アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成30年3月7日

2018年1月の経済情勢

概要
(1)17日、ドゥホブネ財務大臣は、2017年の基礎的財政赤字のGDP比を3.9%と発表した。目標の4.2%を0.3ポイント下回った。
(2)22日、ストゥルセネヘル中銀総裁が、9日に行った政策金利引き下げについて、今後も政策金利を下げていく旨の発言をしたことを受け、為替レートはペソ安に動いた。また、23日に1月2度目の政策金利引き下げを行った。

1 経済の主な動き等

(1)3日、ディエトリッチ運輸大臣は、公共交通機関の運賃値上げを発表した。値上げは、2月、4月及び6月の3回に分けて実施。バスの最低運賃(現在6ペソ)の場合、2月1日以降8ペソ、4月1日以降9ペソ、6月1日以降10ペソ。
(2)2017年(1年間)の新車販売台数(ACARA)は前年比26.9%の900,942台。過去2番目の記録となった。新車販売台数のうち、7割は輸入車。亜国内の自動車生産台数は前年比0.1%減の472,158台。
(3)4日、亜政府は海外で90億ドルを起債した。今年の借入必要額(301億ドル)の約3分の1に相当。
(4)7日、米国は亜産バイオディーゼルに対するアンチダンピング関税(72%)の適用に関する措置を官報に掲載した。昨年8月28日からの遡及適用される。
(5)IMFは、亜の経常収支の改善のためには、ペソを25%減価する必要があると見ている。また、実質ペソ高(為替調整の遅れ)は2021年まで続くだろうと見ている。
(6)17日、ドゥホブネ財務大臣は、2017年の基礎的財政赤字のGDP比を3.9%と発表した。目標の4.2%を0.3ポイント下回った。
(7)19日の報道によると、中国は亜産牛肉の輸入を全面解禁した。これまでは冷蔵及び骨付き牛肉は輸入対象に含まれていなかった。また、パタゴニア産の羊肉の輸入も解禁された。
(8)22日、ストゥルセネヘル中銀総裁が、9日に行った政策金利引き下げについて、今後も政策金利を下げていく旨の発言をしたことを受け、為替レートはペソ安に動いた。また、23日に1月2度目の政策金利引き下げを行った。
(9)29日、PPP入札の第一弾(道路事業)が官報に公示された。


2 経済指標の動向

(1)経済活動全般
  昨年11月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.9%増、前月比0.4%増となった。

(2)消費:自動車販売
 1月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月22.%増、前月比28.6%減となった。

(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
 昨年12月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月0.3%増となった。
 昨年12月の稼働率(INDEC発表)は、前月比5.2ポイント減の64.0%となった。
(イ)建設活動
 昨年12月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比14.5%増となった。
(ウ)自動車生産
 1月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比18.3%減、前月比34.3%減となった。


(4)物価
 1月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比1.8%の上昇となった。
 1月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比4.6%の上昇となった。

(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、1月末には、前月末4873.03ポイント増の34938.64ポイントとなった。
 また、EMBI+指数は、1月末には前月末比24ポイント増の374ポイントとなった。
(イ)1月末の為替レートは、前月末比4.68%ペソ安、前年同月比23.51%ペソ安の1ドル=19.65ペソであった
 コールレートは、1月末には26.50%となった。対民間貸出残高は1月末には16,832億ペソとなった。
 外貨準備高は、1月末には前月末比72.58億ドル増の620.24億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
 昨年12月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比8.4%減、一次歳出が同8.5%増となった結果、基礎的財政収支は1,196.1億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,501.1億ペソの赤字となった。 
(イ)税収
 1月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比23.%増の2619.6億ペソ、付加価値税収が同45.1%増の849.72億ペソ(うち、国内分については同36.8%増、税関分については63.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同12.5%増の489.2億ペソ、輸出税収が同40.3%減の36.4億ペソ、社会保障雇用主負担金が同28.9%増の486.4億ペソとなった。

(7)貿易
 昨年12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比1.7%減の4,515百万ドル、輸入が同18.5%増の5,362百万ドルとなった結果、貿易赤字は847百万ドルとなった。
(了)

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