アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和6年1月10日
2023年11月の経済情勢
<概要>
(1)23日、連邦歳入庁(AFIP)は、外貨購入や外貨建てでのカード払い等に課す税率を、これまでの100%から155%に引き上げる決議を公布した。
(2)24日、ミレイ次期大統領は、IMFのゲオルギエバ専務理事とオンラインで会談した。 (3)28日、ミレイ次期大統領とともに訪米したカプート次期経済大臣は、IMF及び米国財務省を訪れ、新政権の経済政策を説明した。 |
1 経済の主な動き(報道ぶり等)※肩書きは当時
(1)1日、政府は、ガソリン税の増税措置を2024年2月まで延期する政令を公布した。また、マサ経済大臣は、正規労働者及び年金受給者を対象とする融資制度の拡充を発表した(6日から施行)。
(2)2日、経済省は、発電コスト低下を理由として、補助金を受け取っていない利用者の電気料金を9%引き下げる決議を公布した。
(3)9日、マサ経済大臣とラメンス観光大臣らは、2027年までに観光客を1000万人誘致し、280億ドルの外貨獲得を目指す計画を発表した。
(4)14日、国家社会保障機構(ANSES)は、日用品の購入で付加価値税の還付が受けられる対象を、非正規労働者にも拡大した。新たに250万人が対象となる見込み。
(5)15日、中央銀行は、公定レートのクローリング(緩やかな切り下げ)を再開した。
(6)17日、IDBは、サルタ州の持続的生産開発及び輸出促進を目的とする5000万ドルのアルゼンチン向け融資を承認した。
(7)22日、政府は、輸出促進プログラムの期限を12月10日まで延長することを決定した。加えて、輸出で得た外貨を有利な並行レート(CCLレート)でペソに両替できる範囲を30%から50%に拡大した。
(8)23日、連邦歳入庁(AFIP)は、外貨購入や外貨建てでのカード払い等に課す税率を、これまでの100%から155%に引き上げる決議を公布した。
(9)24日、ミレイ次期大統領は、IMFのゲオルギエバ専務理事とオンラインで会談した。
(10)28日、ミレイ次期大統領とともに訪米したカプート次期経済大臣は、IMF及び米国財務省を訪れ、新政権の経済政策を説明した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
10月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.1%減、前年同月比0.6%増となった。
(2)消費:自動車販売 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 2023年計 | |
台数 | 33,795 | 38,604 | 44,138 | 30,928 | 30,294 | 43,282 | 40,788 | 29,715 | 381,868 |
前年比 | 9.5% | 14.5% | 18.5% | 5.1% | 3.8% | 25.1% | 23.3% | -27.1% | 11.4% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 2023年計 | |
台数 | 30,736 | 30,279 | 23,291 | 28,663 | 28,862 | 35,555 | 28,563 | 30,397 | 304,084 |
前年比 | 12.0% | 13.1% | ▲27.0% | 25.0% | ▲11.1% | 0.5% | ▲23.8% | 6.4% | 1.5% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 2023年計 | |
台数 | 54,399 | 53,282 | 53,522 | 49,254 | 63,455 | 56,750 | 51,937 | 56,569 | 573,742 |
前年比 | 24.1% | 14.8% | 10.6% | 11.9% | 17.4% | 8.7% | ▲0.9% | 8.9% | 14.8% |
(イ)工業生産
10月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比0.8%減となった。
(ウ)建設活動
10月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.0%増となった。
(4)物価
11月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比12.8%、前年同月比160.9%の上昇となった。
11月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比11.1%、前年同月比159.3%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、11月末には前月末比595ポイント減の1,982ポイントとなった。
(イ)為替レートは、11月末には前月末2.9%ペソ安の1ドル=360.53ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、11月末には前月末比10.5億ドル減の215.1億ドルとなった。
(6)財政
11月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比159.4%増、一次歳出が同141.6%増となった結果、基礎的財政収支は2,105億ペソの赤字となった。また、総合収支は、7,550億ペソの赤字となった。
(7)貿易
11月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比31.6%減の4,872百万ドル、輸入が同4.8%減の5,487百万ドルとなった結果、貿易収支は615百万ドルの赤字となった。
(了)