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(Parque Nacional Perito Moreno)
 
 
 

2015年10月アルゼンチンの経済情勢

 

2015年11月作成
在アルゼンチン大使館

 概要

 

(1)IMF報告書(10月6日発表)によると、アルゼンチンの2015年の経済成長率は0.4%、2016年はマイナス0.7%の見通しであるとされた。

 

(2)10月の国家統計局(INDEC)発表のインフレ率は前月比1.1%であったのに対し、民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前月比1.52%の上昇となった。10月末の為替レートは、前年同月比12.28%ペソ安の1ドル=9.546ペソとなった。

 

 

 経済の主な動き

 

(1)5日、亜中銀は満期を迎えたBODEN2015債の59億ドル(元本57億ドル、利子2億ドル)の支払いを行ったため、外貨準備は大幅な減少となった。

 

(2)7日、キシロフ経済・財政大臣及びバノリ中銀総裁は、ペルーのリマで開催された世銀・IMF総会にアルゼンチン代表として出席した。その中で、IMF報告書(10月6日発表)によると、アルゼンチンの2015年の経済成長率は0.4%、2016年はマイナス0.7%の見通しであり、2015年のインフレ率は15%、2016年は25%の見通しとなった。また、IMFは、アルゼンチンの経済成長に向けて緊縮財政を勧めるとともに、補助金や外貨購入規制等の撤廃も進言したが、キシロフ経済・財政大臣はこれらIMFの提言や公表データを否定した。

 

(3)12日、ホールドアウト問題に関し、他の債権者同様に扱うことを前提に、NMLファンド等が分割支払いを容認するとの歩み寄りの姿勢を見せたと報じられた。

 

(4)27日、輸入決済のための外貨購入について、中銀の事前許可なしに購入可能な金額の上限が日額15万ドルから7万5千ドルに引き下げられた。同上限は2011年末には50万ドルであったが、漸次的に引き下げられている。

 

(5)28日、ホールドアウト問題に関し、グリエサ米判事が開催した聴聞会で、亜側弁護団に対し、短期間のうちにハゲタカファンド側との交渉を再開するよう命じた。

 

(6)30日、亜債券保有者の中で、「ハゲタカファンドによるパリパス裁判に当初は加わっていなかったが、パリパス裁判でファンド側が有利に立ったために、それに乗じて同パリパス裁判に加わろうとする者」について、グリエサ判事は、パリパス裁判の判決と同じ扱いを適用する判断を下した。これにより、パリパス裁判における亜政府の債務額は80億ドルに拡大したが、亜政府はこの決定を控訴するもの見られる。

 

 

 経済指標の動向


(1)経済活動全般

 

 8月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比2.6%増、前月比0.2%減となった。

 

(2)消費:自動車販売

 

 10月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比9.6%増、前月比15.1%減となった。

 

(3)工業生産・建設活動

 

(ア)工業生産

 9月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比0.7%増、前月比0.8%減となった。

 9月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比0.3%増、前月比2.4%増の73.6%となった。

 

(イ)建設活動

 9月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.7%増、前月比2.7%増となった。

 

(ウ)自動車生産

 10月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比25.6%減、前月比14.6%減となった。

 

(4)物価・雇用

 

(ア)物価

 INDEC発表の全国規模のCPI統計(IPCNu)では、10月のインフレ率は前年同月比14.3%、前月比1.1%の上昇であった。

 これに対し、10月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比25.01%、前月比1.52%の上昇と発表された。10月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比23.8%、前月比1.7%の上昇となった。

 10月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比12.7%の上昇となった

 

(イ)雇用・賃金等

 9月の給与指数(INDEC発表)は、前月比1.8%増となった。

 

(5)金融

 

(ア)Merval指数(株価指数)は、10月末には、前月末比2,998ポイント増の12,813ポイントとなった。

 また、EMBI+指数は、10月末には前月末比69ポイント減の520ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2002年以降国外でドル建て新規国債を発行していない(債権交換を除く)ことに留意する必要がある。)

 

(イ)為替レートは、ペソ安となり、10月末には前月末比1.35%ペソ安、前年同月比12.28%ペソ安の1ドル=9.546ペソとなった。

 コールレートは、10月末には23.5%となった。民間金融機関預金残高は10月末には11,854億ペソ、対民間貸出残高は10月末には7,545億ペソとなった。

 外貨準備高は、10月末には前月末比62.87億ドル減の269.70億ドルとなった。

 

(6)財政

 

(ア)財政収支

 9月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比24.1%増、一次歳出が同25.0%増となった結果、基礎的財政収支は65.00億ペソの赤字となった。また、総合収支は、200億ペソの赤字となった。

 

(イ)税収

 10月の税収(以下、経済省発表)は、前年同月比28.5%増の1344.17億ペソ、付加価値税収が同33.1%増の389.26億ペソ(うち、国内分については同38.4%増、税関分については15.7%増)、法人及び個人に係る所得税収が同36.1%増の330.33億ペソ、輸出税収が同25.2%減の55.22億ペソ、社会保障雇用主負担金が同32.0%増の197.53億ペソとなった。

 

(7)貿易

 9月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比7%減の5,611百万ドル、輸入が同1%減の5,546百万ドルとなった結果、貿易黒字は65百万ドルとなった。


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