アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和3年8月30日

2021年3月の経済情勢

 

概要
(1) 19日~23日、グスマン経済大臣は訪米し、ゲオルギエバIMF専務理事及びトロッツェンバーグ世界銀行専務理事(業務統括)等とそれぞれ会談を行った。
(2) 26日、亜は、議長国としてオンライン開催したメルコスール創設30周年記念首脳会議において、対外共通関税の引下げ及び対外交渉の「柔軟化」の方針において伯及びウルグアイとの対立を深めた。


 


1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 1日、フェルナンデス大統領は、通常国会の開会に当たり施政方針演説を行い、持続可能なモビリティ法案等を国会に提出することに加え、IMFとのSBAプログラムを結んだマクリ前政権の関係者を資金流出の疑いで刑事訴追することを発表した。
(2) 2日、シオリ駐伯大使は、伯が8年ぶりに亜産エビの輸入を再開したことを発表した。
(3) 9日、フェルナンデス大統領は、自動車の輸出拡大に向け、輸出を前年比で増加させた自動車メーカーに対し輸出税を免除することを発表した。
(4) 12日、国営石油会社YPFは、燃料税の引上げ等を受け、ガソリン価格を今後3か月間で計18%引き上げることを発表した。
(5) 13日、政府は、26日に予定されているメルコスール創設30周年記念首脳会議を、ブエノスアイレスでの対面形式からオンライン形式での開催に変更することを決定した。
(6) 15日、フェルナンデス大統領は、延べ11州30事業にわたる計98億ペソ規模の公共事業計画を発表した。
(7) 16日、フェルナンデス大統領及びグスマン経済大臣は、海外投資ファンドとのオンライン会合を開催し、亜への投資を呼びかけた。
(8) 16日、ソラー外務大臣は、26日のメルコスール創設30周年記念首脳会議に先立ち、アラウージョ伯外務大臣とオンライン会談を行った。
(9) 17日、フェルナンデス大統領は、労働総同盟(CGT)及び亜労働者連盟(CTA)とともに、困窮世帯に住宅1200戸を割り当てる計画「Procrear」第2弾への署名を行った。
(10) 17日、生産開発省は、大企業約1000社に対して販売・価格・在庫データの提出を義務付ける「経済復興政策実施のための情報システム」(Sipre)を新設することを発表した。
(11) 19日、グスマン経済大臣は、ニューヨークにおいて、2020年の債務再編に参加した投資ファンドと会合を行い、亜のマクロ経済政策や経済見通しについて説明した。
(12) 22日、グスマン経済大臣は、ワシントンにおいて、トロッツェンバーグ世界銀行専務理事(業務統括)と会談を行い、2021年中に世界銀行が亜に対しインフラや医療等の分野に約20億ドルの融資を承認することを確認した。また、24日、フェルナンデス大統領は、マルパス世界銀行総裁とオンライン会談を行った。
(13) 23日、グスマン経済大臣は、ワシントンにおいて、ゲオルギエバIMF専務理事と会談を行い、SBAプログラムの債務再編に向けた協議を行った。
(14) 26日、フェルナンデス大統領は、メルコスール創設30周年記念首脳会議を議長国としてオンライン形式で開催した。亜は、対外共通関税の引下げ及び対外交渉の「柔軟化」の方針において伯及びウルグアイとの対立を深めた。
(15) 28日、下院は、額面15万ペソ以下の給与所得者等を課税対象から除外する所得税改正法案を可決した。

2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
2月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.9%減、前年同月比2.1%減となった。

(2)消費:自動車販売  
  8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2021年計
台数 28,346 35,065 33,320 31,431 38,994 27,303 26,676 32,359 86,338
前年比 ▲25.4% 30.5% 22.5% 37.3% 25.2% 6.1% ▲1.9% 71.0% 20.2%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2021年計
台数 13,606 17,903 14,845 11,503 17,200 11,924 15,055 22,394 49,373
前年比 ▲27.8% ▲17.0% ▲23.2% ▲35.8% ▲9.3% 37.2% ▲16.9% 60.8% 21.2%
 
(3)工業生産・建設活動
)自動車生産
  8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2021年計
台数 25,835 32,149 28,706 32,570 30,172 24,308 21,809 43,160 89,277
前年比 ▲16.2% 16.1% ▲9.8% 20.2% 107.7% 17.5% ▲16.5% 125.2% 35.3%

(イ)工業生産
2月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比1.6%増となった。

(ウ)建設活動
2月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比22.7%増となった。

(4)物価
3月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比4.8%、前年同月比42.6%の上昇となった。
3月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比3.9%、前年同月比52.0%の上昇となった。

(5)金融
(ア)EMBI+指数は、3月末には前月末比78ポイント増の1589ポイントとなった。
(イ)為替レートは、3月末には前月末比2.4%ペソ安の1ドル=91.99ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、3月末には前月末比1億ドル増の395.9億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
3月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比54.9%増、一次歳出が同35.6%増となった結果、基礎的財政収支は744.7億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,170.6億ペソの赤字となった。

(イ)税収
3月の税収(経済省発表)は、前年同月比72.2%増の7,638.6億ペソとなった。

(7)貿易
3月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比32.0%増の5,720百万ドル、輸入が同67.6%増の5,320百万ドルとなった結果、貿易収支は400百万ドルの黒字となった。

 

(了)

 

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