アルゼンチン経済情勢(月1回更新)

令和4年5月10日

2021年12月の経済情勢

 

概要

(1) 17日、下院は、野党の反対多数により2022年予算法案を否決した。

(2)24日、政府は、必要緊急大統領令により、2021年予算法の適用期間を延長した。


1 経済の主な動き(報道ぶり等)

(1) 4日、政府はIMFとの新プログラム交渉を加速させるため、経済省及びBCRAを中心とする交渉団を米ワシントンに派遣した。
(2) 6日、フェルナンデス大統領は、カレーラス・リオネグロ州知事と会談を行い、グリーン水素生産計画を促進するためシエラグランデ市における経済特区の設置に向けた協定を締結した。
(3) 9日、BCRAは、通達第A7030号に定められた輸入決済及び関連会社向け借入金返済に関する規制を2022年6月末まで延長することを発表した。
(4) 10日、ラベルタANSES長官は、年金受給者等に対し、既に発表済みの+12.11%の受給額引上げに加え、年末ボーナスとして5000ペソの支給を発表した。
(5) 16日、韓国POSCO社は、亜において水酸化リチウム生産工場を設置するため8.3億ドルを投資することを決定した。
(6) 17日、下院は、野党の反対多数により2022年予算法案を否決した。これを受け、グスマン経済大臣は、明年3月に新たな予算案を再提出する可能性を否定した。
(7) 17日、フェルナンデス大統領は、ゲオルギエバIMF専務理事とオンライン形式で会談を行った。
(8) 17日、フェルナンデス大統領は、オンライン形式で開催されたメルコスール首脳会議に出席した。
(9) 21日、下院は、課税基準額を引き上げる内容の個人資産税改正法案を可決した。
(10) 22日、IMFは、2018年に決定された現行プログラムの失敗に関する教訓を含む事後評価報告書を公表した。
(11) 22日、政府は、IMFに対し、現行プログラムに基づく約19億ドルの返済を実施した。
(12) 24日、政府は、必要緊急大統領令第882号により、2021年予算法の適用期間を延長した。
(13) 24日、政府は、必要緊急大統領令第886号により、年末を期限とする解雇禁止令を延長せず、割増されている退職手当を段階的に引き下げることを決定した。
(14) 31日、マルティネス経済副大臣(エネルギー担当)は、2022年におけるガス及び電気料金の20%引上げを発表した。


2 経済指標の動向
 
(1)経済活動全般
 11月の経済活動指数(INDEC発表)は、前月比1.3%増、前年同月比9.4%増となった。
 
(2)消費:自動車販売
  5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2021年計
台数 28,025 28,187 24,369 26,069 25,700 25,291 27,811 32,723 334,389
前年比 39.9% 18.6% 8.4% ▲8.0% ▲26.7% ▲24.1% ▲11.5% ▲16.1% 6.9%
 
(参考)自動車輸出台数(自動車生産者協会(ADEFA)発表)
  5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2021年計
台数 19,919 22,737 23,177 24,937 25,230 25,938 32,513 19,615 259,287
前年比 517.3% 230.7% 141.1% 83.3% 40.9% 74.7% 182.6% 14.0% 88.0%
 
(3)工業生産・建設活動
(ア)自動車生産
  5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2021年計
台数 34,953 40,035 31,935 38,362 43,535 41,002 46,490 39,849 434,753
前年比 627.9% 155.7% 49.8% 48.5% 35.4% 42.8% 42.7% 32.1% 69.0%
 
(イ)工業生産
 11月の工業生産指数(INDEC発表)は、前年同月比10.1%増となった。
 
(ウ)建設活動
 11月の建設活動指数(INDEC発表)は、前年同月比8.5%増となった。
 
(4)物価
 12月のCPI統計(INDEC発表インフレ率)は、前月比3.8%、前年同月比50.9%の上昇となった。
 12月の卸売物価指数(INDEC発表)は、前月比2.3%、前年同月比51.3%の上昇となった。
 
(5)金融
(ア)EMBI+指数は、12月末には前月末比226ポイント減の1688ポイントとなった。
(イ)為替レートは、12月末には前月末比1.8%ペソ安の1ドル=102.75ペソとなった。
(ウ)外貨準備高は、12月末には前月末比19億ドル減の396.6億ドルとなった。
 
(6)財政
(ア)財政収支
 12月の財政収支(経済省発表)は、歳入が前年同月比92.6%増、一次歳出が同84.2%増となった結果、基礎的財政収支は4,963.4億ペソの赤字となった。また、総合収支は、5,120.0億ペソの赤字となった。
 
(イ)税収
 12月の税収(経済省発表)は、前年同月比73.6%増の1兆1,799億ペソとなった。
 
(7)貿易
 12月の貿易(INDEC発表)は、輸出が前年同月比85.9%増の6,587百万ドル、輸入が同59.1%増の6,216百万ドルとなった結果、貿易収支は371百万ドルの黒字となった。
(了)
 

 

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