アルゼンチン経済情報(月1回更新)

平成29年1月11日

2016年11月アルゼンチンの経済情勢

1 概要
(1)安倍総理大臣が日本の現職総理大臣として57年ぶりにアルゼンチンを公式訪問した。
(2)11月末の為替レートは、前年同月比63.54%ペソ安の1ドル=15.8442ペソであった。
 
2 経済の主な動き

(1)10日、IMFは対アルゼンチン四条協議報告書を発表した。その中で、新政権がより良い経済政策への移行を開始し、重要な前進、すなわち、為替市場の自由化、公共料金の改正、残存債権者問題の解決、中期的財政目標の発表、インフレターゲットの導入、統計の改善がなされたと報告された。
(2)16日、官民パートナーシップ(PPP)法が成立した。これにより、大規模・長期的事業に対する民間投資の促進、持続的な経済成長による雇用創出が期待される。
(3)16日~18日、ブエノスアイレスにおいて、日亜投資協定交渉第三回会合が実施された。
(4)21日、安倍総理大臣が日本の現職総理大臣として57年ぶりにアルゼンチンを公式訪問した。日亜首脳会談では、戦略的パートナーシップを構築し、投資及び貿易の発展やビジネス環境改善のために取組むことで一致した。また、同訪問に併せて、日アルゼンチン経済フォーラム、日亜経済合同委員会、亜外務省主催の日本企業との朝食会等が開催された。
(5)29日、ブエノスアイレス州サラテ市において、アルゼンチントヨタ社のアルゼンチン生産100万台記念式典が開催された。
 
3 経済指標の動向

(1)経済活動全般
9月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比3.7%減、前月比0.8%減となった。
 
(2)消費:自動車販売
11月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比20.8%増、前月比10.7%増となった。
 
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
10月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比8.0%減となった。
10月の稼働率(INDEC発表)は、前月比1.5%増の65.4%となった。
 
(イ)建設活動
10月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比19.2%減となった。
 
(ウ)自動車生産
11月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比3.3%増、前月比24.1%増となった。
 
(4)物価・雇用
(ア)物価
11月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比1.6%の上昇となった。(前年同月比の発表はなし。)11月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比44.8%の上昇、前月比2.0%の増加となった。また、11月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比43.4%の上昇、前月比1.9%の上昇となった。
11月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.1%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、11月末には、前月末比167.73ポイント減の17,442.40ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、11月末には前月末比62ポイント増の511ポイントとなった。
(イ)為替レートは、11月末には前月末比4.41%ペソ安、前年同月比63.54%ペソ安の1ドル=15.8442ペソとなった。
コールレートは、11月末には23.00%となった。対民間貸出残高は11月末には10,224億ペソとなった。
外貨準備高は、11月末には前月末比1.68億ドル増の373.78億ドルとなった。
 
(6)財政
(ア)財政収支
10月の財政収支(財務・金融省発表)は、歳入が前年同月比27.1%増、一次歳出が同58.1%増となった結果、基礎的財政収支は629.59億ペソの赤字となった。また、総合収支は、775.00億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
11月の税収(以下、財務・金融省発表)は、前年同月比40.8%増の1822.72億ペソ、付加価値税収が同34.6%増の523.61億ペソ(うち、国内分については同28.6%増、税関分については50.2%増)、法人及び個人に係る所得税収が同13.6%増の375.14億ペソ、輸出税収が同53.0%増の50.69億ペソ、社会保障雇用主負担金が同39.1%増の271.67億ペソとなった。
 
(7)貿易
10月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比6.3%減の4,715百万ドル、輸入が同2.1%減の4,829百万ドルとなった結果、貿易赤字は114百万ドルとなった。

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