2016年1月アルゼンチンの経済情勢
2016年2月作成
在アルゼンチン大使館
概要
(1)亜中銀は50億ドルのリバースレポ取引(借手側が債券を担保として差し出し、貸手側より資金を借り入れる貸借取引)を行った。その結果、外貨準備高は約300億ドル程度まで回復した。
(2)1月末の為替レートは、前年同月比60.94%ペソ安の1ドル=13.904ペソとなった。
経済の主な動き
(1)8日、INDEC「統計緊急事態宣言」の政令が公布され、貿易、給与、経済活動、消費者物価、労働市場等に関する統計発表が一時停止されることとなった。
(2)13日、プラット・ガイ財務・金融大臣は2016年~2019年のインフレダーゲット、及び、財政目標を発表した。インフレターゲットは、2016年20~25%、2017年12~17%、2018年8~12%、2019年3.5%~6.5%とし、財政目標(基礎的財政赤字の対GDP比目標)については、2016年4.8%、2017年3.3%、2018年1.8%、2019年0.3%とした。
(3)15日、プラット・ガイ財務・金融大臣は、亜経済成長見通しについて、2016年に0.5%~1%、2017年以降は年間平均4.5%になると発表した。
(4)20日から22日にかけて、マクリ大統領、プラット・ガイ財務・金融大臣、マルコーラ外務大臣等は、スイスのダボスで開催された第46回世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加した。21日には、マクリ大統領は小島三菱商事会長と会談した。
(5)21日、IMFは2016年亜経済成長見通しについて、0.3ポイント下方修正し、マイナス1%とした。これは15日にプラット・ガイ財務・金融大臣が示した見通しとは異なる。
(6)29日、亜中銀は50億ドルのリバースレポ取引(借手側が債券を担保として差し出し、貸手側より資金を借り入れる貸借取引)を行った旨発表した。その結果、外貨準備高は約300億ドル程度まで回復した。なお、50億ドルの内訳について一部報道では、HSBC・JPモルガン・サンタンデール銀行が各10億ドルの融資、ドイツ銀行・BBVA・シティバンク・UBSが各5億ドルの融資であるとしている。
経済指標の動向
(1)経済活動全般
1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、経済活動指数(INDEC発表)の発表は、10月分以降、一時停止されている。
(2)消費:自動車販売
1月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比46.3%増、前月比26.7%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産 (イ)建設活動
1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、工業生産指数、稼働率、及び、建設活動指数(INDEC発表)の発表は、11月分以降、一時停止されている。
(ウ)自動車生産
1月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比30.6%減、前月比49.5%減となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価 (イ)雇用・賃金等
1月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比29.6%、前月比4.1%の上昇となった。また、1月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比29.9%、前月比3.6%の上昇となった。
なお、1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、全国規模のCPI統計(IPCNu)、卸売物価指数、及び、給与指数の発表は、11月分以降、一時停止されている。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、1月末には、前月末比369ポイント減の11,306ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、1月末には前月末比61ポイント増の500ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2002年以降国外でドル建て新規国債を発行していない(債権交換を除く)ことに留意する必要がある。)
(イ)為替レートは、ペソ安となり、1月末には前月末比6.91%ペソ安、前年同月比60.94%ペソ安の1ドル=13.904ペソとなった。
コールレートは、1月末には21.5%となった。民間金融機関預金残高は1月末には13,729億ペソ、対民間貸出残高は1月末には8,250億ペソとなった。
外貨準備高は、1月末には前月末比45.11億ドル減の300.74億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
11月の財政収支(財務・金融省発表)は、歳入が前年同月比25.7%増、一次歳出が同26.2%増となった結果、基礎的財政収支は1.72億ペソの赤字となった。また、総合収支は、92億ペソの赤字となった。
(イ)税収
1月の税収(以下、財務・金融省発表)は、前年同月比38.5%増の1626.54億ペソ、付加価値税収が同36.1%増の456.62億ペソ(うち、国内分については同24.5%増、税関分については48.9%増)、法人及び個人に係る所得税収が同57.0%増の406.25億ペソ、輸出税収が同11.9%増の48.58億ペソ、社会保障雇用主負担金が同30.8%増の286.38億ペソとなった。
(7)貿易
12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比14%減の3,411百万ドル、輸入が同1%増の4,521百万ドルとなった結果、貿易赤字は1,110百万ドルとなった。
|