2015年5月アルゼンチンの経済情勢
2015年6月作成
在アルゼンチン大使館
概要
(1)亜政府はパリクラブ債権国に対する第二回目の債務返済分として、6億8,300万ドルを支払った。
(2)5月の国家統計局(INDEC)発表のインフレ率は前月比1%であったのに対し、民間コンサルタント会社8社推計のインフレ率は、前月比2.02%の上昇となった。5月末の為替レートは、前年同月比11.29%ペソ安の1ドル=8.9893ペソとなった。
経済の主な動き
(1)5日、アルゼンチンを訪問した西村国土交通副大臣は、ゴンサレス経済・財政副大臣(経済調整・競争力向上担当)との間で、港湾開発に関する協力関係構築に関する覚書への署名を行った。
(2)8日、IMFは同理事会がインフォーマルに亜経済について協議したと発表し、亜では90ヶ月間にわたり、四条協議が実施されていないと指摘した。
(3)14日、ランダッソ内務・運輸大臣は、ネウケン州バカ・ムエルタ地区(シェール等ガス・油田地域)とブエノスアイレス州アベジャネダ市を結ぶ鉄道の新路線の建設を発表した。
(4)14日、米州開発銀行は、年間予算約2億ドルの貧困地区開発の対亜予算の枠組み内で、第3回目となる5,000万ドルを亜政府に融資することを承認した。今次融資は、ブエノスアイレス州において、ブエノスアイレス市に隣接する地区に住む貧困層の住居インフラと衛生設備の整備を目的とするものである。
(5)15日、チリにて第7回アルゼンチン・チリ二国間大臣会合が開催され、アニバル・フェルナンデス官房長官やティメルマン外務大臣等の主要閣僚が出席した。会合後には、今後30年の二国間関係に関し議論する二国間戦略委員会の設立等様々な分野に関する二国間合意文書が署名された。
(6)28日、亜政府はパリクラブ債権国に対する第二回目の債務返済分として、6億8,300万ドルを支払った。
経済指標の動向
(1)経済活動全般
3月の経済活動指数(INDEC発表)は前年同月比2.0%増、前月比1.0%減となった。
(2)消費:自動車販売
5月の自動車販売台数(自動車協会(ADEFA)発表)は、前年同月比5.2%増、前月比14.9%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
4月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比1.6%減、前月比0.4%増となった。
4月の稼働率(INDEC発表)は、前年同月比1.2%減、前月比4.7%増の71.8%となった。
(イ)建設活動
4月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比10.4%増、前月比4.2%増となった。
(ウ)自動車生産
5月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比9.7%減、前月比1.3%減となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
INDEC発表の全国規模のCPI統計(IPCNu)では、5月のインフレ率は前年同月比15.3%、前月比1%の上昇であった。
これに対し、5月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比28.76%、前月比2.02%の上昇と発表された。5月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比26.7%、前月比2.2%の上昇となった。
5月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前年同月比13.5%の上昇となった。
(イ)雇用・賃金等
4月の給与指数(INDEC発表)は、前月比1.38%増となった。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、5月末には、前月末比1,249ポイント減の10,800ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、5月末には前月末比5ポイント増の601ポイントとなった。(なお、同指数は、主にドル建て流通国債に対する市場の評価を表すが、亜政府は、2002年以降国外でドル建て新規国債を発行していない(債権交換を除く)ことに留意する必要がある。)
(イ)為替レートは、ペソ安となり、5月末には前月末比0.95%ペソ安、前年同月比11.29%ペソ安の1ドル=8.9893ペソとなった。
コールレートは、5月末には前月末比2.0%増の21.00%となった。民間金融機関預金残高は5月末には10,487億ペソ、対民間貸出残高は5月末には6,539億ペソとなった。
外貨準備高は、5月末には前月末比6.26億ドル減の332.83億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
3月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比20.3%増、一次歳出が同44.3%増となった結果、基礎的財政収支は174.29億ペソの赤字となった。また、総合収支は、278.95億ペソの赤字となった。
(イ)税収
5月の税収(以下、経済省発表)は、前年同月比31.5%増の1381.38億ペソ、付加価値税収が同25.9%増の324.48億ペソ(うち、国内分については同34.8%増、税関分については12.4%増)、法人及び個人に係る所得税収が同53.6%増の449.18億ペソ、輸出税収が同9.5%減の79.51億ペソ、社会保障雇用主負担金が同28.1%増の173.02億ペソとなった。
(7)貿易
4月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比18%減の5,231百万ドル、輸入が同9%減の4,979百万ドルとなった結果、貿易黒字は252百万ドルとなった。
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