1 概要
(1)亜政府はパリクラブとの間で延滞債務解消についての合意に達した。
(2)5月の政府発表のインフレ率は前月比1.4%増であった。他方、民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前月比2.28%増、前年同月比39.9%増となった。5月末の為替レートは、前年同月比52.88%ペソ安の1ドル=8.0777ペソとなった。
2 経済の主な動き
(1)経済全般
28日、亜政府はパリクラブとの間で延滞債務解消についての合意に達した。全延滞債務は97億ドル(2014年4月30日時点)であり、初回支払い11.5億ドルのうち、6.5億ドルを2014年7月に支払うことになっている。2015年5月までの年間支払最低額は11.5億ドルであり、その次の支払いは2016年5月となっている。また、5年以内に延滞債務を解消することを目指すこととされている。亜の最初の返済後、パリクラブメンバー国の輸出信用機関(ECA)の各自の判断で輸出信用にかかる活動を再開することができる。
(2)貿易・通商
21日、GM社は、自動車の売り上げが暴落したため、7月以降、従業員の給与を35%引き下げる旨SMATA(自動車製造労組)に伝えた。
21日、キシロフ経済相とジョルジ産業相は、二輪車製造セクターと39車種について価格を切り下げて販売するための協定に署名した。
28日、2015年12月までバイオディーゼルに関する軽油追加税(22%)及び液体燃料税(19%)を免税とする法案が成立した。
(3)金融・財政
6日、レプソル社は、保有していたYPF株すべて(12.4%)を投資ファンド等に売却した。
8日、レプソル社は、亜政府からYPF接収の賠償として亜国債58億ドルを受け取った。
9日、レプソル社は、YPF接収の賠償として受け取った亜国債をJPモルガン社に売却した。
(4)物価・賃金
6日、公務員労組連合(UPCN等)は28.15%の賃上げで政府と合意した。
22日、エネルギー庁令第529号により、エネルギー発電セクターについて、約40%の値上げを措置した。
3 経済指標の動向
(1)経済活動全般
9日、INDECは、国民経済計算の基準年を1993年から2004年に改定した。それに伴い、2014年第一四半期の実質GDP成長率は、前年比▲0.2%、前期比▲9.3%となった。
3月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比0.9%減、前月比0.9%減となった。
(2)消費
(ア)自動車販売
5月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比40.9%減、前月比1.4%減となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
4月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比4.2%減、前月比0.9%増となった。分野別では、基礎金属等において増加が見られた一方で、化学や紙・プラスティック等において減少が見られた。
4月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比2.9%減、前月比5.1%増の73.0%となった。分野別では、石油化学や化学等において上昇が見られた一方で、金属や自動車等において下落が見られた。
(イ)建設活動
4月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比0.1%減、前月比2.2%減となり、前年同月比が3ヶ月連続の減少となった。
(ウ)自動車生産
5月の自動車生産台数(自動車協会発表)は、前年同月比36.0%減、前月比13.9%減となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
全国規模の新しいCPI統計(IPCNu)では、5月のインフレ率は前月比1.4%の上昇とされた(前年同月比の指数は発表されていない)。娯楽費において、前月比2.7%増と、高い伸びが見られた。
5月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比39.9%、前月比2.28%の上昇と発表された。4月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比38.18%、前月比3.12%となった(3月分は未発表)。
5月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比27.4%、前月比1.8%の上昇となった。
(イ)雇用・賃金等
3月の給与指数(INDEC発表)は、前年同月比33.03%増、前月比4.95%増となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、5月末には、前月末比930ポイント増の7,712ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、5月末には前月末比50ポイント増の828ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2002年以降ドル建て新規国債を発行していないことに留意する必要がある。)
(イ)為替レートは、ペソ高となり、5月末には前月末比0.95%ペソ安、前年同月比52.88%ペソ安の1ドル=8.0777ペソとなった。
コールレートは、5月末には前月末比5.50%減の10.50%となった。民間金融機関預金残高は、5月末において、前年同月末比32.4%増の6,052億ペソとなった。対民間貸出残高は、5月末には前年同月末比25.6%増となった。
外貨準備高は、5月末には前月末比3.22億ドル増の285.42億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
3月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比37.5%増、一次歳出が同33.6%増となった結果、基礎的財政収支は35.70億ペソの黒字となった。また、総合収支は、43.60億ペソの赤字となった。
(イ)税収
4月の税収(経済省発表)は、前年同月比37.1%増の927.37億ペソとなった。付加価値税収が同47.5%増の27,294百万ペソ(うち、国内分については同51.9%増、税関分については35.4%増)、法人及び個人に係る所得税収が同43.0%増の15,793百万ペソ、輸出税収が同64.8%増の14,514百万ペソ、社会保障雇用主負担金が同20.9%増の13,193百万ペソとなった。
(7)貿易
4月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比15.4%減の6,398百万ドル、輸入が同14.7%減の5,472百万ドルとなった結果、貿易黒字は同19.5%減の926百万ドルとなった。輸出では、主に乳製品等が増加した一方、穀物や鉱石等が減少した。輸入では、主に燃料等が減少した一方、主に輸送機器等が増加した。
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