2016年7月アルゼンチンの経済情勢
2016年8月作成
在アルゼンチン大使館
概要
(1)マルコーラ外務大臣が日本を訪問し、岸田外務大臣との間で日亜外相会談を実施した。両外相は、両国間の要人往来活発化の重要性、政治経済両面での関係強化等につき一致した。
(2)7月末の為替レートは、前年同月比63.76%ペソ安の1ドル=15.0447ペソとなった。
経済の主な動き
(1)4日、ミケティ副大統領、カブレラ工業・生産大臣及びトヨタ・アルヘンティーナ社長は、トヨタ社の輸出及び生産の拡大について発表した。今後、中米及びカリブ地域にも輸出を始め、アルゼンチン国内の生産台数を来年30%拡大する。
(2)12日、世銀は8.45億ドルの対亜融資を発表した。内訳は、児童・若者保護のための包括的ネットワークに6億ドル、ブエノスアイレス市のベガ川工事に2億ドル、中小企業の生産革新促進に4,500万ドル。
(3)12日~14日、JETRO主催のアルゼンチンインフラミッションがブエノスアイレスに派遣された。
(4)14日~15日、マルコーラ外務大臣が日本を訪問し、岸田外務大臣との間で日亜外相会談を実施した。両外相は、両国間の要人往来活発化の重要性、政治経済両面での関係強化等につき一致した。
(5)19日、マクリ大統領は、アンデス開発公社(CAF)による6.19億ドルの対亜融資に関する合意書に署名した。主な使途はインフラ整備。
(6)20日、IMFはラ米・カリブ地域の経済見通しのアップデートを発表した。亜の今年の経済成長率は前回見通しより0.5ポイント低く、マイナス1.5%となった。亜の来年の経済成長率は前回見通しと同じ2.8%。
(7)29日、マクリ大統領は、カルロス・ゴーン・ルノー日産社長と会談し、同社による日産ピックアップ等の生産に向けた8億ドルの投資計画について公表した。
経済指標の動向
(1)経済活動全般
1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、経済活動指数(INDEC発表)の発表は、10月分以降、一時停止されている。
(2)消費:自動車販売
7月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比2.4%減、前月比16.6%減となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
6月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比6.4%減となった。
6月の稼働率(INDEC発表)は、前月比0.1%減の64.9%となった。
(イ)建設活動
6月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比19.6%減となった。
(ウ)自動車生産
7月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比13.3%減、前月比9.5%減となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
7月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比2.0%の上昇となった。(前年同月比の発表はなし。)7月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比47.2%、前月比2.2%の上昇となった。また、7月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比46%、前月比2.4%の上昇となった。
7月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比2.7%の上昇となった。
(イ)雇用・賃金等
1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、給与指数の発表は、11月分以降、一時停止されている。
(5)金融
(ア)Merval指数(株価指数)は、7月末には、前月末比976.5ポイント増の15,803.5ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、7月末には前月末比3ポイント増の521ポイントとなった。
(イ)為替レートは、7月末には前月末比0.84%ペソ安、前年同月比63.76%ペソ安の1ドル=15.0447ペソとなった。
コールレートは、7月末には26.75%となった。対民間貸出残高は7月末には9,074億ペソとなった。
外貨準備高は、7月末には前月末比20.04億ドル増の325.11億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
6月の財政収支(財務・金融省発表)は、歳入が前年同月比4.5%増、一次歳出が同28.1%増となった結果、基礎的財政収支は451.00億ペソの赤字となった。また、総合収支は、575.87億ペソの赤字となった。
(イ)税収
7月の税収(以下、財務・金融省発表)は、前年同月比23.4%増の1800.91億ペソ、付加価値税収が同32.7%増の476.52億ペソ(うち、国内分については同31.9%増、税関分については35.1%増)、法人及び個人に係る所得税収が同8.7%増の362.21億ペソ、輸出税収が同29.0%減の76.34億ペソ、社会保障雇用主負担金が同26.3%増の331.97億ペソとなった。
(7)貿易
6月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比13.0%減の5,261百万ドル、輸入が同10.9%減の5,135百万ドルとなった結果、貿易黒字は126百万ドルとなった。
|