アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和3年9月30日

2021年7月の経済情勢

 

概要
(1) 8日、フェルナンデス大統領は、メルコスール首脳会議を開催し、議長国としての半年間の実績を強調した上で、ボルソナーロ伯大統領に議長職を引き継いだ。
(2) 9日、グスマン経済大臣は、伊ベネチアで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席し、麻生財務大臣等との多数のバイ会談を行った。
(3) 24日、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領は、IMFへの9月及び12月の元本返済期限においてSDRを用いた支払いを行うことを容認した旨示唆した。
(4) 28日、亜は、パリクラブ各国に対し、約24億ドルの延滞債務の一部返済として計2.3億ドルの支払いを実施した。

 


1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1) 1日、運輸省は、ウルキサ線及びベルグラーノ・ノルテ線のコンセッション契約を延長しないことを発表した。
(2) 5日、アシネリ大統領府国際金融担当次官は、ラテンアメリカ開発銀行(CAF)総裁選挙において、コロンビアのディアス・グラナドス候補に敗北したが、副総裁ポストを得た。
(3) 5日、政府は、最低賃金の引上げを5か月前倒しし、9月までに約35%引き上げることを決定した。
(4) 7日、ソラー外務大臣は、第58回メルコスール共同市場理事会(CMC)定例外相会議を開催し、議長国任期中の成果を発表した。
(5) 7日、エスパニョール生産開発副大臣(国内通商担当)は、価格統制プログラム「Precios Cuidados」について、平均+5%の価格引上げを行った上で10月上旬まで3か月間延長することを発表した。
(6) 8日、フェルナンデス大統領は、メルコスール首脳会議を開催し、議長国としての半年間の実績を強調した上で、ボルソナーロ伯大統領に議長職を引き継いだ。
(7) 9日、グスマン経済大臣は、伊ベネチアで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席し、IMFの上乗せ金利ポリシーの見直しを主張するとともに、最低法人税率の設定等の国際課税改革への支持を表明した。また、同大臣は、麻生財務大臣との初のバイ会談をはじめ、米、独、仏、伊、西、韓、墨、露の政府高官及びゲオルギエバIMF専務理事との会談をそれぞれ実施した。
(8) 12日、BCRA及び国家証券取引委員会(CNV)は、通達第A7325号及び決議第895/2021号により、有価証券の取引数量の制限等を通じたCCLドル取引への規制を強化することを発表した。
(9) 19日、ソラー外務大臣は、リオデジャネイロにおいてフランサ伯外務大臣と会談を行い、メルコスールの一体性維持の重要性等について議論を行った。
(10) 20日、グスマン経済大臣は、IMF加盟国として亜を代表し、6,500億ドル相当の特別引出権(SDR)を全加盟国に新規配分する議案に賛成票を投じた。
(11) 21日、BCRA及び中国人民銀行は、人民元取引の情報交換に関する二国間協力覚書への署名を行った。
(12) 21日、メルコスールは、カナダとの自由貿易協定(FTA)に係る交渉を約一年ぶりに再開した。
(13) 21日、ブエノスアイレス州は、客年4月から行っていた約71億ドルの州債務(外国法準拠)再編交渉について、大多数の債権者と実質合意に至ったことを発表した。債券交換申込期限は8月13日に定められている。
(14) 24日、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領は、「IMFは、パンデミックを受けて、各国にドルを提供することを決定した。(亜はマクリ前政権において)IMFに450億ドルの債務を負ったため、(今は返済する他に)どうすることもできない。」と述べ、SDRを用いたIMFへの9月及び12月の元本返済を容認したことを示唆した。
(15) 28日、亜は、パリクラブ各国に対し、約24億ドルの延滞債務の一部返済として計2.3億ドルの支払いを実施した。

2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
6月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比2.5%増、前年同月比10.8%増となった。

(2)消費:自動車販売 
  12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 2021年計
台数 38,994 27,303 26,676 32,359 29,876 28,025 28,187 24,369 196,795
前年比 25.2% 6.1% ▲1.9% 71.0% 297.7% 39.9% 18.6% 8.4% 35.1%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 2021年計
台数 17,200 11,924 15,055 22,394 15,848 19,919 22,737 23,177 131,054
前年比 ▲9.3% 37.2% ▲16.9% 60.8% 564.2% 517.3% 230.7% 141.1% 108.6%

(3)工業生産・建設活動
ア)自動車生産 
  12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 2021年計
台数 30,172 24,308 21,809 43,160 29,315 34,953 40,035 31,935 225,515
前年比 107.7% 17.5% ▲16.5% 125.2% 皆増 627.9% 155.7% 49.8% 109.3%
 
(イ)工業生産
6月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比19.1%増となった。

(ウ)建設活動
6月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比28.6%増となった。

(4)物価
7月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.0%、前年同月比51.8%の上昇となった。
7月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比2.2%、前年同月比63.0%の上昇となった。

(5)金融
(ア)EMBI+指数は、7月末には前月末比5ポイント増の1591ポイントとなった。
(イ)為替レートは、7月末には前月末比1.0%ペソ安の1ドル=96.69ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、7月末には前月末比1億ドル増の425.8億ドルとなった。

(6)財政
(ア)財政収支
7月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比52.3%増、一次歳出が同35.0%増となった結果、基礎的財政収支は985.7億ペソの赤字となった。また、総合収支は、1,631.6億ペソの赤字となった。

(イ)税収
7月の税収(経済省発表)は、前年同月比66.9%増の9,332.0億ペソとなった。

(7)貿易
7月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比47.9%増の7,252百万ドル、輸入が同66.8%増の5,715百万ドルとなった結果、貿易収支は1,537百万ドルの黒字となった。

(了)

 

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