アルゼンチン経済情勢(月1回更新)
令和7年1月29日
2024年12月の経済情勢
<概要>
(1)6日、ミレイ大統領はウルグアイを訪問し、メルコスール首脳会合に参加した。本会合において、メルコスール・EU自由貿易協定の交渉が妥結するとともに、アルゼンチンがウルグアイからメルコスール議長国を引き継いだ。
(2)22日、外貨の購入に対して課税される税(通称PAIS税)が廃止された。 |
1 経済の主な動き(報道ぶり等)
(1)2日、カリーナ・ミレイ大統領府長官、カプート経済相、ゴンサレス経済省調整担当長官(エネルギー・鉱業担当)、スカレスカ投資貿易庁長官は、ブラジルの産業界最大の業界団体であるサンパウロ州産業連盟(FIESP)のシルバ会長と会談した。
(2)2日、政府は、現政権下での初の民間主導の公共インフラ事業として、Transportadora Gas del Sur (TGS)社によるRIGIの枠組みでのペリト・モレノ・ガスパイプライン拡張事業を、国家の公共利益として認定する政令を公布した。
(3)2日、政府は、少額の小口輸入については、関税や統計税など輸入時に課す諸税を免除する政令を公布した。同日、税務・税関庁は、クーリエによる小口輸入やサンプル輸入の条件を緩和する決議を公布した。
(4)6日、ミレイ大統領はウルグアイを訪問し、メルコスール首脳会合に参加した。本会合において、メルコスール・EU自由貿易協定の交渉が妥結するとともに、アルゼンチンがウルグアイからメルコスール議長国を引き継いだ。
(5)6日、中銀は、政策金利を名目利子率で3ポイント引き下げて年率32%とした(実効利子率では年率41.88%から年率37.69%への引き下げとなった)。
(6)9日、アルゼンチン政府はメルコスールを代表して、エルサルバドルとの間で連携協定の交渉を開始するための基本合意書を締結した。
(7)9日、ミスライ税務・税関庁(ARCA)長官の辞任が発表され、後任にパソ経済省調整担当長官(生産・商業・産業・農業総括担当)が就任した。
(8)9日、キルノ経済副大臣(金融担当)が、外務副大臣(国際経済関係担当)を兼任する旨発表された。18日には、同外務副大臣ポストにクレクレル駐サンパウロ総領事が就任する旨報じられた。
(9)12日、中銀は、フリーランサーによるサービス輸出の輸出代金の国内還流義務を緩和する通達を公布した。
(10)12日、IMFの独立評価機関は、アルゼンチン向けの2018年スタンドバイ借款を含む過去数年間の大型融資に関して、例外的アクセスポリシーの検証結果を公表した。
(11)12日、リオ・ティント社は、サルタ州のリンコン塩湖リチウム開発を拡充する25億ドル相当の投資計画を発表した。
(12)13日、カプート経済相は、ズデロ・チャコ州知事と会談し、同州の州道13号線の工事を目的としたラプラタ河流域開発基金(FONPLATA)からの3,340万米ドルの融資に調印した。
(13)13日、アルゼンチン政府はドミニカ共和国との間でオープンスカイ協定を締結した。
(14)19日、中銀は、親子ローンの利払いに関する国外への送金規制を緩和した。
(15)19日、国営石油会社YPFは、大型液化天然ガス輸出プロジェクト「アルヘンティーナLNG」に、マレーシアの国営石油会社ペトロナスに代わって石油メジャーのシェルが参画すると発表した。
(16)19日、政府は、メルセデス圧縮プラントの稼働開始を発表した。メルセデス-カルダレス・ガスパイプラインの輸送能力が1日あたり600万立方メートル増加して1,500万立方メートルとなり、液化天然ガスの輸入代替により1日あたり最大250万ドルの節約が見込まれる。
(17) 19日、金融情報ユニット(UIF)は、金融作業部会(FATF)の勧告に基づき、マネーロンダリング、テロ資金供与、大量破壊兵器拡散資金供与の防止に関して、金融・為替機関により厳しい要件を課すとともに、カード発行企業、支払いサービスプロバイダー、非金融信用供与者等にリスク管理措置の導入を義務づけることを規定した。
(18)22日、外貨の購入に対して課税される税(通称PAIS税)が廃止された。
2 経済指標の動向
(1)経済活動全般
10月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比0.6%増、前年同月比0.7%減となった。
(2)消費 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
(ア)自動車販売 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2024年計 | |
台数 | 27,851 | 32,333 | 33,043 | 38,682 | 44,488 | 43,627 | 40,118 | 49,462 | 411,406 |
前年比 | ▲27.9% | ▲26.7% | 6.8% | 27.7% | 2.8% | 7.0% | 35.0% | 97.3% | 1.1% |
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2024年計 | |
台数 | 22,974 | 20,884 | 28,330 | 32,754 | 31,918 | 35,965 | 32,262 | 26,667 | 314,735 |
前年比 | ▲24.1% | ▲10.3% | ▲1.2% | 13.5% | ▲10.2% | 25.9% | 6.1% | 22.3% | ▲3.4% |
(イ)小売販売
9月のスーパーマーケット販売指数(INDEC発表)は、前月比0.4%減、前年同月比12.8%減となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産 (自動車生産者協会(ADEFA)発表)
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 2024年計 | |
台数 | 38,440 | 32,029 | 44,436 | 51,650 | 49,611 | 52,419 | 53,701 | 38,018 | 506,571 |
前年比 | ▲27.9% | ▲40.2% | ▲9.8% | ▲18.6% | ▲12.6% | 0.9% | ▲5.1% | 2.8% | ▲17.1% |
(イ)製造業
11月の製造業活動指数(INDEC発表)は、前月比0.4%増、前年同月比1.7%減となった。
(ウ)建設活動
11月の建設活動指数(INDEC発表)は、前月比2.2%増、前年同月比23.6%減となった。
(エ)鉱業活動
11月の鉱業生産指数(INDEC発表)は、前月比0.3%減、前年同月比3.7%増となった。
(4)物価
12月の消費者物価指数(INDEC発表)は、前月比2.7%、前年同月比117.8%の上昇となった。
11月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比1.4%、前年同月比155.2%の上昇となった。
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、12月末には前月末比117ポイント減の635ポイントとなった。
(イ)為替レートは、12月末には前月末2.0%ペソ安の1ドル=1032.50ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、12月末には前月末比6.0億ドル減の296.1億ドルとなった。
(6)財政
11月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比147.3%増、一次歳出が同100.9%増となった結果、基礎的財政収支は1兆3,815億ペソの黒字となった。また、総合収支は3,572億ペソの黒字となった。
(7)貿易
11月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比31.6%増の6,479百万ドル、輸入が同4.3%減の5,245百万ドルとなった結果、貿易収支は1,234百万ドルの黒字となった。
(了)
バックナンバー
2024年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |||
2022年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2021年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2019年
|
||||||||||||
2018年
|
||||||||||||
2017年
|
||||||||||||
2016年
|
||||||||||||
2015年
|
||||||||||||
2014年
|
||||||||||||
2013年
|
||||||||||||
2012年
|
||||||||||||
2011年
|
||||||||||||
2010年
|
||||||||||||
2009年
|
||||||||||||
2008年
|
||||||||||||
2007年
|
||||||||||||
2006年
|
||||||||||||
2005年
|
||||||||||||
2004年
|
||||||||||||
2003年
|
||||||||||||
2002年
|