アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

平成31年4月16日

2019年1月の経済情勢

<概要>
(1)8日、2019・2020年ファイナンス・プログラムを発表し、2019年に満期を迎えるLETES(外貨建て短期国庫債)の46%が借換えされれば、2020年までの財政需要を賄えるとした。
(2)15日のINDEC(国家統計局)の発表によると2018年のインフレ率は47.6%で、過去27年間で最高値となり、その中でも同年最も激しい値上げを観測した項目は交通 (67%)、通信 (55%%) 、食品・ノンアルコール飲料水(51%)。

1 経済の主な動き等

(1)8日、2019・2020年ファイナンス・プログラムを発表し、2019年に満期を迎えるLETES(外貨建て短期国庫債)の46%が借換えされれば、2020年までの財政需要を賄えるとした。また、同国庫債が70%以上借換えできた場合には、2020年に予定されている国内市場での新規の資金調達が不要になるとしている。なお、同日のLETES(短期国庫債)入札では、借り換え率は100%であった(昨年5月の為替変動以来初めての100%更新)。
(2)9日、INDEC(国家統計局)によると、ドル高ペソ安の影響により、昨年11月の国内各地の主要空港に到着した外国人の数(27.5万人、前年比12.3%増)が増加し、国外に出たアルゼンチン人旅行者(27.7万人、前年比19.8%減)に初めて並ぶ水準となった。
(3)10日以降、為替が非介入バンドの下限を下回ったため、亜中銀は事前に発表していたとおり1日の介入上限の5000万ドルの範囲で介入を行った。昨年10月の非介入為替バンド制の導入以来初めての介入となった。以降、同バンドの下限付近で為替は推移。
(4)15日のINDEC(国家統計局)の発表によると2018年のインフレ率は47.6%で、過去27年間で最高値となり、その中でも同年最も激しい値上げを観測した項目は交通 (67%)、通信 (55%%) 、食品・ノンアルコール飲料水(51%)。
(5)17日、ブエノスアイレス穀物取引所は、収穫を終えたばかりの2018/2019年度の小麦・大麦の輸出は前期比35%増で38億7500万ドルとの予測を発表した。
(6)亜投資庁(AAICI)とりまとめの統計によると、マクリ政権発足以降の3年間でアルゼンチン向け投資が最も多かったのが米国企業で投資契約額は87.2憶ドル。2位以降は以下のとおり(単位:億ドル)。
加:82.0、西:58.0、英:40.0、中:37.7、仏:36.0、
墨:33.1、伊:22.4、伯:19.5、智:13.9、独:12.4、
日:9.9
(7)30日、米国連邦準備理事会が主要政策金利の据え置き等の発表をアルゼンチン含む新興国市場は好感。株価が上昇し、また、701ポイントまで上昇していたカントリーリスク指標は同日のうちに688ポイントまで減少した。

2 経済指標の動向

(1)経済活動全般  

 11月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比7.5%減、前月比2.0%減となった。
 12月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比7.0%減、前月比0.7%増となった。

(2)消費:自動車販売  
 1月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比53.4%減となった。
  6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2019年計
台数 55,358 46,637 52,224 42,628 37,207 33,095 48,418 30,038 30,038
前年比 ▲31.0% ▲35.8% ▲31.9% ▲44.1% ▲50.0% ▲%57.9 ▲46.4% 53.4▲% ▲53.4%

(参考)1月の自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2019年計
台数 22,894 25,363 28,068 23,336 22,028 26,048 22,947 7,403 7,403
前年比 16.2% 74.7% 59.6% 13.5% 4.0% 36.2% 26,1% ▲28.9% ▲28.9%

(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
 1月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比32.3%減となった。
  6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2019年計
台数 39,420 41,450 49,335 37,267 38,659 36,808 20,475 14,803 14,803
前年比 ▲13.4% 8.6% 9.0% ▲20.6% ▲11.8% ▲18.6% ▲38,5% ▲32,3% ▲32,3%

(イ)工業生産
 12月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比14.7%減となった。

(ウ)建設活動
 12月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比20.5%減となった。

(4)物価 
 1月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比2.9%の上昇となった。
 1月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比0.6%の上昇となった。

(5)金融 
(ア)Merval指数(株価指数)は、1月末には、前月末比19.9%増の36326.92ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、1月末には前月末比137ポイント減の676ポイントとなった。
(イ)1月末の為替レートは、前月末比2.0%ペソ高、前年同月比88.5%ペソ安の1ドル=37.04ペソであった
コールレートは、1月末には51.50%となった。対民間貸出残高は1月末には21,296億ペソとなった。
外貨準備高は、1月末には前月末比10.1億ドル増の668.1億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
 1月の財政収支(財務省発表)は、歳入が前年同月比36.9%増、一次歳出が同32.1%増となった結果、基礎的財政収支は166.6億ペソの黒字となった。また、総合収支は、600.4億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
 1月の税収(以下、財務省発表)は、前年同月比38.9%増の3639.3億ペソ、付加価値税収が同35.0%増の1,147.4億ペソ(うち、国内分については同49.4%増、税関分については2.5%増)、法人及び個人に係る所得税収が同45.7%増の713.0億ペソ、輸出税収が同327.3%増の155.7億ペソ、社会保障雇用主負担金が同30.8%増の636.4億ペソとなった。

(7)貿易
 1月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比4.7%増の4,586百万ドル、輸入が同26.5%減の4,214百万ドルとなった結果、貿易黒字は372百万ドルとなった。
(了)

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