIRA)を施行した。
(11)24~26日、第39回国連ラ米・カリブ諸国経済委員会(ECLAC)総会がブエノスアイレスにおいて開催された。
(12)27日、ラバーニャ経済副大臣(国際経済金融担当)及びマドクール経済大臣首席補佐官が訪仏し、パリクラブとの債務リスケ交渉を開始した。翌28日、マサ経済大臣は、パリクラブとの間で枠組み合意に至ったことを発表した。
 

2 経済指標の動向
 
(1)経済活動全般
 9月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.3%減、前年同月比4.8%増となった。
 
(2)消費:自動車販売 
 
  3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 2022年計
台数 33,827 30,861 33,730 37,236 29,432 29,171 34,605 33,087 307,528
前年比 4.5% 3.3% 20.4% 32.1% 20.8% 11.9% 34.6% 30.8% 12.3%

(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表) 
  3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 2022年計
台数 24,623 27,431 26,781 31,892 22,937 32,479 35,391 37,326 268,182
前年比 10.0% 73.1% 34.4% 40.3% ▲1.0% 30.2% 40.3% 43.9% 29.5%

 
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産 
  3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 2022年計
台数 48,746 43,826 46,422 48,392 44,033 54,057 52,193 52,415 446,396
前年比 12.9% 49.5% 32.8% 20.9% 37.9% 40.9% 19.9% 27.8% 28.1%

 (イ)工業生産
 9月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.2%増となった。
 
(ウ)建設活動
 9月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.2%増となった。
 
(4)物価
 10月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比6.3%、前年同月比88.0%の上昇となった。
 10月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比4.8%、前年同月比81.8%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、10月末には前月末比187ポイント減の2625ポイントとなった。
(イ)為替レートは、10月末には前月末比6.5%ペソ安の1ドル=156.9ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、10月末には前月末比11億ドル増の386.8億ドルとなった。

 
(6)財政
(ア)財政収支
10月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比76.9%増、一次歳出が同56.4%増となった結果、基礎的財政収支は1,030億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,853億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
10月の税収(経済省発表)は、前年同月比92.8%増の1兆9,641億ペソとなった。
 
(7)貿易
10月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比15.4%増の7,901百万ドル、輸入が同15.8%増の6,074百万ドルとなった結果、貿易収支は1,827百万ドルの黒字となった。
 

 

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