2016年8月アルゼンチンの経済情勢
2016年9月作成
在アルゼンチン大使館
概要
(1)ブエノスアイレスにて第一回日亜貿易投資合同委員会が開催され、日亜二国間の貿易・投資を拡大するための前提となるビジネス環境の整備について議論を行った。
(2)8月末の為替レートは、前年同月比60.30%ペソ安の1ドル=14.9008ペソとなった
経済の主な動き
(1)4日、ディエトリッチ運輸大臣と日本の丸紅は、首都圏の鉄道にATS(自動列車停止装置)を購入する契約に署名した。契約額は6,300万ドル。
(2)8日、中銀は、預金目的の外貨購入制限の上限を撤廃した。預金目的の外貨購入については、マクリ政権発足直後に上限を200万ドルに引き上げ、その後5月に500万ドルに引き上げていた。
(3)12日、ブエノスアイレスにて第一回日亜貿易投資合同委員会が開催され、日亜二国間の貿易・投資を拡大するための前提となるビジネス環境の整備について議論を行った。
(4)25日、カブレラ工業生産大臣は、今年上半期の対内直接投資の発表(亜進出済みの企業のみ)は320億ドルに至ったと発言した。
経済指標の動向
(1)経済活動全般
6月の経済活動指数(INDEC発表)は、前年同月比4.3%減、前月比0.3%減となった。
(2)消費:自動車販売
8月の自動車販売台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)は、前年同月比11.5%増、前月比21.4%増となった。
(3)工業生産・建設活動
(ア)工業生産
7月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比7.9%減となった。
7月の稼働率(INDEC発表)は、前月比2.9%減の62.0%となった。
(イ)建設活動
7月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比23.1%減となった。
(ウ)自動車生産
8月の自動車生産台数(ADEFA発表)は、前年同月比8.5%減、前月比15.5%増となった。
(4)物価・雇用
(ア)物価
8月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比0.2%の上昇となった。(前年同月比の発表はなし。)8月のブエノスアイレス市発表インフレ率(Ipcba)は、前年同月比43.5%の上昇、前月比0.8%の減少となった。また、8月の議会インフレ率(一部の野党議員が発表している民間コンサルタント会社8社の推計を平均した値、首都圏のみの調査に基づく)は、前年同月比43.5%の上昇、前月比0.5%の上昇となった。
8月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比0.4%の上昇となった。
(イ)雇用・賃金等
1月8日のINDEC「統計緊急事態宣言」発動の影響により、給与指数の発表は、昨年11月分以降、一時停止されている。
(5)金融
(ア)
Merval指数(株価指数)は、8月末には、前月末比154.03ポイント減の15,649.47ポイントとなった。
また、EMBI+指数は、8月末には前月末比49ポイント減の472ポイントとなった。
(イ)
為替レートは、8月末には前月末比0.96%ペソ高、前年同月比60.30%ペソ安の1ドル=14.9008ペソとなった。
コールレートは、8月末には25.50%となった。対民間貸出残高は8月末には9,248億ペソとなった。
外貨準備高は、8月末には前月末比13.61億ドル減の311.49億ドルとなった。
(6)財政
(ア)財政収支
7月の財政収支(財務・金融省発表)は、歳入が前年同月比10.2%増、一次歳出が同26.4%増となった結果、基礎的財政収支は257.15億ペソの赤字となった。また、総合収支は、275.84億ペソの赤字となった。
(イ)税収
8月の税収(以下、財務・金融省発表)は、前年同月比25.1%増の1657.63億ペソ、付加価値税収が同29.6%増の508.45億ペソ(うち、国内分については同22.3%増、税関分については47.7%増)、法人及び個人に係る所得税収が同7.3%増の346.79億ペソ、輸出税収が同32.4%減の44.53億ペソ、社会保障雇用主負担金が同34.9%増の258.79億ペソとなった。
(7)貿易
7月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比10.9%減の4,960百万ドル、輸入が同17.3%減の4,690百万ドルとなった結果、貿易黒字は270百万ドルとなった。
|