アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成30年1月16日

2017年11月の経済情勢

概要
(1) 7日、中銀は、政策金利を27.75%から28.75%に引き上げた。2回連続の引き上げ。今後の公共料金値上げによるインフレ圧力に対する対抗策としている。
(2) 27日、投資庁は、今年10月までに発表された79,229百万ドルの投資(545社、729案件)のうち、実施済みは6,157百万ドル(7.77%)、実施中は34,246百万ドル(43.22%)と発表した。

1 経済の主な動き

(1) シンクタンクFIELのレポートによると、BA市で4人家族世帯が貧困に陥らないためには、13,968ペソの収入(月収)が必要。
(2) 7日、中銀は、政策金利を27.75%から28.75%に引き上げた。前回に続き2回連続の引き上げ。今後の公共料金値上げによるインフレ圧力に対する対抗策。
(3) 7日、アラングレン・エネルギー鉱業大臣は、2002年1月6日に施行され、これまで繰り返し延長されてきた緊急経済法(Ley de Emergencia Pública)が、今年末をもって失効することを発表した。同法により、議会の権限の一部が、政府に移譲されていた。
(4) 格付け機関S&Pによると、亜は、国際金融状況の変化に対し最も「脆弱な」5つの国に含まれている。公的債務残高の増加を要因としている。
(5) 9日、GM及び関連自動車部品メーカーは、合計5億ドル(GMが3億ドル、自動車部品メーカーが2億ドル)を投資すると発表した。
(6) 27日、投資庁は、今年10月までに発表された79,229百万ドルの投資(545社、729案件)のうち、実施済みは6,157百万ドル(7.77%)、実施中は34,246百万ドル(43.22%)と発表した。
(7) 29日、格付け機関ムーディーズが亜の格付をB3からB2に引き上げた。

2 経済指標の動向

(1)経済活動全般
 9月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.8%増、前月比0.1%増となった。

(2)消費:自動車販売
 11月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月26.0%増、前月比5.7%増となった。  

(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
 10月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月4.4%増となった。
 10月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.0ポイント増の68.3%となった。  
(イ)建設活動
 10月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比25.3%増となった。  
(ウ)自動車生産
 11月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比3.7%減、前月比3.1%増となった。  

(4)物価
 11月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比1.4%の上昇、昨年12月比で21.0%の上昇となった。
 11月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.5%の上昇となった。  

(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、11月末には、前月末1030.02ポイント減の26905.26ポイントとなった。
 また、EMBI+指数は、11月末には前月末比5ポイント減の356ポイントとなった。
(イ)11月末の為替レートは、前月末比1.62%ペソ高、前年同月比9.72%ペソ安の1ドル=17.38ペソであった。
 コールレートは、11月末には27.25%となった。対民間貸出残高は11月末には15,411億ペソとなった。
 外貨準備高は、11月末には前月末比27.53億ドル増の545.63億ドルとなった。  

(6)財政
(ア)財政収支
 10月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比24.2%増、一次歳出が同5.9%増となった結果、基礎的財政収支は324.95億ペソの赤字となった。また、総合収支は、619.32億ペソの赤字となった。  
(イ)税収
 11月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比23.1%増の2244.63億ペソ、付加価値税収が同41.8%増の742.73億ペソ(うち、国内分については同38.2%増、税関分については57.8%増)、法人及び個人に係る所得税収が同26.4%増の474.23億ペソ、輸出税収が同11.7%減の44.78億ペソ、社会保障雇用主負担金が同28.9%増の350.21億ペソとなった。  

(7)貿易
 10月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比11.2%増の5,241百万ドル、輸入が同28.3%増の6,196百万ドルとなった結果、貿易赤字は955百万ドルとなった。
(了)

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