アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和4年5月16日
2022年1月の経済情勢
<概要>
(1) 6日、中央銀行は、政策金利について、38%から40%へと13か月ぶりの引上げを行うことを決定した。
(2) 28日、政府及びIMFは、新プログラムの交渉上の主要論点について両者間に共通理解(大筋合意)が得られたことを発表した。
(1) 6日、中央銀行は、政策金利について、38%から40%へと13か月ぶりの引上げを行うことを決定した。
(2) 28日、政府及びIMFは、新プログラムの交渉上の主要論点について両者間に共通理解(大筋合意)が得られたことを発表した。
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 5日、グスマン経済大臣は各州知事との会合において、IMFとの新プログラム交渉が財政再建に向けた見解の相違により停滞していることを認めた。
(2) 6日、中央銀行は、政策金利(LELIQ金利)について、38%から40%へと13か月ぶりの引上げを行うことを決定した。
(3) 10日、フェルナンデス大統領はIMFとの新プログラム交渉について、IMFが亜に実行不可能な要求を行っているとして非難する一方、デフォルトに陥る可能性を否定した。
(4) 11日、ケルマンソンIMF亜事務所長が、アレイネ前所長の後任として着任した。
(5) 11日、政府は、約1300品目を対象として価格統制プログラム(Precios Cuidados)を4月7日まで延長することを発表した。
(6) 13日、政府は、記録的猛暑により首都ブエノスアイレスを中心に停電が多発していることを受け、企業に対し工場の操業停止とテレワークの推進を要請した。
(7) 18日、カフィエロ外務大臣は、米ワシントンにおいてブリンケン米国務長官と会談を行い、亜のIMFとの新プログラム交渉に対する支援を要請した。
(8) 25日、OECDは、南米地域において亜、伯及びペルーの加盟プロセスを開始することを発表した。
(9) 27日、非正規為替レート(ブルーレート)が1ドル=223ペソに達した。
(10) 28日、政府及びIMFは、新プログラムの交渉上の主要論点について両者間に共通理解(大筋合意)が得られたことを踏まえ、今後数週間でスタッフレベル合意に向けて更に交渉を加速していくことを発表した。新プログラムでは、2025年までに基礎的財政収支を均衡させること等を目標とする。
(11) 28日、政府はIMFに対し、現行プログラムに基づく約7億ドルの返済を実施した。
(12) 31日、キルチネル下院議員は、政府のIMFとの大筋合意の内容について批判し、下院与党会派会長を辞任した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
12月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.9%増、前年同月比9.8%増となった。
(2)消費:自動車販売
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2022年計 | |
台数 | 28,187 | 24,369 | 26,069 | 25,700 | 25,291 | 27,811 | 32,723 | 20,147 | 20,147 |
前年比 | 18.6% | 8.4% | ▲8.0% | ▲26.7% | ▲24.1% | ▲11.5% | ▲16.1% | ▲26.2% | ▲26.2% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2022年計 | |
台数 | 22,737 | 23,177 | 24,937 | 25,230 | 25,938 | 32,513 | 19,615 | 9,298 | 9,298 |
前年比 | 230.7% | 141.1% | 83.3% | 40.9% | 74.7% | 182.6% | 14.0% | ▲22.0% | ▲22.0% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2022年計 | |
台数 | 40,035 | 31,935 | 38,362 | 43,535 | 41,002 | 46,490 | 39,849 | 18,651 | 18,651 |
前年比 | 155.7% | 49.8% | 48.5% | 35.4% | 42.8% | 42.7% | 32.1% | ▲23.3% | ▲23.3% |
(イ)工業生産
12月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比10.1%増となった。
(ウ)建設活動
12月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.6%増となった。
(4)物価
1月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.9%、前年同月比50.7%の上昇となった。
1月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比3.7%、前年同月比48.7%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、1月末には前月末比35ポイント増の1723ポイントとなった。
(イ)為替レートは、1月末には前月末比2.2%ペソ安の1ドル=105.02ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、1月末には前月末比21億ドル減の375.9億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
1月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比44.2%増、一次歳出が同51.4%増となった結果、基礎的財政収支は167.0億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,506.6億ペソの赤字となった。
(イ)税収
1月の税収(経済省発表)は、前年同月比51.6%増の1兆1,719億ペソとなった。
(7)貿易
1月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比12.9%増の5,547百万ドル、輸入が同36.6%増の5,251百万ドルとなった結果、貿易収支は296百万ドルの黒字となった。
(了)