アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和3年1月15日

2020年9月の経済情勢

 

概要

(1)  15日、政府は議会下院に2021年予算法案を提出した。

(2)  15日、ペッセ中銀総裁は、外貨準備高の減少を防止するため、外貨規制(CEPO)の更なる強化を発表した。

(3)  18日、経済省は、国内法準拠債の債務再編提案について、全応募期間を終了し、債権者の99.41%から承認を得たことを発表した。

 

1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1)2日、クルファス生産開発相は、亜産業連盟(UIA)主催の産業デー式典において、国内産業開発計画を発表した。中小企業支援、民間投資促進、インダストリー4.0推進など一連の融資プログラムに4550億ペソを投じる。

(2)3日、ソラー外相は、ビデオ会議形式で実施されたG20外相会合に参加し、民間債権者との債務再編交渉の際にG20各国から受けた支援について感謝の意を表した上で、IMFとの交渉を念頭に、今後もG20からの支援に期待する旨述べた。

(3)4日、経済省は、総額417億ドルの国内法準拠債の債務再編提案について、優先応募期間中に債権者から98.8%の承認を得たことを発表した。一部の外貨建て債務(約7億ドル)についてはペソ建て債券と交換することにも成功した。グスマン経済相は、「外貨建て公的債務の持続可能性は回復した。中銀による財政ファイナンスへの依存が軽減され、為替レートとマクロ経済の安定や、開発と雇用創出の進展に資する。」と述べた。

(4)7日、債務再編後の新債券の市場取引が開始された。新債券の利回りは約11%を記録した。

(5)7日、大手信用格付会社のS&Pは、亜の国債格付けを、5月に引き下げていた「選択的デフォルト」から「CCC+」に引き上げ、亜はデフォルト状態から正式に脱却した。

(6)10日、フェルナンデス大統領は、ブ州警察の給与の引上げ資金に充てるため、連邦交付金(Coparticipación:国家の歳入から州へ交付金を配分する制度)のブ市配分を1%カットすることを定めた大統領令を発令した。これに対し、ラレタ・ブ市長は、フェルナンデス大統領の決定は違憲であり、ブ市と連邦政府との関係の破綻を意味するとし、「相談を行わずに行った付け焼刃の先走った決定。パンデミック渦中にブ市から資金を取り上げた。」と非難した。

(7)10日、政府は、12日に実施される米州開発銀行(IDB)総裁選の投票を棄権する決定を下し、周辺諸国にもこれに同調するよう要請した。

(8)中銀は、外貨需要を抑制するため、通達A7101号を発表し、金融機関がドル公式レートに連動したペソ建ての定期預金を提供することを可能にした。

(9)12日、IDB総会がビデオ会議形式にて開催され、唯一の候補者となった米国のクレバー・キャローン氏が賛成66.8%、棄権31.32%により新総裁に選出された。ラテンアメリカ地域の23か国を含む30か国の首脳がキャローン氏を支持、亜を含む16か国が棄権した。

(10)15日、政府は議会下院に2021年予算法案を提出した。対GDP+5.5%の経済成長、投資の+18.1%、輸出の+10.2%、輸入の+16.3%拡大の予測のもと、基礎的財政収支は対GDP比で4.5%の赤字、利払いを含む財政収支は1.5%の赤字を見込む。22日にグスマン経済相が下院予算委員会で説明を行う。

(11)15日、ペッセ中銀総裁は、外貨準備高の減少を防止するため、外貨規制(CEPO)の更なる強化を発表した。個人による貯蓄目的のドル購入(Dolar Ahorro)の際、新たに所得税の源泉徴収として35%の課税を定め、現行のPAIS30%に更に加算するほか、海外におけるクレジット・デビットカード支払い分も月200ドル枠に計上することを決めた。加えて、緊急家族手当(IFE)等の社会扶助の受給者はドル購入を行うことができないこととした。また、外貨建て債務を抱える民間企業に対し、債務額のうち60%以上の返済を最低2年以降先送りにする債務再編計画の提出を義務付けた。さらに、海外投資家など非居住者による債券取引を通じた外貨取得を禁止した。

(12)フェルナンデス大統領は、クレバー・キャローンIDB次期総裁と10分間の電話会議を行い、亜政府がIDBに期待する計画について話し合った。キャローン次期総裁は、「亜のIMFへの債務440億ドルに関する交渉に向けてIDBとして支援することを提案した。」と述べた。

(13)18日、経済省は、国内法準拠債の債務再編提案について、全応募期間を終了し、債権者の99.41%から承認を得たことを発表した。債券交換の決済日は28日を予定する。これにより、一連の債務再編交渉により国内法・外国法準拠債合わせ計1072億ドルを再編することになる。

(14)19日、国営石油会社YPFは、ガソリン価格をブ市で+5%、他地域で+3.5%引き上げた。シェール社とプーマ社もこれに準じ、ガソリン料金を全体で+4.8%引き上げた。

(15)20日、政府は、公共サービス(水道、電気、ガス、電話、携帯電話、ケーブルテレビ、インターネット)の料金支払い滞納を理由とする供給停止を禁止する大統領令を1231日まで延長した。

(16)21日、政府は、国内観光における財務上の支援及び融資に関する国内観光再活性化法を施行した。10月より国内観光サービスの先行販売促進計画を始動する。

(17)22日、フェルナンデス大統領は、第75回国連総会において録画演説を行い、「海外債権者を相手に交渉した国家債務のほぼ完全な再編の成功においては、国際社会、民間企業、市民社会、学界の支援が重要な役割を果たした。IMFとの交渉においても、責任を持ち契約を尊重するが、経済回復を妨げない範囲で包摂的かつ持続的な開発の道を構築する。」と述べた。

(18)INDEC2020年第2四半期のGDP成長率を公表し、2001年の経済危機後を上回る過去最大の▲19.1%の落ち込みを記録した。

(19)24日、政府は、労働者の不当な解雇・一時解雇を禁止する緊急大統領令を11月末まで延長した。政府は既に強制解雇に対する二重賠償制度も年末まで延長している。

(20)INDEC2020年第2四半期の失業率を公表し、2005年以来で最高となる13.1%を記録した。

(21)29日、フェルナンデス大統領は、中国の習近平国家主席と40分間の電話会議を行い、近く北京を訪問する意向と、「一帯一路」構想への参加に向けた交渉に臨む意志を伝えた。

(22)29日、中銀は、緊急労働生産支援(ATP)を受給する企業の従業員に対し、貯蓄目的のドル購入(Dolar Ahorro)を認めないことを発表した。

(23)INDEC2020年前半期の貧困率を公表し、前年同時期比+5.5%40.9%1850万人)を記録した。また、極貧率は前年同時期比+7.7%10.5%(480万人)に達した。

 

 

 

2 経済指標の動向

 

(1)経済活動全般

 

 8月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比11.6、前月比1.1%増となった。

 

 

 

(2)消費自動車販売

 

 

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

2020年計

台数

27,191

18,922

7,512

20,033

23,773

22,475

28,346

35,065

209,044

前年比

▲10.6%

▲43.9%

▲73,6%

▲28.3%

▲34.9%

▲42.7%

▲25.4%

30.5%

▲28.2%

 

 

 

参考自動車輸出台数自動車生産者協会(ADEFA)発表

 

 

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

2020年計

台数

18,115

13,928

2,386

3,227

6,875

9,612

13,606

17,903

94,343

前年比

6.8%

33.9%

88.4%

85.2%

60.5%

51.7%

27.8%

17.0%

43.9%

 

 

 

(3)工業生産・建設活動

 

)自動車生産

 

 

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

2020年計

台数

26,133

19,164

0

4,802

15,657

21,316

25,835

32,149

165,739

前年比

▲20.0%

▲34.4%

▲100%

▲84.1%

▲34.5%

▲1.5%

▲16.2%

16.1%

▲31.3%

 

 

 

)工業生産

 

8月の工業生産指数(INDEC発表)は前年同月7.0%減となった。

 

 

 

(ウ)建設活動

 

8月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比17.7%減となった。

 

 

 

(4)物価

 

 9月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比2.8%、前年同月比36.6%の上昇となった。

 

9月の卸売物価指数(INDEC発表)は前月比3.7%、前年同月比34.6の上昇となった。

 

 

 

(5)金融

 

(アEMBI+指数は、9月末には前月末比847ポイント1300ポイントとなった。

 

(イ)9月末の為替レートは、前月末比2.7%ペソ安の1ドル=76.18ペソであった。

 

(ウ)外貨準備高は、9月末には前月末比15億ドル減413.8億ドルとなった。

 

 

 

(6)財政

 

(ア)財政収支

 

9月の財政収支(財務省発表)は歳入が前年同月比49.7増、一次歳出が同76.9%増となった結果基礎的財政収支は1,671.8億ペソの赤字となった。また総合収支は2,120.2億ペソの赤字となった。

 

 

 

(イ)税収

 

9月の税収(財務省発表)は、前年同月比43.7%増の6,065.1億ペソとなった。

 

 

 

(7)貿易

 

 

 

 

(了)

 

9の貿易(INDEC発表)は輸出が前年同月比18.0減の4,711 万ドル輸入が同3.1%増4,127百万ドルとなった結果貿易黒字584百万ドルとなった。

 

 

 

 

 

 

click