アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和4年12月16日
2022年8月の経済情勢
<概要>
(1) 4日、マサ経済大臣が正式に就任し、当面の経済財政運営の方針について、IMFプログラムの財政目標の堅持など従前の経済政策の大枠を維持することを明らかにした。
(1) 4日、マサ経済大臣が正式に就任し、当面の経済財政運営の方針について、IMFプログラムの財政目標の堅持など従前の経済政策の大枠を維持することを明らかにした。
(2)11日、国家統計局は、7月の月次消費者物価指数が、過去20年間で最も高い前月比+7.4%を記録したことを発表した。右に先立ち亜中央銀行は、政策金利を69.5%に引き上げた。
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 4日、マサ経済大臣が正式に就任した。同大臣は、統合された農牧漁業大臣及び生産開発大臣の機能を引き継ぐ高官として、バイージョ経済副大臣(農牧漁業担当)、メンディグレン経済副大臣(生産開発担当)及びトンボリーニ経済副大臣(国内通商・貿易担当)を任命した。
(2) 4日、マサ経済大臣は、就任後の記者会見において当面の経済財政運営の方針を発表し、IMFプログラムの財政目標の堅持など従前の政策の大枠を維持することを明らかにした。
(3) 7日、マサ経済大臣は、ロジョン経済副大臣(エネルギー担当)を任命した。
(4) 10日、政府は、年金及び恩給支給額を+15.53%引き上げることを発表した。加えて、年金受給者を対象に最大7,000ペソの付加金が3か月間支給される。
(5) 11日、国家統計局は、7月の月次消費者物価指数が、経済危機後の2002年4月に+10.4%を記録して以来の過去20年間で最も高い前月比+7.4%を記録したことを発表した。
(6) 11日、亜中央銀行は、政策金利を60%から69.5%に引き上げた。本年に入ってから8か月連続の引上げとなる。
(7) 16日、政府は、9月以降のガス、電気及び水道料金の補助金削減スキームの詳細を発表した。
(8) 19日、マサ経済大臣は、ラテンアメリカ開発銀行(CAF)との間で、インフラ整備等に係る計7.4億ドルの融資協定を締結した。
(9) 21日、マサ経済大臣は、経済省の実質的なナンバー2となるルビンスタイン経済副大臣(経済計画担当)を正式に任命した。
(10) 22日、経済省は、2022年予算を修正し、計1,280億ペソの歳出を削減した。
(11) 26日、マサ経済大臣は、在亜独大使館において開催されたG7各国大使との夕食会に参加し、国際経済環境等に関する意見交換を行った。
(12) 30日、バイージョ経済副大臣(農牧漁業担当)は、9月以降牛肉の輸出枠を+15%拡大することを発表した。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
7月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.0%減、前年同月比5.6%増となった。
(2)消費:自動車販売
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 2022年計 | |
台数 | 20,147 | 25,432 | 33,827 | 30,861 | 33,730 | 37,236 | 29,432 | 29,171 | 239,863 |
前年比 | ▲26.2% | ▲4.7% | 4.5% | 3.3% | 20.4% | 32.1% | 20.8% | 11.9% | 7.6% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 2022年計 | |
台数 | 9,298 | 20,024 | 24,623 | 27,431 | 26,781 | 31,892 | 22,937 | 32,479 | 195,465 |
前年比 | ▲22.0% | 33.0% | 10.0% | 73.1% | 34.4% | 40.3% | ▲1.0% | 30.2% | 25.3% |
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 2022年計 | |
台数 | 18,651 | 37,661 | 48,746 | 43,826 | 46,422 | 48,392 | 44,033 | 54,057 | 341,788 |
前年比 | ▲23.3% | 72.7% | 12.9% | 49.5% | 32.8% | 20.9% | 37.9% | 40.9% | 29.5% |
(イ)工業生産
7月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比5.1%増となった。
(ウ)建設活動
7月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比5.2%増となった。
(4)物価
8月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比7.0%、前年同月比78.5%の上昇となった。
8月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比8.2%、前年同月比73.9%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、8月末には前月末比13ポイント減の2385ポイントとなった。
(イ)為替レートは、8月末には前月末比5.7%ペソ安の1ドル=138.7ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、8月末には前月末比25億ドル減の367.3ルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
8月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比56.4%増、一次歳出が同57.6%増となった結果、基礎的財政収支は2,100億ペソの赤字となった。また、総合収支は、3,701億ペソの赤字となった。
(イ)税収
8月の税収(経済省発表)は、前年同月比72.2%増の1兆7,313億ペソとなった。
(7)貿易
8月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比6.9%減の7,537百万ドル、輸入が同36.2%増の7,837百万ドルとなった結果、貿易収支は300百万ドルの赤字となった。
(了)